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「10回観てもまだ観たい」公開から19年“驚異のリピーター”が相次ぐ名作アニメ…今なお語り継がれる一作

  • 2025.12.22

脳裏に焼き付いて離れない衝撃的な展開や、いつまでも心に残る深い余韻。アニメの世界では、圧倒的な映像美や魂を揺さぶるストーリーによって、観る者の記憶に強烈な爪痕を残す作品が、これまでも数多く生み出されてきました。今回は、そんな“一度観たら忘れられないアニメ作品Part2”と題して5作品をセレクトしました。

本記事では第5弾として、2006年公開の映画『ゲド戦記』(東宝)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“一度観たら忘れられないアニメ作品Part2”映画『ゲド戦記』

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(配給):映画『ゲド戦記』(東宝)
  • 公開日:2006年7月29日

あらすじ

故・アーシュラ・K・ル=グウィンさんの小説を原作に、監督:宮崎吾朗さん、原案:宮崎駿さん、アニメーション制作:スタジオジブリで映画化。

本来、西の果てに棲むはずの竜が、突如として人間たちの暮らす東の海に姿を現します。それに呼応するかのように世界各地で異変が起こり始め、魔法使いもその力を失いつつありました

世界の均衡を崩している原因を突き止めるため、大賢人・ハイタカ(CV:菅原文太)は旅に出ます。その道中で彼は、国を捨てて逃亡していた王子・アレン(CV:岡田准一)と出会います。エンラッドの国王である父を刺して逃げてきたアレンは、世界を覆いつつある「影」の存在におびえていました。ハイタカと共に行動することになったアレンは、たどり着いた港町のホート・タウンで、人狩りに襲われていた少女・テルー(CV:手嶌葵)を助けますが―。

映画『ゲド戦記』の見どころ ※ネタバレあり

宮崎吾朗監督の第一回監督作品として注目を集めた映画『ゲド戦記』ですが、その評価は公開当時から大きく分かれることとなりました。世界的なファンタジー文学の金字塔である原作小説を大胆に改変し、独自の解釈を加えたストーリー展開は、原作ファンを中心に戸惑いと反発を招いたようです。原作の持つ重厚なテーマや世界観との乖離に対し、SNSでは「散々な内容だった」といった投稿もあり、辛辣な感想が残されています。

その一方で、本作が持つ独特の静かで安らかな空気感や、荒廃した世界の美しさは、多くの観客を惹きつけました。手嶌葵さんによる挿入歌『テルーの唄』をはじめとした透明感のある楽曲や美術背景は圧倒的で、SNSでは「音楽と風景の感じはすごく好き」とその芸術性を愛する声も寄せられています。また、「10回観てもまだ観たい」「好きすぎて20回見た」といった声もあり、何度も視聴し、噛み締めることで真価を発揮する、不思議な引力を持った作品として再評価もされているようです。

宮崎吾朗が監督に抜擢されたワケ…原作者が怒りをあらわにした理由

小説『ゲド戦記』は、宮崎駿監督にとって長年アニメ化を夢見ていた「バイブル」とも呼べる特別な物語でした。しかし、映画化の権利を得た当時は映画『ハウルの動く城』の制作真っ只中であり、自身の年齢的な問題も重なったことで、監督を務めることは厳しいと考えていたそうです。そこで白羽の矢が立ったのが、息子の宮崎吾朗さんです。

その制作は波乱に満ちたものとなりました。原作にはない「父親殺し」という衝撃的な設定の追加や、物語の結末を単調に変更したことなどが、原作者であるアーシュラ・K・ル=グウィンさんの怒りを買う結果となってしまったのです。その動揺は身内である宮崎駿監督にも及び、完成した映画の試写会を途中で抜け出してしまったというエピソードは、作品を巡る複雑な背景として今も語り継がれています。

映画『ゲド戦記』を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、“少年と少女の再生の物語”をぜひご覧ください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です