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わずか数週間の登場で“伝説”に NHK朝ドラ『カムカム』で転機を迎えた“逸材”

  • 2025.12.20

物語の中心でなくても、見る人の心を一瞬でつかむ俳優がいます。今回は、そんな中から"朝ドラで主役じゃなくとも話題を集めた名優"をピックアップしました。 本記事ではその第1弾として、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で鮮烈な印象を残し、今や日本を代表する俳優へと成長した松村北斗さんをご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

経歴

松村北斗さんは、静岡県出身の俳優で、アイドルグループ「SixTONES」のメンバーです。華やかなステージで活躍する一方、俳優としても着実にキャリアを重ねてきました。

転機となったのは2021年後期に放送された、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』への出演です。この作品での快演が日本中の視聴者の心を鷲掴みにし、俳優としての評価を不動のものにしました。

SNSも大盛り上がり――「3世代ヒロイン×英語」が話題に

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舞台「千と千尋の神隠し」上白石萌音(C)SANKEI

松村さんが注目を集めたNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』は、脚本家・藤本有紀さんによるオリジナル作品です。朝ドラ史上初となる「3人のヒロインが織りなす100年のファミリーストーリー」という壮大な構成で、昭和・平成・令和という三つの時代を「ラジオ英語講座」を軸に描いた斬新な試みが話題を呼びました。緻密に張り巡らされた伏線が次々と回収されていく脚本は、まさに圧巻。

その完成度は各方面で高く評価され、第111回ザテレビジョンドラマアカデミー賞では読者・審査員双方から支持を受けて“最優秀作品賞”を受賞しました。さらに放送批評懇談会による“ギャラクシー賞”月間賞にも選ばれています。

SNSでは連日、考察や感想が投稿され、社会現象といえるほどの大盛り上がり。この国民的ドラマこそが、松村さんの俳優としての才能を広く知らしめるきっかけとなりました。

わずか数週間の登場で視聴者を魅了した“好青年”役

本作で松村さんが演じたのは、初代ヒロイン・安子(上白石萌音)の運命を大きく変える青年・雉真稔です。地元の名家の跡取りであり、英語が堪能な稔は、「至誠」「清廉」「律儀」といった言葉が似合う好青年。

その姿は瞬く間に視聴者の心をつかみ、SNSでは「理想の初恋相手」「伝説キャラ」「完璧な王子様」といった称賛の声があふれました。

わずか数週間の出演でありながら、その快演は強烈な印象を残し、第111回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で見事「助演男優賞」を受賞しました。

映画・アニメ・ドラマ…広がる活躍の場

『カムカムエヴリバディ』への出演以降、松村さんは名だたる監督たちの作品に次々と起用されています。

2022年の映画『ホリック xxxHOLiC』(蜷川実花監督)では、クールでミステリアスな百目鬼静役を演じ、第46回日本アカデミー賞で「新人俳優賞」を受賞しました。

同年、新海誠監督のアニメーション映画『すずめの戸締まり』では声優に初挑戦。閉じ師の青年・宗像草太役として、姿が椅子に変わってからのコミカルなシーンや、クライマックスでの「生きたい」という切実な叫びなど、声だけで多彩な感情を表現しました。

その演技は国内外で高く評価され、第46回日本アカデミー賞話題賞の受賞や、米アニー賞声優賞へのノミネートという快挙を成し遂げています。

そして、松村さんのキャリアにおける一つの到達点と言えるのが、2024年の映画『夜明けのすべて』(三宅唱監督)です。『カムカム』で共演した上白石萌音さんと再びタッグを組み、パニック障害を抱える山添くん役を好演。

内面を深く掘り下げた演技で、第16回TAMA映画賞最優秀新進男優賞に加え、歴史ある「第98回キネマ旬報ベスト・テン」で「主演男優賞」を受賞しました。

「理想の初恋相手」から“名優”へ――

松村北斗さんの目覚ましい成功は、決して偶然ではありません。根底にあるのは、役者という仕事への真摯な思いと、尽きることのない探求心です。松村さんの演技への情熱は、周囲のキャストやスタッフのクリエイティビティに火をつけるほど。また、ベテラン俳優からの助言を貪欲に吸収し、常に自己を更新し続けるストイックな一面も――。

朝ドラ『カムカムエヴリバディ』では、ヒロインの相手役というポジションながら、その圧倒的な存在感で作品の成功を支えました。

「理想の初恋相手」から「日本を代表する名優」へ――。松村さんのさらなる活躍に期待は高まるばかりです!


※記事は執筆時点の情報です