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いつ辞めよう…“芸能界引退”を考えた過去→“客席ガラガラ”の挫折で覚醒した『国宝』俳優

  • 2025.12.18

作品ごとにまったく異なる表情を見せ、見る人の心を一瞬でつかむ俳優がいます。今回は、そんな中から"破格の名演で魅せる演技派俳優"を5名セレクトしました。本記事ではその第4弾として、吉沢亮さんをご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

経歴

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

吉沢亮さんは、東京都出身の俳優です。2009年、母親の勧めで受けたオーディションで賞を受賞し、15歳で芸能界入りを果たしました 。2011年、『仮面ライダーフォーゼ』の仮面ライダーメテオ役で注目を浴びますが、当時は「いつ辞めてもいい」と考えていたといいます 。

しかし、主演舞台での“ある挫折”を機に意識が変革。以降、映画『キングダム』での日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞や、NHK大河ドラマ『青天を衝け』での主演など、実力派として着実にキャリアを積み重ねました 。

そして2025年、主演映画『国宝』が邦画実写歴代1位の興行収入を記録する歴史的快挙を達成 。現在は朝ドラからコメディ、重厚な人間ドラマまで幅広くこなす、日本の芸能界になくてはならない存在となっています。

躍進を続ける現在地

吉沢亮さんは現在、2025年を象徴する“顔”として、凄まじい躍進を見せています。2025年6月公開の主演映画『国宝』は、公開から約半年で観客動員数1231万人、興行収入173.7億円を突破(公開172日時点)。22年ぶりに邦画実写作品の歴代興行収入記録を塗り替える金字塔を打ち立てました 。

また、現在放送中の連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK)では、松江の中学校教師・錦織友一役を好演。英語に堪能な秀才役として、ヒロイン夫婦を支える重要な役どころを担っています。

一方で、同年公開の映画『ババンババンバンバンパイア』では450歳のバンパイア役として銭湯で働くコメディ演技を披露するなど、その振り幅の大きさで観客を驚かせました。

さらに2026年には、自身初となるミュージカルへの挑戦も決定。すでに稽古に励む日々を送っており、新たなステージでの活躍に注目が集まっています。

「いつ辞めようか」…空席の客席が変えた運命

今でこそ“国宝級”の輝きを放つ吉沢亮さんですが、デビュー当初は芸能界に全く興味がなく、「いつ辞めようか」とばかり考えていたといいます。

15歳で仕事を始め、地元で遊ぶ友人たちを羨ましく思いながら過ごしていた吉沢さん。転機が訪れたのは、20歳手前で初主演を務めた舞台『ぶっせん』でした。大きな劇場での公演でしたが、客席が埋まらない日々が続き、自分の無力さを痛感。逃げ出したい気持ちの中で、初めて自分のダメな部分と向き合ったそうです。

この悔しさが彼に火をつけました。仕事への認識が変わり、そこから次々と話題作への出演が決まるようになったといいます。

そのストイックな姿勢は、歴史的大ヒットとなった映画『国宝』でも貫かれています。歌舞伎役者を演じるにあたり、最初のすり足ができるようになるまでに3ヶ月を費やしました 。憧れの李相日監督の前で“絶望”を感じながらも役を勝ち取り、積み重ねた努力が、22年ぶりの記録更新という偉業へと繋がったのです 。

自身の原動力は焦りや不安にあると語る吉沢さん。逆境に追い込まれることで自らを奮い立たせるその姿勢こそが、観客の心を震わせる演技の源泉なのかもしれません。

今観るべき出演作品

吉沢亮さんの魅力を語るうえで欠かせないのが、圧倒的な「美」と、役柄ごとに別人に見える「憑依的」な表現力です。ここでは、彼の俳優としての進化を堪能できる“今観るべき代表作”を4本ご紹介します。

『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)

俳優・吉沢亮の原点ともいえる作品。朔田流星 / 仮面ライダーメテオ役を演じ、その端正なルックスとクールなキャラクターで一躍注目を浴びました。当時の彼が抱えていた葛藤も含め、若き日の輝きが詰まった一作です 。

『キングダム』(2019年〜)

中華統一を目指す若き王・嬴政と、戦争孤児の漂という1人2役を演じ分け、第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。凛とした佇まいと、王としての圧倒的なカリスマ性は、「吉沢亮でなければ成立しなかった」と言わしめるほどの名演でした 。

『国宝』(2025年)

邦画実写歴代1位の興行収入を記録した歴史的大作。任侠の家に生まれながら歌舞伎の世界に身を投じた主人公・喜久雄の50年を演じきりました。静かな覚悟と芸への執念が宿るその演技は、まさに映画史に残る“国宝級”の存在感を放っています 。

『ババンババンバンバンパイア』(2025年)

『国宝』と同じ年に公開されたとは思えない、ギャップ全開のコメディ映画。銭湯で働く美しきバンパイア・森蘭丸を演じ、「見た目は綺麗なのに、中身は天然」というアンバランスな魅力を爆発させました。彼のコメディセンスと振り幅を堪能できる一作です。

「焦り」を原動力に、さらなる高みへ

「辞めたい」と思っていた少年は、数々の挫折とプレッシャーを乗り越え、いまや日本映画界の記録を塗り替えるトップ俳優となりました。しかし、吉沢さんは現状に満足することなく、すでに来年のミュージカルという新たな壁を見据えています 。

焦りさえも力に変えて進み続ける吉沢亮さん。その飽くなき挑戦は、これからも私たちに見たことのない景色を見せてくれるはずです。


※記事は執筆時点の情報です