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「かなりデリケート…」地上波では触れがたい“社会のタブー”に切り込む…“生々しさ”が光る傑作ドラマ

  • 2025.12.18

ドラマや映画の中には、その世界観の作り込みに圧倒され、気づけば時間を忘れてしまうほど没入する作品があります。今回は、そんな中から"驚異の完成度で魅せた配信作品part2"を5本セレクトしました。

本記事ではその第5弾として、ドラマ『夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-』(WOWOWプライム)をご紹介します。人格者の塾講師はなぜ殺されたのか――善悪の彼方にある真実と、行き場のない魂の救済を描いた重厚な社会派ミステリーです。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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レッドカーペットで撮影に応じる瀧内公美(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-』(WOWOWプライム)
  • 放送期間:2025年9月14日~10月12日
  • 出演:吉岡秀隆 (平良正太郎 役)

1996年、横浜市内で学習塾を営む講師・戸川勝弘(宇野祥平)が殺害される事件が発生しました。容疑者として名前が挙がったのは、被害者の元教え子で、軽度の精神障害を抱える阿久津弦(野田洋次郎)です。しかし、事件発生から2年が経っても行方はつかめず、捜査は次第に縮小。

そんな中、窓際に追いやられていた刑事・平良正太郎(吉岡秀隆)が、刑事課長・井筒勲(和田正人)の指示を受け、若手刑事・大矢啓吾(高杉真宙)とともに戸川殺害事件の再捜査に乗り出します。

悪い噂ひとつない人格者の戸川が、なぜ命を奪われたのか。平良と大矢は、真相を突き止めるために塾関係者や阿久津の母親(キムラ緑子)、元妻(朝倉あき)、知人などへ地道に聞き込みを重ねますが、謎は深まる一方でした。

一方で、殺人容疑者・阿久津をかくまうことになる同級生の長尾豊子(瀧内公美)や、偶然の出会いから阿久津と関わることになる小学生・橋本波留(小谷興会)など、事件とは無関係に見えた人々の人生も、次第に阿久津を中心に交差していきます。

やがて、バラバラだった点と点がつながり、物語は誰も予想しなかった方向へと動き始めるのでした――。

人間の闇と社会のタブーに切り込む問題作

ドラマ『連続ドラマW 夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-』は、2025年9月14日(日)22時よりWOWOWプライムとWOWOWオンデマンドで放送・配信がスタートしました。全5話構成で、芦沢央さんの小説『夜の道標』(中公文庫)をもとに制作された作品です。

原作は第76回日本推理作家協会賞を受賞した話題作で、人間の善悪のあいだにある“ゆらぎ”を見つめた重厚なミステリーとして高く評価されました。

脚本を手がけたのは倉光泰子さんと森淳一さんで、森さんは監督もつとめています。

主演は吉岡秀隆さんで、未解決事件を追う刑事・平良正太郎を熱演。容疑者の元教え子・阿久津弦役は野田洋次郎さん、彼をかくまう同級生・長尾豊子役に瀧内公美さん、バディとなる若手刑事・大矢啓吾役に高杉真宙さんが出演しています。

さらに、和田正人さん、キムラ緑子さん、小谷興会さん、坂元愛登さん、宇野祥平さんら実力派俳優が集結。

なかでも瀧内公美さんには、「美しい」「演技派の女優さん」「いつも目を奪われる」「演技に惹きこまれた」といった声が多く寄せられ、その繊細で力強い演技が物語に深みを添えました。

地上波では放送が難しいといわれる本作は、社会の闇やタブーを深く掘り下げた作品です。精神障害や虐待といったデリケートな問題を正面から描き、事件を通して現代社会の“見たくない現実”を浮き彫りに。阿久津の苦悩や孤独、周囲の倫理的葛藤を描き出すことで、善悪の境界を問う作品となりました。SNSでは「かなりデリケート…」「よくぞここまで」などの声があがるほど、地上波では難しい題材を生々しくかつ深く描き切った一作です。

“犯人探し”では終わらない…心の深部を問う物語

本作の見どころは、事件の真相を追うだけでなく、登場人物一人ひとりの背景と心情を丁寧に描いた“社会派ヒューマンミステリー”としての完成度にあります。物語の中心にあるのは、1996年に起きた塾講師殺害事件。再捜査をきっかけに、人間の善悪の境界や社会の歪みが次第に浮かび上がっていきます。森淳一監督は、社会問題を描くだけでなく、その中に希望を見出せる構成を意識して制作に臨んだといいます。

中でも際立つのは、人間のもつ複雑さです。刑事・平良と容疑者・阿久津の関係を軸に、立場の異なる人々の苦悩と選択が描かれ、視聴者は“この罪を誰が責められるのか”という問いに向き合わされます。善悪の線引きが揺らぐ構成こそ、本作の深みとリアリティを支える要素です。

キャスト陣の演技が圧巻」「予想外の展開にゾクゾクした」「内容が凄まじくてラストは号泣」「人間描写が秀逸」「WOWOWらしい骨太なドラマ」といった称賛も多く寄せられています。

犯人探しの枠を超え、社会の闇と人間の弱さを真正面から描いた本作。緻密な脚本と演技派キャストの熱演が重なり、登場人物たちの生き様に息をのむ――まさに“驚異の完成度で魅せた配信作品”と呼ぶにふさわしい名作です。


※記事は執筆時点の情報です