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「地上波では放送できない」“18年前の凄惨な事件”に絶句…視聴者を引きずり込む“異色の傑作ドラマ”

  • 2025.12.17

ドラマや映画の中には、その世界観の作り込みに圧倒され、気づけば時間を忘れてしまうほど没入してしまう作品があります。今回は、そんな中から"驚異の完成度で魅せた配信作品part2"を5本セレクトしました。本記事ではその第4弾として、ドラマ『坂の上の赤い屋根』(WOWOWプライム)をご紹介します。18年前の凄惨な事件と、現在進行形の狂気――“赤い屋根”の下に潜む衝撃の真実とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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「ジョー マローン ロンドン」のポップアップイベントに出席した倉科カナ(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『坂の上の赤い屋根』(WOWOWプライム)
  • 放送期間:2024年3月3日 - 2024年3月31日
  • 出演:桐谷健太 (橋本涼 役)

閑静な住宅街に建つ赤い屋根の家で、18年前に開業医の夫婦が殺害され、遺体が切り刻まれた状態で発見されました。
犯人として逮捕されたのは、娘の青田彩也子(工藤美桜)とその恋人・大渕秀行(橋本良亮)。

裁判の途中、秀行が『早すぎた自叙伝』を出版し、過去に女子児童を殺害していたことを自ら明かしたことで、世間は大きな衝撃に包まれました。最終的に、秀行に洗脳された彩也子が犯行に及んだと認定され、主犯の秀行には死刑、彩也子には無期懲役が言い渡されます。

それから数年後、『早すぎた自叙伝』を担当した轟書房の編集者・橋本涼(桐谷健太)のもとに、新人作家の小椋沙奈(倉科カナ)がこの事件を題材にした小説企画を持ち込みました。橋本と沙奈は連載化を目指し、獄中の秀行と結婚した大渕礼子(蓮佛美沙子)、そして秀行の元恋人で敏腕編集者だった市川聖子(斉藤由貴)など、事件関係者への取材を開始。

しかし、取材を重ねるうちに、ふたりは次第に事件の闇と人間のどす黒い感情に引きずり込まれていきます。その果てに待っていたのは、誰も知らなかった衝撃の真実でした――。

“18年前の血の惨劇”が再び動き出す異色の群像劇

『連続ドラマW 坂の上の赤い屋根』は、真梨幸子さんの同名小説(徳間文庫)を原作としたWOWOWオリジナルドラマです。監督は村上正典さん、脚本は吉川菜美さんが担当しています。

キャストには、編集者・橋本涼役の桐谷健太さん、小説家志望の小椋沙奈役の倉科カナさん、殺人事件の被告人・大渕秀行役の橋本良亮さん(A.B.C-Z)、その妻・礼子役の蓮佛美沙子さんが出演。さらに、斉藤由貴さん、工藤美桜さん、七五三掛龍也さん(Travis Japan)など、実力派俳優が集結しています。

なかでも倉科カナさんの演技には、「圧巻だった」「闇の雰囲気が最高」といった声に加え、「ゾッとするほど綺麗」「演技力に引き込まれた」との反響が寄せられました。

放送はWOWOWプライム・4K・オンデマンドにて、2024年3月3日から毎週日曜22時に配信・放送され、全5話で構成されています。本作は、Huluオリジナルドラマ『フジコ』(原作『殺人鬼フジコの衝動』)、『連続ドラマW 5人のジュンコ』に続く、真梨幸子さん原作の3作目の映像化作品です。

物語は「女子高生の娘とその恋人が両親を殺害し、遺体を切り刻む」という衝撃的な事件を中心に展開します。洗脳や血まみれの描写など、生々しいシーンも多く、スポンサーの制約がある地上波では放送が難しい内容です。有料放送ならではの自由度を生かし、原作の“イヤミス”特有の不快感と緊張感を損なうことなく描き切った本作は、WOWOWだからこそ実現できた挑戦的な作品といえます。

WOWOWだから実現した“イヤミス”の傑作

本作の見どころは、地上波では放送できないほどの過激さと、生々しい心理描写にあります。リアルさを極めた演出と、俳優陣の身体を張った熱演が重なり、息をのむような臨場感を生み出しました。SNSでは「冒頭から生々しい」「地上波では放送できない」という声が見られ、視聴者を力強く引き込みました。

テーマは、“イヤミス”の旗手として知られる真梨幸子さんが描く、人間のどす黒い感情の暴走です。嫉妬や見栄、支配欲、そして破滅――そのすべてが少しずつ積み重なり、やがて誰も止められない悲劇へとつながっていきます。登場人物の誰ひとりとして完全な悪ではなく、同時に正義でもありません。その曖昧な境界の中で、視聴者は「誰に共感すればいいのか」を見失い、最後まで目が離せなくなります。この“混乱”こそが、本作の醍醐味といえるでしょう。

「登場人物の行動に納得できなかった」「終盤の展開が少し急だった」といった指摘がある一方で、「全員がどこか異常なのに面白い「不穏な空気が癖になる」「イヤミスとしての完成度が高い」「結末に鳥肌が立った」「WOWOWの作品はやはり期待を裏切らない」「最高のドラマ」といった称賛の声が相次ぎました。

人間の欲望と罪の連鎖を徹底的に描き出した、ドラマ『坂の上の赤い屋根』。痛々しいほどのリアリティと、緻密に練り上げられた脚本、そして俳優陣の熱演がひとつになり、観終えたあとも深い余韻が残ります。登場人物たちの行動が映し出すのは、誰の心にも潜む“闇”そのもの――まさに“驚異の完成度で魅せた配信作品”と呼ぶにふさわしい名作です。


※記事は執筆時点の情報です