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「本気度が違う」「地上波では無理だろう」配信開始から4年 “桁違いの完成度”に相次ぐ称賛…人気女優の“体当たり演技”光る名映画

  • 2025.12.14

ドラマや映画の中には、その世界観の作り込みに圧倒され、気づけば時間を忘れてしまうほど没入してしまう作品があります。今回は、そんな中から"驚異の完成度で魅せた配信作品part2"を5本セレクトしました。

本記事ではその第1弾として、映画『浅草キッド』(Netflix)をご紹介します。昭和の浅草を舞台に、伝説の芸人とその師匠が織りなす、不器用で熱い師弟愛の物語とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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「エル シネマアワード2019」授賞式 門脇麦(C)SANKEI
  • 作品名(配信):映画『浅草キッド』(Netflix)
  • 配信開始日:2021年12月9日
  • 出演: 大泉洋 (深見千三郎 役)/ 柳楽優弥 (ビートたけし 役)

昭和40年代の浅草。大学を中退したタケシ(柳楽優弥)は、「ストリップとお笑いの殿堂」と呼ばれたフランス座でエレベーターボーイとして働き始めます。そこで舞台に立つ深見千三郎(大泉洋)のコントに魅せられたタケシは、深見に弟子入りを志願。ぶっきらぼうながらも芸に対して真摯な深見のもとで、タケシは“芸ごと”の真髄を徹底的に叩き込まれていきます。

「笑われるんじゃねえぞ。笑わせるんだよ」――師匠・深見の教えを胸に、歌手を夢見る踊り子の千春(門脇麦)や、深見の妻・麻里(鈴木保奈美)らに見守られながら、タケシは芸人として少しずつ成長していきました。

しかし、時代の波は残酷で、テレビの普及とともにフランス座の経営は悪化の一途をたどります。そんな中、元先輩のキヨシ(土屋伸之)から漫才コンビを組まないかと誘われたタケシ。師匠への恩義を感じながらも、深見の反対を押し切り、フランス座を離れる決意を固めます。

やがて二人は“ツービート”を結成し、新しい時代の笑いを切り開いていくのでした――。

構想7年…劇団ひとりが捧げた“芸人への賛歌”

『浅草キッド』は、ビートたけしさんが自身の半生を綴った自伝的小説と、名曲『浅草キッド』を原作にしたNetflix映画です。監督・脚本を務めたのは、幼い頃からたけしさんを敬愛してきた劇団ひとりさん。2014年の映画『青天の霹靂』で監督デビューを果たしたのち、長年温めてきた構想を7年の歳月をかけて形にしました。2021年12月9日よりNetflixで全世界同時配信がスタート。主題歌には桑田佳祐さんの『Soulコブラツイスト〜魂の悶絶』が起用されています。

キャストには、師匠・深見千三郎さんを大泉洋さん、若き日のビートたけしさんを柳楽優弥さんが演じ、門脇麦さんが踊り子の千春、ナイツの土屋伸之さんが相方・キヨシ、鈴木保奈美さんが深見さんの妻・麻里を演じています。

なかでも、踊り子の千春を演じた門脇麦さんには、「演技が超絶すごい」「ストリッパー役がはまってた」と称賛の声が集まりました。夢と現実の狭間でもがく踊り子をリアルに演じ、その存在感に「圧倒された」「すばらしい女優さん」との感想も。「最高」「大好きで何度も観ている」といった声が示すように、門脇さんの体当たりの演技は、本作に欠かせない輝きを放っています。

舞台となったのは、昭和40年代の東京・浅草。「ストリップとお笑いの殿堂」と呼ばれたフランス座を中心に、当時の浅草六区の街並みや演芸場の熱気が、Netflixならではの潤沢な予算と高い映像技術によってリアルに再現されました。

また、踊り子たちがストリップショーという舞台で、生きるための糧と夢のあいだでもがく姿も生き生きと描かれています。“笑い”と“裸”が隣り合わせにある独特の世界観や、地上波では放送コードに触れそうなリアルな演出は、配信作品だからこそ実現できた表現と言えるでしょう。

劇団ひとりさんは、観客を笑わせることにすべてを懸けた芸人たちの生き様を通して、浅草の人情と芸の厳しさを描きました。作品の軸にあるのは、時代に取り残されながらも信念を貫く師匠・深見と、外の世界へ羽ばたいていく弟子・タケシの絆です。

昭和の浅草を舞台に、人と人との距離が近かった昭和の時代のぬくもりと、芸人としての誇りを丁寧に映し出した本作は、観る人の心を揺さぶるヒューマンドラマとして高い評価を受けました。

「地上波では無理」Netflixの本気が生んだ傑作

本作の見どころは、なんといっても芸にすべてを懸けた師匠と弟子の不器用な絆にあります。とくに、深見が放つ「バカヤロー!」という言葉。これは単なる怒声ではなく愛情の裏返しであり、その厳しさの中にある優しさが観る者の胸を打ちます。

やがてタケシが芸人として成長し、漫才の世界へと飛び出していく姿は、古き良き昭和の芸人たちの生き様そのものです。

ストリップの猥雑な空気感や芸の厳しさ、人間臭さをリアルに描き出した世界観は圧巻で、その生々しさとスケールは「地上波では無理」と称されるほどの完成度を誇っています。

一部に、「漫才シーンが物足りなかった」「もっと攻めてほしかった」といった意見もありましたが、その一方で、「この映画を観たくてNetflixに入った」「深見師匠の優しさに泣かされた」「芸人魂に感動した」との感想が多数寄せられました。「本気度が違う」「地上波では無理だろう」劇団ひとり監督の最高傑作」「日本映画の名作」と称賛する声も多く、作品への熱い支持が伝わってきます。

師弟の絆を通して、芸に生きる人々の覚悟と愛情を描いた映画『浅草キッド』。昭和の情景とともに、時代を超えて観る人の心を揺さぶる――まさに“驚異の完成度で魅せた配信作品”と呼ぶにふさわしい一本です。


※記事は執筆時点の情報です