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<保育士の葛藤>小さい子同士のケンカ、保護者にどう伝えれば?「誰にやられたか」は伝えなかった結果

  • 2025.11.30

2歳児クラスで起きた小さな引っかき傷。園が「親同士のトラブルを防ぐため」に伏せていた“ある情報”を、保護者は声を荒げて追及して……。友人が、体験談を語ってくれました。

画像: <保育士の葛藤>小さい子同士のケンカ、保護者にどう伝えれば?「誰にやられたか」は伝えなかった結果

2歳児クラスの配慮

私は保育士として、2歳児クラスを担当しています。

この年齢の子供たちに強い悪意はなく、トラブルの多くは「おもちゃを譲ってもらえなかった」「大きく振りかぶって手が当たった」といった、まだ感情や運動のコントロールが未熟なゆえに起こるもの。

私たちの園では、子供同士のトラブルで小さなケガが起きた場合、保護者の方には保育士の目が行き届いていなかったことを詫び、事実を説明します。

年齢が低いほど、「誰が、誰にやったか」という情報は伝えません。

これは、親御さんの不安を大きくし、トラブルを家庭や親同士の関係に持ち込ませないための、園側の配慮です。

多くの方がこの説明に「そうでしたか」と納得してくださいます。

しかし、中には「誰にやられたんですか!」と声を荒げる親御さんもいて……。

親御さんの衝撃の要求

ある日、わが子の手の甲に小さな引っかき傷を負ったAさんから、強い追及を受けました。

「真実を教えてください。誰にやられたのかわかれば、家でうちの子に『あの子には近づいちゃダメだよ』と教えられますから!」

と言うAさん。

私は、その言葉に大きな衝撃を受けました。

Aさんが知りたいのは、トラブルを起こす子を特定し、避けるための情報だったのです。

私では手に負えず、園長の対応となりました。

善意の「情報非開示」が不信感を生む?

園長は、

「園での2歳さんクラスのトラブルの原因の多くは、特定の誰かが一方的に悪いわけではありません。今回も同じです」

と、冷静に説明を続けました。

しかし、Aさんは納得せず、不信感を募らせてしまったのです。

この一件で私が悟ったのは、保護者の方にとって、園の配慮が、強い不信感につながることもあるということ。

そして、わが子を守るためなら「加害者」を特定し、排除したいという親もいるということでした。

「誰のせいか」ではなく「なぜ起こったか」

私たちは善意や全体のことを考え情報を伏せていましたが、それが親御さんの不安を煽り、無用なトラブルを生む危険性もあると学びました。

以来、園では「誰のせいか」ではなく「どうして起こったか」という背景をより丁寧に、粘り強く伝えるように対応を改めています。

驚いた出来事でしたが、保護者の方の不安な気持ちを深く理解できた出来事でした。

【体験者:20代・保育士、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。

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