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「NHK、本気の配役」「期待高すぎ」国際オーディションや国民的俳優… NHKが掲げる“プロジェクト”、新ドラマが話題

  • 2025.12.6

2025年12月、全3回にわたって放送予定のNHK特集ドラマ『火星の女王』について、早くもSNS上では「楽しみ」「期待度高すぎ」「NHK、本気のキャスティング」と話題の声が多く挙がっている。舞台は、人類の移住が完了して40年経っている火星。そこに突如現れた謎の“物体”が、火星と地球の運命を変えていく、という物語だ。

SF小説の俊英・小川哲による原作をもとに、ドラマ『17才の帝国』の吉田玲子が脚本を手がける大型ヒューマンSF。視覚障害のあるヒロイン・リリ(スリ・リン)と、地球の青年・白石アオト(菅田将暉)の交差する運命、そして人類の希望と野望が交錯する“次の100年”の物語に期待が高まる。

火星と地球、ふたつの心をつなぐ物語

人類が火星移住を果たして40年後、火星には約10万人が暮らしている。しかし“安定”という言葉は、そこにはまだ存在していない。惑星宇宙開発機構ISDAによる支配、自由を求める住民たち、そして日々変化する火星環境において、人々はそれぞれの選択をしながら生きていくしかない。

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放送100年特集ドラマ『火星の女王』第1話 12月13日放送(C)NHK

そんな火星に生まれ育ったのは、盲目の少女・リリ-E1102。彼女は火星のアカデミーを卒業し、地球行きを目前に控えていた。白石アオトとは火星でおこなわれた研修で知り合い、ともに同じバンド『ディスク・マイナーズ』のファンであることがわかる。音楽を愛する者同士として、心を通わせていく。

リリとアオト、火星と地球、交わるはずのなかった物語が、ひとつの軸に集束し始める過程を描くのは、SF界隈で名高い作家と脚本家のタッグだ。

小川哲×吉田玲子:SFと感情が共鳴する、濃密で繊細な世界観

原作は、話題作『ゲームの王国』『君のクイズ』などで高い評価を受ける小説家・小川哲。火星にある鉱物・スピラミンの発見を発端に、惑星間での駆け引きや陰謀が渦巻くスケール感あふれる物語を描く。人類の希望、野望、そして科学技術の進化と限界を描き出す筆致は、まさに“いま読むべき”SFの醍醐味に満ちている。

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放送100年特集ドラマ『火星の女王』第1話 12月13日放送(C)NHK

くわえて、脚本を担当するのはアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』やドラマ『17才の帝国』などで知られる吉田玲子。彼女の魅力は、壮大なSFの世界を舞台にしながらも、登場人物の内面や感情にフォーカスし、繊細に描き出す手腕にある。

今回は視覚障害をもつヒロインという難しい役どころに、日常と非日常、個人と社会という複雑な要素を重ね合わせ、観る者の心に深く残る人間ドラマを届けてくれそうだ。

NHKが掲げる『宇宙・未来プロジェクト』の一環として放送される今作は、SFでありながら哲学的問いも孕んだ重厚な構成になると予想される。見知らぬ物体である“それ”は人類に何をもたらすのか? そして、それに出会ったとき、私たちは何を信じ、誰の手を取るのか?

スリ・リンと菅田将暉が挑む“遠くて近い”愛のかたち

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放送100年特集ドラマ『火星の女王』第1話 12月13日放送(C)NHK

音楽好きで火星生まれの主人公・リリを演じるのは、国際オーディションで選ばれたというスリ・リン。視覚障害を抱えながらも前を向き、生きる選択をし続けるであろうヒロイン像には、深い人間性が託されているように思える。

一方、地球側から物語を支えるのは、若き職員・白石アオト役の菅田将暉。研修で火星を訪れた際にリリと出会い、共通の音楽趣味を通じて心を通わせた過去を持つ。父の失踪の謎を追うなかで、アオトもまた巨大な陰謀の真相に近づいていくはずだ。

このふたりが交わす“まだ誰にも話していない約束”が、物語全体の静かな導火線になる予感がある。星と星を越えた、手紙のような想い。互いに見えなくとも、確かに届いていると信じる気持ち。そこに込められた希望と切なさが、視聴者の胸を打つことだろう。


NHK総合 放送100年特集ドラマ『火星の女王』2025年12月13日放送

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_