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【山内マリコ】祖母から託されたファミリージュエリーと私。

  • 2025.11.21

出合った瞬間に心を躍らせるときめき、ともに重ねた時間、そして、いまの自分に寄り添う大切な存在。愛すべきジュエリーとの物語を審美眼を持つ5人が語る。

山内マリコ  作家

左上2点のネックレスは、ロングパールだったものを山内さんがリメイクしてふたつに分けた。Tシャツやニットに合わせ、この中ではいちばん出番が多いジュエリー。右端のネックレスは真珠の玉が大きく、より華やかな存在感を放つ。すでにその他のネックレスを譲り受けていたけれど、玉のサイズが異なるものを揃えれば、ファッション次第で楽しめるからと託されたもの。

「祖母からバトンを託されたヴィンテージジュエリー」

パールのジュエリーとロレックスの時計は、すべて祖母から譲り受けたものです。着道楽だった祖母は、いつもカラフルなスーツを着て、ヒールを履き、アクセサリーを身に着け、おしゃれを楽しんでいた人。10年ほど前から、祖母の家へ遊びに行くたびに大切に集めていたジュエリーを私や従姉妹に少しずつ分けてくれました。気がつけば、これほどの数を受け継ぐことになっていました。ありがたいと同時に、私の好みは形も色も派手なコスチュームジュエリーなので、すぐには着ける機会はほとんどありませんでした。唯一、手巻きのロレックスは興奮して数回着けたことがあるのですが、残念ながら止まってしまい、修理も叶わず。ただ、何よりうれしかったのは、祖母が大切にしてきたジュエリーを孫に受け継いでくれたというその気持ちです。祖母は戦争を経験しているので多くの物を失い、我慢を強いられた時代を過ごしました。だからこそ、高度経済成長やバブル期に物質的に豊かになっていく喜びを感じていたのだと思います。このパールを眺めていると、祖母が「買う役目」、そして昭和の良い時代をくぐり抜けてきたジュエリーを引き継ぐ「バトン」を渡されたのが私だと感じます。だからこそ、いかに着けて楽しむかを考えます。

パールは時々身に着けますが、ブローチは攻略までの道のりが長い(笑)。60歳を超え貫禄あるマダムになる頃、しっくりくるのかもしれません。そう考えると、時代を超えて装う楽しみが続いていくことに、ジュエリーの魅力があるのだとあらためて感じます。

MARIKO YAMAUCHI
富山県出身。2012年に『ここは退屈迎えに来て』で作家デビュー。同作のほか『あのこは貴族』などが映画化され、多くの支持を得る。最新刊は『きもの、どう着てる?私の「スタイル」探訪記』(プレジデント社刊)。
@yamauchi_mariko

photography: Masanori Akao(whiteSTOUT) styling: Yuzuka Tsuji hair & makeup: Kazuki Kita(Permanent) editing: Aya Sasaki

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