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「食べさせられそうになったの覚えてる?」メディアを騒がせた《コオロギ食》をSNSが懐古…コオロギ食の「現在地」とは

  • 2025.11.7

「食べさせられそうになったの覚えてる?」SNSで思い出される「コオロギ食」

コオロギ食ブーム、どうなった?/画像:無印良品「コオロギせんべい」
コオロギ食ブーム、どうなった?/画像:無印良品「コオロギせんべい」

2025年11月、X(旧Twitter)上で数年前に話題となった政治家によるコオロギ食画像が再び拡散し、大きな話題を集めています。その投稿には、「そういえばコオロギ食どうなったんだ?」「結局デマだったのか?」といった、当時のブームに対する戸惑いや疑問の声が多く寄せられています。

一時は「未来の食」としてメディアを賑わせたコオロギ食。あの熱狂はどこへ消えたのか?そして今、本当に「終わり」を迎えたのでしょうか?

本記事では、一過性のブームに終わった理由を分析し、私たちの知らないところで静かに進化しているコオロギ食の「現在地」を、事実に基づいて深掘りします。

なぜあのとき「コオロギ食」が大注目されたのか?

コオロギ食が脚光を浴びたのは、主に「環境問題」と「栄養価」という2つの大きな理由があります。

地球に優しい「サステナブルフード」

国連のFAO(食糧農業機関)が、2013年の報告書で昆虫食を「持続可能なタンパク質源」として推奨したことが大きなきっかけとなりました。コオロギは、牛に比べて温室効果ガス排出量が大幅に少なく、水や土地の使用量も少ないため、環境負荷が低い点が評価されています。

高タンパクでミネラル豊富な「スーパーフード」

コオロギは健康志向の高い消費者にとっても魅力的な栄養価を持っているとされています。

一つは、高タンパク質。 肉や魚に匹敵する豊富なタンパク質として注目されました。もう一つはミネラル。亜鉛、鉄分、カルシウムなどが豊富なこともポイントです。こうした流れを受け、日本では2021年の無印良品「コオロギせんべい」の即日完売など、大きなブームとなりました。

文化と経済、そして「押し付け」の印象がブームを冷やした

しかし、ブームは長く続かず、一過性の話題として沈静化しました。その背景には、以下の三つの大きなハードルがありました。

まず「文化的な抵抗」があったこと。多くの日本人にとって、昆虫食は食文化としてなじみがなく、当初の好奇心から消費者の購買意欲は急速に冷めました。

次に、経済的なハードルが挙げられます。コオロギの飼育には専門知識とコストがかかり、採算が合わないケースが続出しました。実際、。2024年にはコオロギ食関連企業の倒産が相次いでおり、コオロギ食の普及をリードしていたスタートアップ企業の一つが、先行投資の負担などから2025年1月に破産開始決定を受けました。

さらに、健康への懸念も。コオロギの成分がエビやカニなどの甲殻類と類似していることから、アレルギーによる交差反応の可能性が指摘されていました。しかし、ブームの初期にはこのリスクに関する情報が十分に行き渡らず、消費者の間で漠然とした「安全性への不安」が広がり、購入をためらう大きな要因の一つとなりました。

特に拒否感につながったのは、政治的論争による「押し付け」の印象でしょう。政治家による啓発的な行動や昆虫食への取り組みが大きく報道されることで、一部の消費者には「強制されている」「食べさせられそうになった」「陰謀だ」という印象を抱き、SNS上での強い批判を生みました。これが、消費者の好奇心から嫌悪感へと急速に転じる大きな一因となり、急速にブームを冷ます結果となりました。

コオロギ食の「現在地」は?

さて、コオロギ食の現在地ですが、「ブームはほぼ終了している」で結論づけてよさそうです。

国内ではブームが落ち着いた一方で、タイなど昆虫食が文化として根付く国では、調理法の進化などにより「第二次ブーム」が起きていると報じられています。日本も、こうした海外の成功事例から学び、国際的な技術交流を進めることで再度コオロギ食が日の目をみることがあるのかもしれません。

再ブームの可能性は否定できない

コオロギ食ブームは去った、と言っても過言ではないでしょう。しかし、Xで「コオロギ食」が今一度思い起こされたように、コオロギ食が再度注目され、日本で再ブームを起こす可能性はあるのかもしれません。私たちの「食」の未来は、コオロギに限らず、代替肉や培養肉など、多様な選択肢によって変化していく方向に舵を切っています。コオロギ食・昆虫食の今後の動向に引き続き注目です。

※ ※ ※

昆虫食に興味があっても、実際にはなかなか食べる機会がないもの。しかし、静かに実用化が進む中、昆虫食を体験できるイベントも開催されます。

2025年11月16日(日)には、中野駅南口・桃園会館にて、食べる虫をテーマにした「東京虫食いフェスティバル」開催されます。興味を持った方は、ぜひこの機会に、未来の食を体験してみてはいかがでしょうか。

(LASISA編集部)

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