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あふれんばかりのスリルとサスペンスに満ちた令和最大の衝撃作『爆弾』に出演する山田裕貴と佐藤二朗が語り尽くす!【sweet web独占】

  • 2025.11.7

「でも爆発したって別に良くないですか?」佐藤二朗さん演じるスズキタゴサクが言い放つこの一言が流れるCMや予告編が印象に残っている人も多いであろう、映画『爆弾』。原作は『このミステリーがすごい!2023年版』(宝島社)『ミステリが読みたい』2023年度版」(ハヤカワミステリマガジン2023年1月号)で1位を獲得した、呉勝浩によるベストセラー小説。爆弾予告をする謎の中年男と、爆弾のありかを探す警察との謎解きゲームが繰り広げられる。作品の中で謎を解き明かしていく刑事を演じた山田裕貴さんと謎の中年男を演じた佐藤二朗さんがsweet webに登場。作品の魅力からスウィートすぎる二人の関係性まで語り尽くしてくれました。

東京全域に仕掛けられた爆弾を探すため、取調室での謎解きゲームが始まる!

お二人が原作を読んだときの感想は?

山田裕貴(以下、山田)「とにかく面白すぎました。これを1本の映画で表現することができるんだろうか、というのが正直な感想でした。上中下の3本、少なくとも前後編の作品にしてもいいくらいの濃密なストーリーで、それを1本にすべて詰め込むことができたのは、本当にこの作品に関わったすべての人の全力投球があったからだと思います」

佐藤二朗(以下、佐藤)「僕が作品に出会ったのは、信頼を置いている映画プロデューサーと飯を食っていた時。その方が“二朗さん、ちょっとすごい小説があるんだよ”って言って“その中にスズキタゴサクという人物がいて、それを二朗さんが実写版でやると面白いと思うんだけど”って言うわけです。その後に正式なオファーが来て、こないだ話してたのはこれだってなって、そこで原作を読んだという流れだったのですが、感想としては裕貴と一緒です。ちょっと触っちゃいけないんじゃないかって思うくらい面白い原作なのでこれを実写化して大丈夫かっていう。裕貴も言ったけど、キャストやスタッフが同じ思いで作り上げた作品。渡部篤郎の言葉を借りるなら、みんなで最後の大切な試合を戦っている感覚でした。警察達の仲間を守りたいという思いや罪のない市民を死なせてはいけないという必死さに通じて、とにかく全てが完璧でした。なので本当に極上の映画体験ができると思うのでぜひ劇場に足を運んでほしい」

山田さんが演じた類家はどんな人物ですか?

山田「僕はあそこまで頭はよくないけれど、マインドが一緒だなと感じていました。登場するのも物語の中盤からなので、途中からリングに上がるような感覚もプレッシャーでした。そんな中、僕が化け物みたいな俳優だと思っている佐藤二朗さんと対峙しながらお芝居をするのはすごく楽しかったです。楽しい中にもプレッシャーはありつつ、それを乗り越えるには類家と自分の考え方が似ていることが唯一の頼りになりました」

マインドが似ているというと感じたのはどんな部分ですか?

山田「類家って本当は人を信じたいし信じてもいるけれど、多分そういう環境に恵まれずにきたというか、打ちのめされたことが今まで何度もあった人生だったんじゃないかと思うんです。例えば自分の頭のよさが上手に活用できなかったり、人と考えが違うことで生きづらさがあったりしたんだと思うんです。僕は、そこまでではないけれど、そんな感情を感覚として味わったことがあって。それは自分が優れているということではなく、この世の中って生きづらいことが多いよなっていうところに共感するという意味で、マインドが一緒なような気がしている、ということです」

佐藤さんが演じたスズキタゴサクはどんな人物ですか?

佐藤「まずはどこにでもいそうな中年の親父であると。小太りでありメタボであると。それだけでなく中日ドラゴンズファンだと。はい、ものすごく私そのものです。さらに言うと、この物語は野方警察署が舞台になっているのですが、私、東京で初めて住んだ街が野方なんで、ここまでくるとね、もうこの役は他の誰かに渡したくないという思いがありましたね」

それだけ思い入れのある役だったと。物語の中では10円ハゲも印象的でした。あれも役作りの一環ですよね?

佐藤「はい、まず坊主にしまして。10円ハゲは特殊メイクでもできるけどそれはしたくなかった。なのでメイクさんにやってもらいました。でも日々、その部分は伸びてくるので、作品中は日々ウィ〜ンと剃ってもらっていました。となると、普段は帽子なしでは歩けないわけです。ただの坊主ならいいんですけど、10円ハゲがあるとなると、見た人もいじれない。例えば知り合いに会っても“二朗さん、10円ハゲができてるね”とは言わないで、心の中で“二朗さん、いろいろ悩みがあってストレスを抱えてるんだ”って思うわけです。となると毎回全部僕は説明をしなくちゃいけなくなるので、面倒くさいから帽子をかぶっていました。それが半年くらい続きましたね。今は帽子なしで外を歩けるようになってよかったです」

タゴちゃん、気持ちはわからなくもないよ”という思いを持って演じた類家

物語の中盤から始まるスズキタゴサクと類家が取調室で対峙するシーンは、鬼気迫る迫力でした。このシーンを撮影するにあたって事前にお二人で打ち合わせなどはされたのでしょうか?

佐藤「打ち合わせはなかったです。撮影は今年の1月からで去年の年末に本読みがあってその後、リハーサルがあった程度。あとは現場で作っていった感じです。裕貴も主役というプレッシャーがあるし、中盤からあの椅子に座る。その前も等々力(染谷将太)と話したり、謎解きをしたりしてはいるものの、スズキタゴサクと対峙するのは中盤以降。その前には清宮(渡部篤郎)が対峙している。渡部さんは超一流の俳優。そのあとの登場はやはりプレッシャーだったと思います。今回は割と順撮り(物語通りに撮影が進められること)だったんですけど、いよいよ類家が取調室の椅子に座るシーンが始まる前に、それまで脇でペン回しをしていた裕貴が、取調室の机の前に来て机を触りながら“間も無くここに俺が座るから、ちょっとここの空気を感じたい”みたいなことを言ってたのが印象に残ってる」

山田「そうでしたね。僕も覚えています。いや、もう本当に素晴らしかったんです。そこに至るまでの二朗さんのスズキタゴサクが」

佐藤「それはね、類家が俺の前に座る前からずっと言ってくれてて、その言葉は俺の勇気になった。その言い方も裕貴が心の底から思っている感じが伝わってきたので嬉しいなと」

山田「本気で思ってました。僕は普段あんまり簡単に素晴らしいとか言わないし、なんなら先輩に僕なんかがそんなことを言わなくてもと思いますし」

佐藤「もう本当に言わざるを得ないって感じ?」

山田「はい。ものすごい台詞の量をあんな風に仕上げて、テンションも落とさずに芝居を続けているのがもうすごい。それを見ていて、このシーンではこういう顔をする、というような芝居のトーンはご自身の中でなんとなく決めてらっしゃると思ったので、僕自身は何かプランを持って類家を演じるということよりも、類家がそこでどういうことを思っているのかという感情を表現することが大切だと思っていたので、それだけを考えていました」

佐藤「裕貴は、今(芝居のトーンを)決めていたって言ってたけど、実際はそんなことはなくて。スズキタゴサクはすごい喋りまくる役で、半端ないセリフの量なんで、考えてきたことは現場では1回ゼロにしてスタートする。その中で、このワードではこれが使えるっていうのを瞬時に引き出していく作業でした。撮影では演出家を始め、対峙する共演者と一緒にその場で空気感を作ったり、あるいはクオリティを高めていく方が絶対に楽しい。だから、決めていったことはそんなになく、その場でやったことの方が多かったです。それは監督から引き出してもらったこともあるし、裕貴からもらったこともある。だから“にゃにゃにゃにゃ……”って呟いたり机をバーンっと叩くのも台本にはなくてその場で監督に提案されて生まれたこと。だから自分のプランよりも現場でもらったり、お互いに高め合っていった方がやっぱりいいんですよ。しかも楽しいし」

スズキタゴサクと類家の取り調べの最中に、“人を殺したいと思ったことがある”など、警察官で正義の人であるはずの類家の内なる感情が引き出されていく場面では、善人と悪人の境が曖昧になり、類家が悪者にすら見えることもありましたが、それも狙いだったのでしょうか?

山田「警察官でありながらも類家は本当に心の中で思っていたことだと思うんです。そこが、僕と似ているという部分でもあって。世界なんて一度ぶっ壊れてしまえばいいんじゃないかと。でも、そんな面倒なことはしない。したって割に合わない。(犯罪をするかどうかというのは)それぐらいの理由で。類家にとっての希望は、ポークステーキ丼を腹一杯食えればそれでいい、それくらいしかないかもしれないけれど、踏みとどまれるかどうかというのが大きな違いなんですよね。その部分を表現しなくちゃいけないと思っていましたし、最終的に類家がスズキタゴサクにかけられる言葉って“タゴちゃん、気持ちはわからなくもないよ”ということなんです。これは等々力も言っていましたけど」

ある意味、スズキタゴサクと類家は分かり合えてると。

山田「清宮は類家のことを危ない奴だと思っているけれど、優秀だから使ってくれている。類家のことを警察のルールや倫理観で測らない人だからこそ、そこに信頼感が生まれるんです。だから類家は清宮のことだけは信頼しているし、他の刑事の評価はどうでもいい。類家にしてみれば、事件の謎が解ければいいんです。だってその方が死んでしまう人の数が少なく済むんだからっていう。僕はそこまで人のことを気にして生きてはいないですけど」

佐藤「僕もあの場面は原作を読んだ時から印象に残っていました。スズキタゴサクの“人を殺したいと思ったことはありますか?”という問いかけに類家が“ああ、あるよ”と答える。類家にとっては“ちょっとタバコ買ってくるわ”っていうのと同じくらいなんでもないことの重さで答えるところがすごい。もちろん刑事としては言ってはいけないことなんだけど、裕貴もまさにそんな感じで演じていたから、あそこがすごく好きで。(映画を観てくれる)お客様もあのシーンで“ほら来た!”と思うと思うんです。類家ならスズキタゴサクを倒せるかもって俺はあの瞬間思ったわけですよ。だからね、すごく好きなシーンなんです」

まさにラスボスが現れた感覚ですね。

山田「怪物は怪物にしか倒せないみたいな怪物感を出すにはどうすればいいかを考えた時に、いつでも人は死んでいて、警察が全ての命を守ることはできない。だから類家は“俺も殺したいと思ったことあるし”くらいに思っていて。けれど、目の前の問題が解ければ助かる命がある。スズキタゴサクと対峙した時にシンプルに全力で向かっていくのが類家だなと思いながら演じていました。だからプランありきではなく、1つ1つのやり取りで起こるマインドを考えることで道ができていくという感覚でした。あとは、そのセッションの中で“タゴちゃんと話すのって面白い”って。“こんな奴いなかったな”と笑い出す演技は台本にもなくて、現場で自然に生まれてきたものなんです」

心の中に押し込めている感情をスズキタゴサクによって表に出したのは、類家だけでなく他の警察官もでしたよね。スズキタゴサクの底しれない凄みを感じます。

佐藤「まさに清宮がそうですよね。渡部さんの清宮は最高に美しく、切なく、カッコよく、痺れます。ところで僕はスズキタゴサクを演じ終わった今も、彼が何者かがわからないんですよね。この人が何者かわかった瞬間、精神が破綻してしまうんじゃないかと思うんです。そんな状態に一瞬陥ってしまったのが清宮だった。そのあとの男の『負けの美学』を体現する渡部さんが、とてつもなく哀しくて、最高にカッコいいんです」

作品製作中に垣間見えたお互いのスウィートな部分に注目

作品の中では緊迫するシーンが描かれていましたが、撮影以外の場所ではどのようにコミュニケーションを取っていたんですか?

佐藤「最初に飲みに行ったりしたよね。裕貴とは同郷なせいなのか、以前映画祭で会った時から、なんかちょっと慕ってくれてる印象があって。X(旧twitter)でもフォローしてくれているんだけど、俺はそれを全く知らなくて。テレビで裕貴が志村けんさんの役をやった時に(『志村けんとドリフの大爆笑物語(2021/フジテレビ)』)、福田雄一さんの演出ということで、僕も気になってXを見たらフォローしてくれていることに気がついて」

山田「あの作品はコロナ禍だったので5年くらい前ですね。僕はもっと前から面白い俳優さんだなと気になっていて。なので、もう一種のファンみたいな気持ちで追っかけていたみたいな感覚でした」

佐藤「なんだかんだ色々ご縁を感じていたんだけど、やっぱり今回は芝居で共鳴できたのが嬉しかったですね」

そして、『sweet』という雑誌名にちなんで、お互いのスウィートな部分を教えてください。

佐藤「すぐにちなむんだから(笑)」

山田「撮影の合間、二朗さんが寛一郎(伊勢役)君のことをすごく可愛がっていたんです。僕は寛一君って呼んでいるんですけど、寛一君のことばっかり可愛がるから、僕ももうちょっと可愛がってほしいなとずっと思っていました」

佐藤「そんなの、今、初めて聞いたわ(笑)。作品の中でね、冒頭からずっと一緒にいるのが彼だけなのよ」

山田「それで、“寛一、面白いなぁ”っていつも二朗さんが言ってて。寛一君って撮影現場で、今日はもう帰れるってなったらすごく嬉しそうな顔をするんですよ」

佐藤「そうそう。物凄いね、笑いを噛み殺したような顔をするんだよね。先輩方はまだ残っているわけだから、あんまり笑っちゃいけないんだけど、嬉しさが隠しきれないのが、可愛いな、こいつって思って」

山田「そんな寛一君を見ている二朗さんがスウィートだなって」

佐藤「僕は確かに寛一郎を可愛がっていたんですけどね、そんな風に思う必要ないのに、僕も可愛がってほしいなって思う山田裕貴がスウィートです」

美容家電のCMに出演されている山田さん、変わらない若々しさをキープし続けている佐藤さんそれぞれに美の秘訣を教えてください。

山田「結局は心なんだと思います。真心が一番大切。僕自身ができているかどうかはわからないけれど、そうありたいと思うし、自分が正しいと思うことにすら疑う心を持ち、自分はちゃんと輝けているのか、人に輝きを与えられる人になっているかということを日々考えることが大切だと思います」

佐藤「それを俺の意見として採用していただきたいです」

最後に、10月31日より公開中の映画『爆弾』を見てどんなことを感じてほしいですか?

佐藤「そういう杓子定規な問いかけが当てはまらないというか、何を感じてほしいとかではなく、極上の映画体験を映画館で味わってほしいという思い、もうそれだけです」

山田「観る方が誰を中心に観るのか、それをどう感じるかで全く違う内容に見えてくると思うので。だからこう見てほしいと提示してしまうことで狭めてしまうことになってしまう気がするので、まずは極上の映画体験を体感してください」

佐藤「盗まれた。完全に(言いたいことを)盗まれました!」

山田「あなたの爆弾はどこにありますか?その答えを映画館で見つけてください!」

映画『爆弾』

公開日:10月31日全国ロードショー
(c)呉勝浩/講談社 (c)2025映画『爆弾』製作委員会

STORY酔った勢いで自販機と店員に暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。やがてその言葉通りに都内で爆発が起こり、スズキはこの後も1時間おきに3回爆発すると言う。スズキは尋問をのらりくらりとかわしながら、爆弾に関する謎めいたクイズを出し、刑事たちを翻弄していくが……。

出演:山田裕貴、伊藤沙莉、染谷将太、坂東龍太、寛一郎、渡部篤郎、佐藤二朗ほか
監督:永井聡
原作:呉勝浩
配給:ワーナー・ブラザース映画
制作会社:映画『爆弾』製作委員会(制作プロダクション:AOI Pro.)
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/bakudan-movie/

photo : KAORI IMAKIIRE

styling for YUKI YAMADA : AKIYOSHI MORITA

text : REMI SATO

edit : KAREN MIYAZAKI[sweet]

【山田】ブルゾン¥64,900(インカミング)、シャツ¥79,200(コルボ/共にコンクリート)、パンツ¥50,600(ビソウン/スリーテン)、シューズ¥92,400(アデュー/バウ インク)

【SHOP LIST】
コンクリート:070-9199-0913
スリーテン:06-6563-9222
バウ インク:070-9199-0913

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