1. トップ
  2. レシピ
  3. コメ不足の不安に新提案!猛暑を避けて2月に植える?北海道米の遺伝子がヒントに

コメ不足の不安に新提案!猛暑を避けて2月に植える?北海道米の遺伝子がヒントに

  • 2025.11.2

新米も店頭に並び始め実りの秋を迎えています。
しかしここ最近は、猛暑を通り越した酷暑によるコメの品質や作況の低下が懸念されています。
こうしたなか、発想の転換で酷暑に対抗したコメ作りを研究する現場を取材しました。

北海道大学の西側にある実験用の水田です。
酷暑対策の米作りと言っても暑さに耐えられる品種を研究しているのではありません。

北大大学院農学院の貴島祐治教授は「避暑型水稲というのを提案しています。寒くても育つ、暑くなる前に収穫できるような稲ができないか」と話します。

全国的に猛暑に見舞われた2025年の夏。
本州ではコメの品質や収量の低下する「高温障害」の影響もみられました。

Sitakke

ここ数年、猛暑を通り越した酷暑による凶作が懸念されるなかコメ作りを守るにはどうしたらよいのか。

北海道大学大学院農学院の貴島教授の研究グループが研究しているのが「避暑型水稲」です。
コメ作りについて、栽培する場所ではなく時期を「避暑」してしまうというものです。

暑くなる前に育てきってしまう

Sitakke

通常、コメ作りは春に、種をまいて、苗を作り、5月から6月に田植えをおこなって、9月ごろに稲刈りをします。

一方、研究チームが提案する「避暑型水稲」は、一連のコメ作りの行程を2か月ほど前倒しすることで暑さがピークを迎える7月、8月を前に収穫をしてしまいます。

こうした栽培を可能にするのが「本州米」とは違った性質を持つ「北海道米」の遺伝子だということを突き止めました。

光か、温度か

Sitakke

「本州米」のコメは太陽の光を感じる性質を持ち日が短くなってくる=お盆が過ぎた時期に出穂します。

一方、「北海道米」は太陽の光ではなく積算の温度が一定に到達すると穂が出るように品種改良が進められたため、「積算の温度」次第で収穫スケジュールを大幅に前倒しすることが可能だというのです。

北大大学院農学院の貴島祐治教授は「最初に研究を始めたのは2010年くらい。期せずしてわれわれの研究がこうした環境に偶然マッチした」と話します。

避暑型水稲の導入により収穫時期を前倒しすることで、コメの品質低下のリスクが減るだけではありません。

たとえば、酷暑のなかでの作業を回避できたり、8月~9月に日本列島を襲う台風や害虫の影響も減少できたりすることが予想されます。

さらに、二期作や転作も可能になるのではと期待が膨らみます。

ひとつのコメが品種改良中をして世に出回るまでには10年単位を費やしますが、研究チームは、今後「北海道米」特有の「温度に応じて穂を出す」遺伝子を本州の地域ごとのブランド品種に組み込んで地域のなじみの米として流通させることを目指しています。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年10月3日)の情報に基づきます。

元記事で読む
の記事をもっとみる