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「どうにかしてくれ…」「どうしても観たい」放送から27年 、まるで“幻”と化した状態にファン落胆…記憶に生き続ける“伝説アニメ”

  • 2025.12.10

ドラマや映画の中には、観る者を驚嘆させるほど緻密に作り込まれた作品があります。今回は、そんな中から“幻になってしまったアニメ作品”を5本セレクトしました。

本記事ではその第3弾として、アニメ『遊☆戯☆王(東映版)』(テレビ朝日 他)をご紹介します。27年間DVD化や再放送がされず、現在配信も行われていない本作の魅力とは?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(放送局):アニメ『遊☆戯☆王(東映版)』(テレビ朝日 他)
  • 放送期間:1998年4月4日~10月10日
  • 出演:声|緒方恵美(武藤遊戯 役)

武藤遊戯(CV:緒方恵美)は、ごく普通の高校生でした。ゲームが好きなことくらいしか取り柄のないおとなしい性格で、幼なじみである真崎杏子(CV:かかずゆみ)しか友達がいません。いつも同級生の城之内克也(CV:森川智之)本田ヒロト(CV:置鮎龍太郎)にからかわれてばかりいました。そんな遊戯にとって、おじいちゃんからもらった千年もの間だれも解けなかったという“千年パズル”が、たったひとつの宝物でした。

しかし、遊戯はある事件をきっかけに城之内と友達になり、だれにも解けないはずの千年パズルを解いてしまいます。すると、遊戯のなかで何かが変わりました。パズルの力によって、遊戯は“闇のゲーム”を使って極悪非道な連中を闇に裁く正義の番人となったのです。

ダークで危険な雰囲気が漂う『遊☆戯☆王(東映版)』

『遊☆戯☆王(東映版)』の見どころは、“闇のゲーム”を中心に据えたダークな世界観にあります。後の『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』シリーズとは違い、日常のなかで起こるトラブルや悪意を抱えた相手に対し、闇遊戯が裁きを下すという構図が特徴の本作。勝負の内容もカード、射的、パズルゲーム、ギャンブル的な駆け引きなど多岐にわたり、短編ホラーのような緊張感が毎話漂っています。

また、原作序盤の不穏さをアニメならではの演出によって補強しており、影の使い方や色彩、BGMのトーンが危険な香りを際立たせています。遊戯たちの友情や学校生活も描かれつつ、表と裏の二重構造が物語に厚みを与え、視聴者をじわじわと惹き込むのです。とくに闇遊戯が現れる瞬間は、当時のアニメのなかでも群を抜くインパクトがあります。

この時期ならではのキャラクター描写の濃さも魅力です。城之内や本田のヤンチャさが強く、杏子の芯のある気の強さもくっきりと描かれます。敵役もクセのあるキャラクターばかりで、彼らが抱える欲望や弱さが、物語に人間臭さをもたらしているのです。闇遊戯の存在意義に踏み込む展開も、見ごたえ十分となっています。

今となっては視聴困難な作品に

アニメ第1作となる『遊☆戯☆王(東映版)』は、東映アニメーションがアニメーション制作を担当。そして第2作である『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』シリーズは、テレビ東京系列で放送され、“テレ東版”と呼ばれています。

『遊☆戯☆王(東映版)』は、テレ東版とは違いDVD化や再放送がされていません。また、動画配信サービスでの配信もされていない作品となっています。『遊☆戯☆王(東映版)』についてSNSでは「どうにかしてくれ…」「どうしても観たい」と切実な声があがっています。

1998年に放送終了してから27年間、DVD化や再放送がされず封印されている『遊☆戯☆王(東映版)』は、今となっては視聴するのが困難な作品となっています。しかし、近年の『遊☆戯☆王』シリーズに馴染みがある人にとって、ダークで原作初期の危うい魅力が詰まった本作は、“もうひとつの遊戯王”としてきっと新鮮に映るでしょう。


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari