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「ここまでやるかNHK」「とんでもない神作品」“度肝を抜く完成度”に震える…「覚悟して観て」“心を決めてこそ”味わえる名ドラマ

  • 2025.12.11

視聴者の心を捉え、時代を超えて語り継がれる「名作ドラマ」。それは単なる娯楽を超え、人々の価値観や記憶に深く刻み込まれます。この特集では、放送当時から現在に至るまで圧倒的な支持と高い評価を得続ける珠玉の作品をセレクト。今回はドラマ『昭和元禄落語心中』(NHK総合)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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映画『伊藤くん A to E』の大ヒット祈願イベントを行った岡田将生(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『昭和元禄落語心中』(NHK総合)
  • 放送期間:2018年10月12日〜12月14日
  • 出演:岡田将生、竜星涼、成海璃子、大政絢、山崎育三郎

昭和初期、落語の世界に足を踏み入れた青年・菊比古(岡田将生)は、同期入門の天才・有楽亭助六(山崎育三郎)と深い友情を育みながら、芸の道を歩み始めます。助六の自由奔放な芸に憧れ、嫉妬し、追いつこうともがく菊比古は、芸者・みよ吉(大政絢)の支えもあり、次第に自らの芸を磨いていきます。しかし、助六とみよ吉が結ばれた矢先、ふたりは謎の事故死を遂げてしまいます。八代目・有楽亭八雲を襲名した菊比古は、その死の真相を胸に秘めたまま、ふたりの娘・小夏(成海璃子)を引き取り育てます。小夏は八雲を「親の仇」と憎みながら成長し、やがて八雲の弟子となった元服役囚・与太郎(竜星涼)とともに、八雲が語らぬ過去に迫っていきます。落語という芸に生きる者たちの情熱と業、そして時代に翻弄される人間模様が、静かに、そして力強く描かれていきます。 

「ここまでやるかNHK」岡田将生が導いた落語ドラマの新境地

昭和という激動の時代を背景に、人間の業と芸の深淵を描いたドラマ『昭和元禄落語心中』は、「覚悟して観て」と言われるほどに落語に生きる男たちの情熱と葛藤を丁寧に紡いだ作品です。伝統芸能である落語を通して、師弟関係や愛憎、そして時代の移り変わりが繊細に表現されており、観る者の心に深く響きます。

本作で岡田将生さんが演じた有楽亭八雲は、戦前・戦後の落語界を生き抜いた重鎮。日本の落語会を席巻した名手の若き日の情熱から老境の孤独までを一人で体現しました。岡田さんは落語協会の協力のもと実際に落語を学び、稽古を重ね、約半年もの歳月をかけ役作りに取り組んだそうです。

作中、八雲が助六とみよ吉の死を回想する場面では、沈黙や視線の揺らぎにまで感情が宿り、言葉以上に深い余韻を残します。民放では描ききれない“間”や“業”を、NHKならではの演出と岡田さんの快演が見事に融合させ、視聴者を落語という芸の深淵へと誘います。まさに、俳優としての覚悟と技術が結実した名演です。SNSでは「ここまでやるかNHK」「とんでもない神作品」など称賛の声が続出。

本作の演技が高く評価され、岡田さんは『第14回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』で主演男優賞を受賞しています。

落語と人生が交差する瞬間──NHK『昭和元禄落語心中』の底力

SNSでも「まったく緩まない作劇」「脇を固める面々も素晴らしい」といった絶賛の声が相次ぐ『昭和元禄落語心中』。その完成度の高さは、視聴者の熱量からも明らかです。「NHKならでは!」というコメントに象徴されるように、本作は“芸と人間”を深く描くための時間と空気を惜しみなく使い、視聴者に濃密な余韻を残します。

ドラマ『昭和元禄落語心中』は、NHKの本気と、俳優陣の魂が響き合ったまさに結晶のような作品です。落語を知らない方にもおすすめできる、人間ドラマの傑作といえるでしょう。


※記事は執筆時点の情報です