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25年前、大人気バンドが“解散前夜”に鳴らした“最期の疾走”「終わり」に向かう中で笑顔を貫いたワケ

  • 2025.11.19

「25年前のあの日、あなたはどんな風に叫んでいた?」

2000年の終わり、街にはまだアナログな温度があった。CDショップには年末の新譜が山積み。J-POPは勢いの真ん中にいて、それでも少しずつ“終わり”の気配を感じさせていた。そんな中でJUDY AND MARYが放った1曲がある。

JUDY AND MARY『motto』(作詞:Tack and yukky・作曲:TAKUYA)――2000年11月22日発売

バンドの熱量が限界まで高まった、彼らの20枚目のシングルだ。

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JUDY AND MARY POP LIFE TOUR `98より(C)SANKEI

あの頃の“勢い”がそのまま鳴っていた

1990年代を駆け抜けたJUDY AND MARY。『そばかす』や『Over Drive』のような“ポップなロック”を送り出してきた彼らは、時代の中心を軽やかに跳ねていた。

だが、2000年に入るころには、各メンバーはソロ活動などを通して、それぞれが違う未来を見つめはじめていたのかもしれない。そんな中で生まれた『motto』には、初期の頃のような純粋な爆発力が詰まっている。タイトル通り“もっと”を追いかけるこの曲は、JAMの根底にあった衝動と自由がそのまま音になったようだ。

駆け抜けるようなイントロ、弾けるヴォーカル

冒頭ギターが鳴った瞬間、もう世界が変わる。TAKUYAの切れ味鋭いリフと、YUKIの弾むような声。そのふたつがぶつかり合って、疾走感の中に“楽しさ”が立ち上がる。

サビでは一気に解放されるような高揚感があり、ライブでの熱狂をそのまま閉じ込めたようなアレンジになっている。ドラムとベースの跳ねるリズムが支える中で、YUKIの声が空気を突き抜ける。

“終わり”を知るバンドが鳴らした“はじまり”の音

『motto』が発売されたのは、JUDY AND MARYの活動休止が公表されるわずか数か月前。つまりこの曲は、彼らが“終わり”に向かう中で鳴らした“最期の疾走”でもあった。にもかかわらず、曲に漂うのは悲しみではなく、「まだ走れる」という確信のようなもの。

TAKUYAのギターが自由に暴れ、恩田快人のベースラインがそれを包み、五十嵐公太のドラムが突き上げる。YUKIのボーカルはそのすべてを“笑顔”で貫いている。解散を意識していた時期にもかかわらず、そこには「音を楽しむ」というバンドの根源的な喜びしかない。

“motto”という言葉が今も残る理由

当時の音楽シーンでは、打ち込みやデジタルサウンドが主流になりつつあった。そんな中で、『motto』はまるでアナログの叫びのように響いた。

エフェクトでつくり込みすぎないギター、自然体のボーカル、そして一瞬のノイズさえも愛おしい。それは“手作りの音楽”が持つ力だった。派手さよりも生々しさを選んだことで、JUDY AND MARYの原点である“バンドのダイナミズム”が際立っていたのだ。

YUKIの声で繰り返される「モットー」という響きは、まるで自分自身に言い聞かせているようでもある。頑張りすぎず、でも止まらず。音楽を、人生を、もっと楽しめばいい。そんなポジティブなスピリットが、今のリスナーにも響く理由だろう。

2001年3月の東京ドーム公演をもって解散した彼らだが、『motto』を聴けばいつでも“JAMが笑っていた頃”に戻れる。時間が経っても、この曲には青春のような瑞々しさが残り続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。