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【北村匠海×林裕太×綾野剛】「10分後に死んでもいいって思えるぐらい、“今”をやり抜いてきた」(北村)【sweet web独占】

  • 2025.10.25

闇ビジネスから抜け出そうとする若者3人による3日間の逃亡サスペンスを描いた映画『愚か者の身分』。この記事では、主演の北村匠海さん、共演の林裕太さん、綾野剛さんをフィーチャーしました。第30回釜山国際映画祭コンペティション部門 最優秀俳優賞に輝いた3名が魅せる“魂の競演”とは?作品にまつわるお話を深掘りしていきます!

──まずは、今作にご出演するにあたってのお気持ちを改めて教えてください。

北村匠海(以下、北村)「僕が演じるタクヤは、視力を失う役柄の先に、どういう表現が待っているんだろう?っていうのを楽しみにしていました。というのも、僕は芝居をする上で、特に目を大事にしてきたんです。だからこそ、今まで僕が大事にしてきたものを失いたいっていう願望がありました。何もなくなったときに、自分がどうなってしまうのかなっていうことに興味がある……」

──実際にお芝居をしてみていかがでしたか?

北村「今回、剛さんと2人芝居をするシーンが多かったんですけど、どこに剛さんがいるかとか、どういう距離感があるかとか、全部分からなくて。自分が分かる情報って声と匂いと顔に当たる風くらいなんです。それだけしか情報がないと、逆に芝居の自由度が高いんだなって思いましたね。見えないからこそ発生するイレギュラーにも面白さがあったり……ある種、僕は何もしないくらいの感覚で、剛さんに委ねることができました。普段は人に委ねることが苦手な人間なので、こうなる(見えない)とできるんだなって。芝居の中で、しっかり剛さんに甘えさせていただきました。あとは、本当に何も見えない状態でもアジって捌けるんだ!っていうのが、率直な感想です」

林裕太(以下、林)「僕はオーディションだったんですけど、台本を読ませていただいたときに面白いなって感じて。愛や生きるために必要なことなんかを感じさせる内容に引き込まれました。あとマモルという人物を紐解いてみると、僕が役者として求められる役の像になんか似てるなというふうにも思ったんです。だから絶対に役を掴むつもりでオーディションに臨みました」

──綾野さんはいかがでしょうか?

綾野剛(以下、綾野)「この手の作風は、これまでも描かれてきた題材だと思います。ただ、当時はフィクションとして観られていたものが、もう誰かの隣で起こっているような身近な問題になっており、本作には時代が追いついたからこそのリアリティがあります。役者という立ち位置から何ができるかというのは、正直測れるものではありませんが、今の時代にこういう作品をやる意義はありますし、それぞれの登場人物のパーソナルな部分を演じきったときに起こる映画力をひしひしと感じました」

──それぞれ演じられた役柄についての第一印象や、ご自身との共通点があれば伺いたいです。

北村「タクヤはどこか浮遊感があって、振り返ったら居なくなってしまうような儚さを纏っている印象です。マモルや梶谷の目の中にタクヤは映ってきたはずなんだけど、本当に捉えきれていたのか分からない存在なのかなって。作中で、ある種、タクヤ一人の世界を体験したことで、掴めそうで掴めない、居るようで居ない彼の雰囲気をより一層感じました」

「僕のマモルへの第一印象は、“強い人”でした。自分の置かれた理不尽な環境や運命に抗おうとしている姿がとてもかっこよくて。タクヤと出会って楽しい人生を知ってからの変化もすごく人間的でいいなと思います。僕自身、理不尽なことに対して敏感で、それを流しておけないような性格なので、マモルに共感できる部分が色々ありました」

綾野「梶谷は、一番生きる実感を与えられた人です。“ここから始まる人”といいますか。この中で一番諦めてはいけない人なんだと思います。本編は130分で、それがつまり梶谷の余命だと思い演じました。彼をとことん生き抜くと考えると、自分自身の共感性というよりかは、梶谷から教えられることが多かったです。梶谷を通して、自分の新しい感覚に気づかせてもらうようで」

──今回の作品では、すごく複雑な共犯関係が描かれています。難しさなど色々あったかと思うんですけど、現場の空気感なんかはどのように作っていかれたんでしょうか。

北村「関係を成立させるための接着剤となるのはタクヤしかいなかったので、僕がどう立ち回るかで、0にも100にもなってしまうような気がしていました。だから僕は、剛さんから何を受け取るのか、そして裕太に何を渡していくのかっていうのを、一貫して考えていたなと思います。僕がそうすることで、2人はそれを受け取ってくれるし、膨らませてもくれる。信頼関係を持って取り組みました」

──お二人はどう感じてましたか?

「僕は最初、この現場にいるからこそ、なんか残さなきゃいけないって思っていたんですけど、徐々に匠海くんと剛さんに身を委ねた方が良いなって考えにたどり着いて。僕はとにかく現場で起こったことにシンプルに反応することを大切にしていました。そうするように導いてくれたのが匠海くんで、その背中を見せてくれたのが剛さんだったので、それに倣うようにやっていくことが、ある意味、この現場での正解だったと思います」

綾野「委ねるという言葉が度々出ていますが、匠海が全力で僕に委ねてくれたからこそ、梶谷は人間に戻れたと思います。誰かに委ねられることで、人は人間に戻れる」

──皆さん共演されてみて、ほかのお二人から受けた良い影響や気づきなどは、ありましたか?

綾野「林くんはみずみずしいです。どうやったらそこにたどり着けるか、非常に難解です」

北村「僕からしても相当難しい」

綾野「匠海は、一つ一つのフェーズを出し惜しみせずにやり切るという、その出力が本当に素晴らしいですし、誠実だと思います。役者はとことん自分と向き合い鍛錬すること以外にないと思っていますが、その方法論で間違っていないということを、匠海から改めて学ばせてもらいました」

北村「“10分後に死ぬ”っていうのが僕のモットーなんです。10分後に死んでもいいって思えるぐらい、どうやって今をやり抜くか。そうやって生き切った連続が、人生になってきますよね。同じようなことを言っちゃうかもしれないですけど、剛さんとはなんか似てる部分が多いなって思うんです。その瞬間ごとに役者としての命を削ってる感じがするんですね。『愚か者の身分』を通して、その背中を大きく感じたし、僕がやってることは間違いじゃなかったっていう答えがある気がしました」

北村「そして裕太については、僕や剛さんが今 芝居でやろうとしても決して叶わない真っ白さがあるなと思います。芝居って8割が役としての魅力だとしたら、残りの2割は個人の人生、いわゆる個性だと思うんです。その人が生きた人生や表情があるからこそ、役者っていうのはこれだけの数がいる。裕太は、その2割が眩しい人で、憧れますね。彼のピュアさがこの映画の美しさの根底にあると思います」

「とにかくお二人の姿を見ていて、やっぱり本当の役者なんだなって。僕も一緒に並ばせてもらってはいるけど、匠海くんと剛さんは一つの役を背負うことに対しての責任感が多分(僕とは)違うなっていうふうに感じてました。僕はまだ自分が生きてきた中で得てきた立ち振る舞いや喋り方、容姿を活かすことを良さにしているんですけど、お二人はそれを含め、役に対しての向き合い方がすごくストイックなんです。僕も早くそういうふうになりたい。役に対する責任をもっと全うできるように、役者として、人間として成長できるようになりたいと思っています」

──闇ビジネスの世界を描いているということで、重めなシーンも多くありましたが、その中にも希望や幸せを感じる部分が散りばめられているように感じました。それにちなんで最近の生活の中で、幸せを感じる瞬間について教えてください。

北村「なんだろうな、結構ずっと幸せ者ですけどね。やっぱり家に帰った瞬間かもしれないです。インテリアなんかにも結構こだわっているんですけど、一番のお気に入りはソファの上。そこで動画を観るのが幸せです」

「僕は、毎日アイスを食べているんですけど、食べているときではなくて、コンビニで何にしようかなって選んでるときに幸せを感じます。最近ハマっているのは、クッキーサンド系です」

綾野「現場です。かっこいい人が多いので、現場に入った瞬間から刺激になります。自分にとっては現場がひとつの社会といいますか、そこに居られることに一番の幸せを感じます」

──“生まれ変わるんだ。”というキャッチコピーが印象的でした。その作品のテーマにかけて、ご自身のターニングポイントになった出来事を伺いたいです。

綾野「時々そういうことを聞いていただくことがあるので、考えるのですが、結局のところデビューしてなきゃどうにもなってないだろうなと思います。そういう意味で、デビュー作の『仮面ライダー555』は、21歳のときに役者の世界を志すきっかけを与えてくださったので、ずっと感謝し続け、想いがあります」

北村「僕は8歳のときにスカウトされたのが、明確な人生のターニングポイントだと思います。初めて出演した映画が『DIVE‼』っていう作品だったんですけど、そのために毎日プールで日焼けを作ったのが人生初めての役作りでした。あとは、その後の『TAJOMARU』っていう作品も覚えています」

綾野「『TAGOMARU』のときに共演してたの!?あれ匠海だったんだ」

北村「そうですよ、あれ僕です。そういう出会いを積み重ねながら、こうやって剛さんとまた出会い直すっていうね、面白いですよね」

「僕もお二人と同じように、初めて映画に出演したときはやっぱり印象深いです。すごく準備して、お芝居する気満々で現場に入ったんですけど、監督に“芝居するんじゃない”ってめちゃくちゃ怒られて……」

「お芝居ってなんだろう?ってことを改めて考えさせられたというか。監督含め、そのときのャストの方々にも支えもらって、初めて“あ、役者ってめちゃくちゃ大変な仕事なんだ”ってことを体感したんです。だからこそ、その映画をきっかけに、この世界の深みにハマりたいなって思い始めた気がします」

──最後にこれから作品をご覧になる方に向けて、メッセージを一言ずつお願いします!

綾野「この作品は、3人の男がこの3日間をどう生きるか、生き抜くか、もっと言えば、生き残れるのかというサスペンス要素もありながら、ヒューマンドラマでもあります。エンタメの形がたくさんある中で、今作には三者三様の生き方を一本の映画で感じられるという魅力があると思っています。そういったものを映画館の中で、たくさん浴びていただき、いろんな人生を、その瞬間を、受け取っていただけたら幸いです」

「絆だったり、誰かのために生きることだったり、そういうものをこの作品から受け取れるんじゃないかなと思います。それを“ただの理想じゃん”って切り捨てないでもらえたらいいなって思いますね。理想を見ているからこそ、人生を良くすることができるかもしれないので、作品から受け止めるものを素直に感じ取ってもらいたいです」

北村「エンタメって、ある意味逃げ場だと思うんです。僕らが仕事を続けている理由としては、その逃げ場所を作るっていうのが大きい。そして、僕ら自身もそこに逃げているんです。『愚か者の身分』という映画は、本当にそういう逃げ場所として機能しているなと強く感じます。作品を観ていると、どこか自分の人生を肯定してもらえるような感覚があるんです。目の前で起きていることは悲惨なことかもしれないし、決して称えられるような3人ではないけれど、そうやって彼らが泥臭く這いつくばって生きているからこそ、誰かがここに逃げ込めるのかなと感じました。皆さんが何を観て、どのように感じるか。1つでも自分の中で持ち帰れるものがあれば、それで正解だと思う。そんな作品が出来上がったと思います」

──ありがとうございました!

●映画『愚か者の身分』10月24日公開
劣悪な環境で育ち、気が付けば闇バイトを行う組織の手先になっていたタクヤとマモル。闇ビジネスに手を染めているとはいえ、時にはバカ騒ぎもする二人は、ごく普通の若者であり、いつも一緒だった。タクヤは、闇ビジネスの世界に入るきっかけとなった兄貴的存在・梶谷の手を借り、マモルと共にこの世界から抜け出そうとするが……。
出演:北村匠海、林裕太、山下美月、矢本悠馬、木南晴夏、田邊和也、嶺豪一、加治将樹、松浦祐也、綾野剛/プロデューサー:森井輝/監督:永田琴/脚本:向井康介/音楽:出羽良彰/原作:西尾潤「愚か者の身分」(徳間文庫)/主題歌:tuki.「人生讃歌」/配給:THESEVENショウゲート©2025映画「黒か者の身分」製作員●PROFILE
北村匠海/TAKUMI KITAMURA
1997年11月3日生まれ、東京都出身。2008 年に映画「DIVE!!」で映画デビュー、2011 年には 4 人組バンド「DISH//」を結成。映画「君の膵臓をたべたい」で第 41 回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年の出演作にドラマ「仰げば尊し」「名探偵ステイホームズ」「星降る夜に」「アンチヒーロー」「あんぱん」、映画「さくら」「明け方の若者たち」「とんび」「東京リベンジャーズ」シリーズ「法廷遊戯」「悪い夏」がある。また、10 月期テレビ朝日ドラマ「ちょっとだけエスパー」が放送中。林裕太/YUTA HAYASHI
2000年11月2日生まれ、東京都出身。2020年に俳優活動をスタート。2021年、『草の響き』(斎藤久志監督)で映画初出演を果たし注目を集めたのち、『間借り屋の恋』(22/増田嵩虎監督)で映画単独初主演に抜擢、翌年『ロストサマー』でも主演を飾る。主な出演作に、ドラマ『なんで私が神説教』(25/NTV)、『風、薫る』(26/NHK連続テレビ小説)、映画『少女は卒業しない』(23/中川駿監督)、『逃げ切れた夢』(23/二ノ宮隆太郎監督)、『オアシス』(24/岩屋拓郎監督)、『HAPPYEND』(24/空音央監督)など。『君の顔では泣けない』(坂下雄一郎監督)の公開が控える。綾野剛/GO AYANO
1982年1月26日生まれ、岐阜県出身。2003年俳優活動をスタート。代表作に『コウノドリ』(15・17)、『MIU404』(20)、『ヤクザと家族 The Family』(21)、『地面師たち』(24)などがある。昨年出演した『カラオケ行こ』では、第48回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。そのほか、キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞、報知映画賞助演男優賞など受賞歴多数。

photo : TOSHIYUKI TANAKA

styling : TOKITA(北村さん)、Kyu Hokari(林さん)、YUSUKE SASAKI(綾野さん)

hair & make-up : ASAKO SATORI(北村さん)、MARIKO SASAKI(林さん)、MAYU ISHIMURA(綾野さん)

text&edit : SUI KUROKAWA

edit : RIRIKA MIURA [sweet]

●林さん衣装
・ジャケット¥132,000、パンツ¥41,800(共にDRESSEDUNDRESSED)
●SHOP LIST
DRESSEDUNDRESSED TEL:03-6379-1214
〒東京都世田谷区成城3-8-19

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