1. トップ
  2. レシピ
  3. クリエイティビティを刺激する京都旅

クリエイティビティを刺激する京都旅

  • 2025.10.15

【Maana Atelier/Living】和の文化を知るものづくりを体験。ショップで匠の技に出合う

築90年の西陣織の工房を改装したAtelier。
築90年の西陣織の工房を改装したAtelier。

洗練された空間と調度品の美しさに定評がある貸切の宿を京都に構えるMaanaが、京都の伝統や暮らしをクリエイティビティとともに体験できるスペースとして、昨年Maana Atelierをオープン。日本の茶葉について学びオリジナルハーブティーを調合したり、塩麹や醤油麹といった発酵食品を作ったり、藁や砂でオリジナルの土壁アートパネルを制作したりするなど、さまざまなワークショップを2時間程度で体験できる。9月には清水にセレクトショップであるMaana Livingがオープン。匠の技が光る国内40組の工芸作品やプロダクトが並ぶ。家具のオーダーも可能だ。

土壁アートワークを作るワークショップ。
土壁アートワークを作るワークショップ。
Livingで販売している鏡原愛莉の急須や高澤ろうそく。
Livingで販売している鏡原愛莉の急須や高澤ろうそく。
子ども連れ向けの茶染めのワークショップも人気。
子ども連れ向けの茶染めのワークショップも人気。

Maana Atelier/Living

www.maanahomes.com

【Ren Nakane】すべて自らの手作業から生まれるやわらかな輝きを放つプロダクト

「絞り」という手法を用いて、一枚の銅板を自らの手で叩き、磨き上げてやかんを製作。
「絞り」という手法を用いて、一枚の銅板を自らの手で叩き、磨き上げてやかんを製作。

「作るのがただ好きなんです。素材に自分の手が加わることで、そのもの自体に役割や美しさが生まれることに喜びを感じます」。陶芸家の父と染織家の母を持ち、ものづくりが常に近くにある環境で育った滋賀県出身の中根嶺は、京都の美術工芸高校で彫刻を学び、東京で結婚指輪づくりなどの研鑽を積んだのち、京都にアトリエを構えた。銅を中心とした金属をベースに調理器具や照明といった暮らしに根付いたプロダクトを製作している。自らの手で改装したアトリエでは年に1、2回展示が開催されるほか、アポイント制で鍋ややかんの受注製作も依頼できる。

やさしい光が灯るアトリエでの展示風景。
やさしい光が灯るアトリエでの展示風景。
「消灯しているときも形として美しい」という思いで照明を手がける。
「消灯しているときも形として美しい」という思いで照明を手がける。

Ren Nakane

ren-craftwork.com

【ザ・リッツ・カールトン京都】宿泊者限定のエクスクルーシブな朝のおつとめ体験

妙覚寺では、特別拝観や写真や工芸作品の展示が行われることもあり、歴史とアートが調和した空間を堪能できる。
妙覚寺では、特別拝観や写真や工芸作品の展示が行われることもあり、歴史とアートが調和した空間を堪能できる。

京都の魅力を再発見できる、特別なアクティビティの数々を宿泊者へ提供するザ・リッツ・カールトン京都。朝のおつとめ体験では、早朝の澄んだ空気の中、妙覚寺の僧侶による読経と太鼓の演奏が体験できる。天気がよければ、アクティビティのひとつであるサイクリングと組み合わせ、鴨川沿いや京都御所などの名所を自転車で回ることも可能だ。ホテルスタッフが同行してくれるので、土地勘がなくても安心。早朝の澄んだ空気の中で体を動かしがら、アクティブに一日のスタートを切りたい人におすすめ。

ザ・リッツ・カールトン京都

www.ritzcarlton.com/ja/hotels/ukyrz-the-ritz-carlton-kyoto

【Donoma Studio】サステナブルな取り組みから生まれる器でお茶を楽しむ。

焼成前の器が並ぶ工房に隣接し、制作風景が見えるカフェでは、その場で作られた器で飲食を楽しむことができる。Photo_ Kate Berry
焼成前の器が並ぶ工房に隣接し、制作風景が見えるカフェでは、その場で作られた器で飲食を楽しむことができる。Photo: Kate Berry

今春オープンした陶芸の制作・販売・体験を行うDonoma Studioは、お茶やランチを楽しめる「Chanoma Cafe」、アンティークやハンドメイド作品を扱うギャラリーが併設するクリエイティブスペースだ。主宰の齋藤アンドリュウ壮は数カ国で釉薬の研究に従事したのち、陶芸の道へと進んだ。自然物質の研究や、ミネラルのサイクルをテーマに作陶する傍ら、陶芸家とセッションする形で自由に創造できるワークショップを毎週末開催している。こども食堂&陶芸教室、土にまつわるワインテイスティングなど月々行われる陶芸×食のスペシャルイベントも必見である。

お茶やランチを楽しむことができる「Chanoma Cafe」。Photo_ Kate Berry
お茶やランチを楽しむことができる「Chanoma Cafe」。Photo: Kate Berry
Photo_ Kate Berry
Photo: Kate Berry

Donoma Studio

donomastudio.com

【LinkArchiScape──建築ツーリズムをつなぐ】趣ある建築での展示やイベントを通じ、各所の建築祭の楽しみに触れる

建築家・高松伸の名作として知られる東本願寺視聴覚ホールでは、11月1日にトークイベントを開催する。Photo_ Courtesy of Higashi Honganji Temple
建築家・高松伸の名作として知られる東本願寺視聴覚ホールでは、11月1日にトークイベントを開催する。Photo: Courtesy of Higashi Honganji Temple

京都市内の名建築を舞台に10月18日から11月9日まで開催される「LinkArchiScape──建築ツーリズムをつなぐ」は、文化庁が近年各地で開催されている建築祭の楽しみ方や意義・可能性を発信すべく、展覧会やトークイベント、アーティストとのコラボレーションなどを通じて、建築祭の輪をさらに広げていく今年初の建築イベントだ。京都府立陶板名画の庭では古舘健が、重信会館では鈴木崇ら5名のアーティストが出展、アーティストと建築が対話する空間を生み出す。

LinkArchiScape──建築ツーリズムをつなぐ

www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/zenkoku_katsuyo/las

【光明院】苔が七色の表情を見せる禅寺で写真と詩と香とともに心に触れる

波心庭には三尊仏に見立てた三尊石が3組あり、釈迦三尊、阿弥陀三尊、薬師三尊を、白砂は大海を表す。
波心庭には三尊仏に見立てた三尊石が3組あり、釈迦三尊、阿弥陀三尊、薬師三尊を、白砂は大海を表す。

臨済宗大本山東福寺の塔頭である光明院は、「虹の苔寺」の異名を持つ。作庭家・重森三玲が心の動くさまを波に見立てて作り上げたという枯山水の庭園「波心庭」がみずみずしい苔をたたえ、季節ごとに多彩な表情を見せるのがその由縁だ。住職の藤田慶水の企画のもとあらゆるジャンルの展示が定期的に行われ、10月4日から19日には、森岡書店プロデュース「水織」展を開催。俳優の鶴田真由が波心庭に着想を得て写真と詩を展示し、調香師の沙里が香を設る。

俳優・鶴田真由と調香師・沙里の展示「水織」は、10月4日〜19日(日)開催。
俳優・鶴田真由と調香師・沙里の展示「水織」は、10月4日〜19日(日)開催。

光明院

komyoin.jp

【金戒光明寺】京都市内を一望できる隠れ絶景スポットの名刹

1860年完成の高さ23メートルの山門。特別拝観時に上ることができる楼上から見る夕暮れは、息を呑む美しさだ。
1860年完成の高さ23メートルの山門。特別拝観時に上ることができる楼上から見る夕暮れは、息を呑む美しさだ。

平安神宮から徒歩10分と、中心部からもほど近い岡崎エリアに位置する金戒光明寺は、「くろ谷さん」の愛称で親しまれ、観光客だけでなく地域の住民が日頃からお参りにくる浄土宗の大本山だ。山門を抜け、御影堂に向かって階段を上り進めると、眼下に京都市内を一望することができる、隠れた絶景スポットでもある。11月15日から12月7日に開催される特別拝観では、紅葉が美しい回廊式庭園「紫雲の庭」、山門、「虎の間」で有名な大方丈を拝観することができる。

金戒光明寺

www.kurodani.jp

【両足院】庭園が美しい禅寺で坐禅を体験し現代美術に出合う

庭園の北側には水月亭と臨池亭という茶室が2軒あり、展覧会のテーマに即した現代茶席も随時開催される。
庭園の北側には水月亭と臨池亭という茶室が2軒あり、展覧会のテーマに即した現代茶席も随時開催される。

芸舞妓が行き交う祇園の花街に隣接する臨済宗建仁寺の塔頭・両足院は、桃山時代の枯山水庭園と江戸時代の池泉回遊式庭園が見事な禅寺だ。文化財を数多く所有し、古くから芸術の発展に寄与した歴史も持つ。通常非公開だが、定期開催される坐禅会では、庭園を眺めながら坐禅体験もできる。11月13日から12月10日にはアートフェア「ArtCollaboration Kyoto」に併せて、アメリカ人画家のジョナス・ウッドと、ジョナスのパートナーで陶芸彫刻作家のシオ・クサカの二人展を開催。

両足院

ryosokuin.com

【うたひ】工藝のマインドにふれる宿で感性をひらく

かつて旅館だった日本家屋がふたたび宿として人を迎える。
かつて旅館だった日本家屋がふたたび宿として人を迎える。

陶芸家、文筆家のSHOWKOが今夏、工房、ショップを併設する築100年の日本家屋に一日1組限定の宿をオープンした。「陶芸を長年続けるなかで、工藝の制作過程や歴史の奥底に哲学や信仰のようなものがあると感じました。工藝のマインドにふれることができる宿に泊まることで感性をひらき、忙しい日常から離れて自分の役目を思い出していただけたら」とSHOWKOは語る。哲学の道まで歩いて数分という立地や、オプションで絵付けのワークショップや鍼灸などのリトリートが体験できるのもうれしい。

寝室には、庭からやわらかい光が射し込む。Photo_ Kentaro Takahashi
寝室には、庭からやわらかい光が射し込む。Photo: Kentaro Takahashi
空間設計士の水村真理子のリノベーションによる内装。
空間設計士の水村真理子のリノベーションによる内装。

うたひ

utahi-hotel.jp

【あぶり餅 本家 根元 かざりや】代々女性が一子相伝で受け継ぎ江戸時代から続くあぶり餅

まさにお茶屋といった風格がただよう。
まさにお茶屋といった風格がただよう。

つきたてのお餅を親指大にちぎり、きな粉をまぶし、先が二つに割れた細い竹串に刺して、備長炭であぶる。白味噌をベースにし、母から娘へと一子相伝で受け継がれ、代々女性が守ってきた秘伝のタレにひたす。今宮神社の東門を出てすぐの参道沿いにある「かざりや」は、江戸時代初期から続く老舗だ。ツヤツヤと輝き、あたたかで甘じょっぱいあぶり餅は、一度食べるとまた食べたくなる、クセになる美味しさだ。八百屋の娘から徳川家光の側室となったとされる桂昌院が再興に寄与したことから「玉の輿神社」「縁結び神社」とも言われる今宮神社の参拝とセットで楽しみたい。

座敷でいただくのも、持ち帰っていただくのもよし。
座敷でいただくのも、持ち帰っていただくのもよし。

あぶり餅 本家 根元 かざりや

TEL: 075-491-9402

【喫茶御菓子丸】日常に着想を受け、想像力をかきたてる季節の和菓子をいただく

6月の「塩菓子」として登場した、草をイメージした味わいの葛焼き。Photo_ Toshihiko Murakami
6月の「塩菓子」として登場した、草をイメージした味わいの葛焼き。Photo: Toshihiko Murakami

造形美、テクスチャー、美味しさが絶妙なバランスを保ち、物語性のある和菓子を作る御菓子丸が、今年から毎週土日、IDOCHAで「喫茶御菓子丸」をスタートした。「日常からインスピレーションを受け、自分が五感で体験したことをお菓子に翻訳し、お客様と共有できたら」と主宰の杉山早陽子は言う。お菓子4品のうち、1品は甘くない「塩菓子」が登場する。「砂糖は中世まで日本では一般的でなかったという歴史的背景や、現代のノンシュガーの潮流もある」ことから、素材本来の甘みや旨みを味わってほしい。中国茶やハーブの蒸留水など、季節の飲み物とのペアリングも秀逸だ。

喫茶の会場となるIDOCHA。
喫茶の会場となるIDOCHA。

喫茶御菓子丸

okashimaru.stores.jp

【ototojet】花を生けるように魚を生ける。目にも口にも美味しい魚料理

建築家の魚谷繁礼が改装した店舗。
建築家の魚谷繁礼が改装した店舗。

「命をいただくのであれば、鮮魚本来のもつ自然美を最大限に映し出し、日本の美意識を体現する料理を提案してみたいと思ったんです」。グラフィックデザイナーだった経歴を持つ「ototojet」のシェフ辻井智貴は、生け花を習っていたこともあり、花を生けるように魚を生けることをコンセプトに、23年前に伏見で鮮魚店を始めた。2年前に現在地に移転し、Instagram経由で予約するテイクアウトほか、夜は一日1組限定のコース料理も提供。テイクアウトの場合は伊勢丹オンラインで注文し、JR京都伊勢丹でピックアップして帰りの新幹線でいただくのもおすすめだ。

旬の魚が美しく並ぶ手毬寿司。数種の酢を合わせた酢飯も美味。
旬の魚が美しく並ぶ手毬寿司。数種の酢を合わせた酢飯も美味。

ototojet

www.ototojet.net

Text: Sayaka Sameshima Editor: Yaka Matsumoto, Sakura Karugane

READ MORE

元記事で読む
の記事をもっとみる