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子育ての負担軽減だけでなく子育てのポジティブな面も届けたい… 江東区の大久保区長にインタビュー【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.36】

  • 2025.10.2

高層マンションが立ち並ぶ臨海部から、下町情緒の残る商店街まで、多彩な顔を持つ東京都江東区。近年は交通アクセスの良さや豊富な公園、保育環境の整備を背景に、子育て層が多く住む街でもあります。

全国的な少子化の流れの中で、出生数自体は低下しているものの、利便性と自然環境、そして地域のつながりが同居し、人口も右肩上がり。子育て、教育、そして江東区のこれからについて、大久保朋果江東区長にお話をお聞きしました。1回目は子育て支援についてです。

お話を聞いたのは…

江東区 大久保朋果区長

1971年8月生まれ。元東京都職員。都立三田高、早稲田第一文学部卒業。都庁でのキャリアは全て政策部門・福祉衛生部門。政策企画局 政策担当課長、福祉保健局 生活福祉部 統括課長、政策企画局 政策担当部長を歴任。義父母の介護の経験から「高齢者になっても安心して暮らせるまちづくり」を目指す。2023年12月10日に行われた江東区長選挙において5万7,029票を集め初当選。

>>江東区公式HP 「区長室」

―まず、子育て支援の基本的なお考えはどのようなものですか。

大久保区長:私は、社会全体でお子さんを育てるという視点が必要だと思っています。家庭環境や経済状況に左右されずに、すべての子どもの可能性を伸ばせる社会づくりを目指すということが視点の一つですね。もう一つは、子どもを持つ喜びとか子育ての楽しさのようなものを、もう少し伝えていきたいと、私個人としては思っています。

―それは2人のお子さんを育てられたご自身のご経験からですか。

大久保区長:そうですね。子育て世帯の経済的な負担軽減として、給食の無償化や、東京都と連携して医療費の無償化などを進めてきましたが、何か、負担軽減だけがフューチャーされると、「子育てって大変」という、子育てに対するマイナスイメージがついてしまうことを危惧しているんです。負担があることも事実ですが、その軽減と合わせ、どんな家庭環境でも健やかに成長していけるように、色々な経験ができる環境を整えたいと思っています。

―具体的にはどのようなことですか。

大久保区長:区内にある、劇団四季劇場、東京グローバル・ゲートウェイ(TGG)という英語での体験施設、そして、東京辰巳アイスアリーナを、学習活動の一環として活用しています。劇団四季劇場には中学1年生、TGGには小学5年生と中学2年生が授業として行きます。辰巳のアイスアリーナは、今年9月にオープンしたばかりで、オープンイベントでは近隣の中学生が吹奏楽の演奏をしたり、スケート体験をしたりすることができました。今後、近隣の小学4年生が試行的に体験活動をすることになっています。これだけで全てではないと思いますが、体験によって子どもは育っていくので、今、力を入れているところです。

―二つ目の子育ては大変というマイナスイメージは少子化の要因になっているので、喜びや楽しさの発信は必要ということには、私も同感です。ただ、やっぱり大変なのも事実ですよね。母親は、出産直後の授乳ばかりの時期など、一日誰とも話さないとか、孤独になる時もありますし。

大久保区長:私も、1人目の娘を出産した時は、使った哺乳瓶を洗わずどんどん溜まるだけでも不安になったり、煮沸消毒のプレッシャーに潰されそうになったり(笑)。その時に、四国の母方の田舎へ行ったら、もう親戚や近所の人が、みんなで娘を奪い合いするような感じで。こういう子育てだったら…という考えはずっと抱いてきました。この点について江東区は、子ども家庭支援センターが、23区内で最多で、どの地域からも基本的には徒歩1km圏内を目安に設置されているんです。ここは、子育てひろば、子育て相談、一時預かり等を提供し、保護者の孤立防止・精神的負担軽減に寄与していて、現在8カ所展開していますが、3年後には、9カ所目を開設する予定です。

―1km圏内ってすごいですね。

大久保区長:そうですね。やはり経済的な負担軽減も必要ですが、精神的な負担を軽減するためには、お母さんを1人にしないというか。社会みんなで育てていくという視点はやはり重要だと思っています。

取材・文/政治ジャーナリスト 細川珠生

政治ジャーナリスト 細川珠生

聖心女子大学大学院文学研究科修了、人間科学修士(教育研究領域)。20代よりフリーランスのジャーナリストとして政治、教育、地方自治、エネルギーなどを取材。一男を育てながら、品川区教育委員会委員、千葉工業大学理事、三井住友建設(株)社外取締役などを歴任。現在は、内閣府男女共同参画会議議員、新しい地方経済・生活環境創生有識者会議委員、原子力発電環境整備機構評議員などを務める。Podcast「細川珠生の気になる珠手箱」に出演中。

(細川珠生)

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