レディなスタイルに欠かせない「チュール」ってどんな生地？【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.108】

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連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。108回目は「チュール」のルーツを探ります。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし！

 

【用語解説】まずは「チュール」を知ろう。

参照：チュールスカートはフーディーで甘さを抑えて着よう。【FUDGE 4月号連動企画-売り切れ必至の人気もの | DAY 03】

「チュールは」六角形の網目構造を持つ機械で編まれたメッシュレースの一種です。本来、絹製品ですが、現在はアセテート、ナイロンやポリエステルなどでも作られる幅広レースで、模様入りと無地があります。

たて編みで編成するときは、バックバー、フロントバー共にその組織に応じてガイド箇所に糸抜きを行って、シンカループで連結されないウェールとウェールの間が穴になり、透かし模様を作ります。チェーンリンクの組み合わせ、糸の抜き方によって種々のネットができます。綿糸を使用して、ミドルゲージのトリコット編み機の２枚筬（おさ）で編成したネットは下着や外出着になります。また、ラッセルメッシュ、ラッセルレースはガイドバーへの糸通し、糸の抜きの方法、筬（おさ）振りのパターンチェーンへの結び付けによって多様なレース編み地ができます。

 

【歴史】18世紀ごろ、南フランスで作られたレースに似た生地がルーツ

出展：黒のポロシャツにシックなチュールスカートを合わせて【本日のFUDGE GIRL-7月5日】

発祥地は南フランスのチュール（Tulle）です。18世紀ごろにチュールで製造されたレースに似た生地が広まったことが、「チュール」という呼び名の語源とされています。特に19世紀ヨーロッパでは、装飾的な衣装やウェディングドレスや関連するアイテムに欠かせない素材として、需要が高まりました。19世紀半ばごろには、工業化によってチュールの機械織りが可能となり、比較的手ごろに大量生産できるようになったことから、庶民の間にも親しめる存在となりました。20世紀にはバレエの衣装やウェディングドレスの素材として定着。近年は日常的に着られるアイテムも登場し、FUDGE世代にも支持されるようになっています。

 

【雑学】俳優のんさんの衣装が「チュール」の力を教えてくれる。

バレエの衣装やウエディングドレスに採用されることが多い「チュール」だけに、たとえカジュアルな着こなしでも、そこにひとつ「チュール」もアイテムをプラスするだけでが一気にドレスムードに変換されることを、俳優でアーティストののんさんが証明してくれました。

夏のある日。横浜の赤レンガ倉庫で行われた音楽イベントのステージで、のんさんはギター片手にパフォーマンスを披露。スポットライトを浴びて立つ彼女は、ブラウスとティアードスカートを組み合わせたような「チュール」のオールインワンを纏っていました。オールインワンの中は、ショート丈の白いタンクトップ×ベージュのダメージデニムパンツ。足元は厚底のローファーです。一見すると、ロックなテイスト、それでいて親近感を覚えるストリートスタイルだというのに、「チュール」のおかげで、間違いなくそれは、ドレス。人目を奪う華やかな雰囲気を醸し出していました。

少しだけ特別な予定がある日、よそゆきの服を着ていったほうがいいけれど、堅苦しくしたくない。そんなとき、のんさんの衣装を参考にしてみるといいかもしれません。上へスクロールして戻ってみると見られるモデルカットのコーデのように、バスクシャツあるいはポロシャツやパーカにチュールのスカートを合わせるコーデはその代表格。ぜひ、次のお出かけのときに試してみてはいかが？

 

 

監修：朝日 真（あさひ しん）

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A