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21年ぶりの“再共演”「また2人が揃うなんて夢みたい」「熱すぎ」原作の“フランス映画”をしのぐ感動の新作映画

  • 2025.11.19

『男はつらいよ』シリーズをはじめ、数多くの名作を生み出してきた山田洋次監督の91本目となる最新作『TOKYOタクシー』。倍賞千恵子と木村拓哉が共演する本作は、日本最高峰の豪華キャスト・スタッフで贈る、珠玉のヒューマンドラマだ。この映画が、第38回東京国際映画祭のセンターピース作品として上映されると、感涙にむせぶ観客が続出。「希望が湧いた」「劇場公開されたら絶対にもう1回観たい」「エンドロールでも涙が止まらなかった」といった声がSNSに上がっている。

映画『TOKYOタクシー』

倍賞が演じるマダムが、木村が演じる個人タクシーのドライバーの乗客となり、“寄り道だらけのたった1日の旅”が始まる。その“旅”は、2人の人生をもう一度輝かせることになる。

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(C) 2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
ストーリー
毎日休みなく働いているタクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)。娘の入学金や車検代、家の更新料など次々とのしかかる現実に、頭を悩ませていた。そんなある日、浩二のもとに85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川・葉山にある高齢者施設まで送るという依頼が舞い込む。最初は互いに無愛想だった二人だが、次第に心を許し始めたすみれは『東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがあるの』と浩二に寄り道を依頼する。東京のさまざまな場所を巡りながら、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。たった1日の旅が、やがて二人の心を、そして人生を大きく動かしていくことになる――。
出典:『TOKYOタクシー』

山田監督作での、倍賞と木村の共演に期待している人は多いようで、SNSでも「予告で見た2人の温かい空気を早く本編で受け取りたい」などのコメントが見られた。

倍賞千恵子と木村拓哉は『ハウルの動く城』以来21年ぶりの共演

『TOKYOタクシー』の主演を務めるのは、長きにわたり日本映画界を牽引し、山田監督作品には欠かせない名女優として知られる倍賞千恵子。特に、『男はつらいよ』シリーズのさくら役は有名だ。倍賞が演じるすみれは、ある過去を抱えながら、人生の終活に向かうマダム。

そんなすみれを乗せて、目的地に送ることになる、ちょっとさえないタクシー運転手・浩二を演じる木村は、『武士の一分』以来19年ぶりの山田組参加となる。

倍賞と木村は、2004年のアニメーション映画『ハウルの動く城』でも共演している。10月に行われた、東京タワーのふもとに敷かれた“ピンクカーペット”でのイベントでは、倍賞と木村が『ハウルの動く城』での共演を振り返る一幕も。その時2人は、ほとんど会わなかったそうだが、倍賞がプロデューサーに「せっかく木村君がいるんだから、1日くらい一緒の日をお願いします」と言って、一緒のアフレコが実現したという。非常にほほ笑ましいエピソードだ。

SNSにも、『ハウルの動く城』のファンから「ソフィーとハウルが共演!」「また2人が揃うなんて夢みたい」「熱すぎる」といった喜びの声が上がっている。今回が実写初共演の倍賞と木村の相性はバツグンで、『TOKYOタクシー』を見ている間、とても心が温かくなった。

原作はフランス映画『パリタクシー』

本作の原作は、2022年のフランス映画『パリタクシー』。筆者はこの映画が大好きだったので、東京を舞台に山田監督がどのように描くのか、制作が発表された時からずっと気になっていた。本編を鑑賞したところ、設定はほぼそのままで、山田監督ならではの情緒あふれる描写になっていて、原作をしのぐ感動作に仕上がっていた。

見慣れた東京の街並みと、すみれが向かう神奈川県の葉山町までのドライブの様子に引き込まれ、倍賞が発するすみれの一言一言が深く心に響いた。木村が扮する浩二も、さまざまなことを抱えているが、すみれと浩二はお互いに影響を与え合い、関係を深めていく。ラストまで何度も胸が熱くなり、心が震えて涙が止まらなくなった。

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(C) 2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会

愛娘に良い教育を受けさせたいが、金銭的に厳しい浩二。優香が演じる妻とのやり取りなど、木村の演技はいい感じに中年の枯れ具合が出ていて、普段の彼とのギャップがまた心地良い。『パリタクシー』が好きだった人からのSNSのコメントに、「山田洋次監督がどのような味付けをされたのか楽しみ」といったものがあったが、期待に応える日本映画になっていること請け合いだ。

ロケ地巡りしたくなる名所がたくさん登場

若き日のすみれを蒼井優が演じているのだが、すみれの過酷な状況を体現する蒼井の熱演にも大いに引き付けられた。空想上、過去と現在のすみれが並ぶ、倍賞と蒼井の共演シーンがあり、そこも非常にグッと来る名場面になっている。

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(C) 2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会

本作には、東京や神奈川の名所がたくさん登場する。すみれが寄り道したい場所のリクエストに浩二が応え、タクシーを止めて、一緒に何かを食べたり、すみれの過去の話に想いを馳せたりする2人。すみれが経験したことは予想以上に壮絶だが、浩二に話すことで、彼女は重いものをおろしているように感じた。

2人がドライブした場所を、ロケ地巡りとして訪れてみたくなる『TOKYOタクシー』は、観終わった後に心がほかほかする、素晴らしい必見作だ。


『TOKYOタクシー』2025年11月21日(金)全国公開

出演:倍賞千恵子、木村拓哉、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、神野三鈴、イ・ジュニョン、マキタスポーツ、北山雅康、木村優来、小林稔侍、笹野高史
原作:映画「パリタクシー」(監督 クリスチャン・カリオン)
監督:山田洋次 脚本:山田洋次、朝原雄三
配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/tokyotaxi-movie/
(C) 2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会

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(C) 2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会

出典:倍賞千恵子、木村拓哉、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、山田洋次監督らが東京タワーの〈ピンクカーペット〉に登場!!

ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP