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オニツカタイガー「メキシコ 66」に今注目すべき理由──薄底スニーカートレンドの波に乗る名作

  • 2025.9.21

シグネチャーモデル「メキシコ 66」をプレイバック

2002年にデビューした「メキシコ 66」
2002年にデビューした「メキシコ 66」

オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)を生み出した鬼塚商会は1949年に兵庫県で設立されたが、合併を機に1977年からブランドは休止していた。やがて2002年に再始動したが、同じタイミングでデビューしたのが「メキシコ 66」だった。その背景には脈々と続く歴史がある。始まりは1960年に誕生したアスリート向けトレーニングシューズ「リンバーアップ」。そして翌年に出た改良版こそが「メキシコ 66」の原型になったのだ。そこには今と同じつま先の切り替えや、かかとをX字にクロスする補強パーツ、ギザギザの仕様、足を靴擦れから守るタブが見て取れる。こうしたディテールが重なりあうことで、一見シンプルなデザインに奥行きをもたらしている。

1961年発売の「リンバーアップ 改良品」
1961年発売の「リンバーアップ 改良品」

ブランドを象徴するオニツカタイガーストライプは1966年に初登場した。1968年のメキシコシティーオリンピックに向けて、「リンバー」として再びアップデートしたモデルで初採用されたものだ。「メキシコ 66」という名前は辿ってきた変遷、ひいてはブランドの進化をそのまま象徴している。丸みを帯びながら横長に広がるラインは、シルエットをより流麗なものへと導く。

日本が舞台のあの映画でアイコン化

『キル・ビル Vol.1』(2003)
『キル・ビル Vol.1』(2003)

豊富なカラーリングも魅力のひとつ。オニツカタイガーストライプがコントラストを描いたり、パーツ毎に色が変わっていたりと、自分好みの一足が見つかるはず。中でもファッションラバーを虜にするのがイエロー×ブラック。クエンティン・タランティーノ監督の映画『キル・ビル』(2003年)に登場したことで一躍有名になったものだ。血だらけになりながら、主演のユマ・サーマンが日本刀を手に死闘を繰り広げる姿は非常にセンセーショナル。いちアイテムが世界的なカルチャーアイコンとなった瞬間だった。なお、実際に彼女が履いているのは「タイチ」という別モデル。それでもこのカラーウェイは「メキシコ 66」にも踏襲されているため、SNSでも通称“Kill Bill”として親しまれている。

セレブたちもデイリーユース

カイア・ガーバー(2023)
*EXCLUSIVE* Kaia Gerber stops to get a green juice smoothie in Los Feliz.カイア・ガーバー(2023)

トップモデル達をも虜にする「メキシコ 66」。カイア・ガーバーはシックな装いに“Kill Bill”カラーをチョイスした。難易度が高そうに見えても、このコートのように近い色のアイテムとコーディネートすれば、全体と馴染みつつも華やかさを演出する。

ヘイリー・ビーバー(2023)
Hailey Bieberヘイリー・ビーバー(2023)

一方、クロップド丈のボーダートップスを着こなすのはヘイリー・ビーバーだ。色落ちデニムにダークカラーのスニーカーは永遠の鉄板。やや長めのレングスをワンクッションさせて履くことで、こなれ感が生まれる。レザーバッグを肩掛けして程よく上品ながらリラックスしたコーデが完成した。

モード派にも勧めたい、珠玉のコラボ

ジバンシィ 2020年春夏メンズコレクション
ジバンシィ 2020年春夏メンズコレクション

「メキシコ 66」はこれまで様々なコラボのキャンバスになってきた。中でもブランドの裾野が広がったのは、2020年春夏コレクションのジバンシィGIVENCHY)とのものだろう。オニツカタイガーにとって初となるラグジュアリーブランドとの協業で、同モデルがカジュアルの枠に収まらないことを証明した。そして2020-21年秋冬コレクションではヴァレンティノVALENTINO)とのコラボが実現。着実にモード界でも地位を築いていった。

オニツカタイガー×パトゥ「メキシコ 66」
オニツカタイガー×パトゥ「メキシコ 66」
ヴァケラ 2025年春夏コレクション
ヴァケラ 2025年春夏コレクション
ヴァケラ 2025年春夏コレクション
ヴァケラ 2025年春夏コレクション

昨年にはフランスのパトゥ(PATOU)とコラボ。グログランリボンをオニツカタイガーストライプにあしらい、さらにはフリル風ソックスと一緒に見せることで、ガーリーな新風を吹き込んだ。またニューヨーク発のヴァケラVAQUERA)のコレクションにも登場。ランウェイで表現された「伝統の未来的視点からの再解釈」は、来たるオリンピックへと向けて過去モデルを練り上げていった「メキシコ 66」のルーツそのものだ。箔転写やダメージ加工を職人が手作業で行い、長くとられたシュータンには片足ずつ“LOVE”と“RAGE(憤怒)”と刺しゅうして情熱と感情の二面性を表現した。色違いだけではない、可能性を秘めたコラボからこれからも目が離せない。

今すぐ買えるモデルをチェック

「メキシコ 66 デラックス」¥35,200
「メキシコ 66 デラックス」¥35,200

「メキシコ 66」にはいくつかの派生モデルが存在する。2008年デビューの「メキシコ 66 デラックス」は、アッパーに上質で柔らかいゴートレザーを採用した日本製。卓越したクラフツマンシップが宿る、「ニッポン メイド」というラインの一環だ。職人が一足ずつ洗い加工をすることで、ヴィンテージのような質感が作り出される。素足を優しく包み込むような風合いが特徴。

「メキシコ 66 SD」¥18,700
「メキシコ 66 SD」¥18,700

「メキシコ 66 SD」は、履き心地やディテールを再構築した逸品。レトロでミニマルな表情はそのままで、アッパーを上質なキッドレザーに、シューレースも細くすることでよりスタイリッシュに生まれ変わった。ソールも若干厚めで、高いグリップ力を誇る独自素材を使用している。

Photos: Courtesy of Onitsuka Tiger, Gorunway.com, Aflo Text: Ryo Todoriki Editor: Reona Kondo

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