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【最高の腸内環境をつくる】「女性が摂るべき食品」と「子どもの腸活」を解説!

  • 2025.9.20
教えてくれたのは……
國澤純先生

国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所 副所長、ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長。腸と免疫研究の第一人者として、東京大学医科学研究所客員教授などを兼任しながら、世界中を飛び回り腸内細菌の調査・研究を続けている。著書に『9000人を調べて分かった 腸のすごい世界 強い体と菌をめぐる知的冒険』(日経BP)ほか多数。

老若男女に積極的に摂ってほしい「食物繊維・発酵食品・ビタミンB1」

國澤先生

老若男女、誰にでも摂ってほしいのが、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌そのものの数を増やす、ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品です。また、食物繊維も欠かせません。食物繊維は腸内細菌のエサで、便のかさを増やしたり、腸を動かすエネルギー源になる短鎖脂肪酸の材料にもなります。
ビタミンB1も腸のために積極的に摂りたい栄養素の1つ。大腸のエネルギー源になる短鎖脂肪酸の中でも、酪酸を生み出すフィーカリバクテリウム菌は、ビタミンB1がないと生きていけません。そのため、豚肉や大豆など、ビタミンB1が豊富な食材も積極的に摂りましょう。

こんなにたくさんの栄養を摂らないといけないの? と思う方もいらっしゃるかもしれません。そこでおすすめなのが、これらの栄養を毎日簡単に食べられる具沢山味噌汁です。たとえば豚汁なら豚肉でビタミンB1、根菜や葉物など、野菜でたっぷりと食物繊維、味噌で発酵食品も摂ることができます。主食には冷めたおにぎりをぜひ取り入れてください。ごはんは冷めると「難消化性デンプン(レジスタントスターチ)」という食物繊維と同じ働きをするものに変わるので、冷めたおにぎりを食べれば腸へのうれしい効果が期待できます。ちなみに、一度「難消化性デンプン」に変わると、レンジで再加熱しても失われることはないため、温めても問題ありません。加えてデザートにヨーグルトを選択すれば、腸にいい献立が完成します。意外に簡単ですよね?

ただし、同じ種類の食材ばかりでは、腸内細菌の種類が次第に偏ってきてしまいます。味噌汁は日替わりでさまざまな具材を取り入れる、ヨーグルトの種類を1〜2週間を目安に替えるなどして、多様な腸内細菌を育てるといいでしょう。


サプリメントで代替は可能?

國澤先生

基本的には食事から摂取するのがおすすめですが、ヨーグルトや納豆が苦手な人はいます。その場合は、ビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌などのサプリメントを摂るのもひとつの方法です。腸内細菌の種類を増やすためには、サプリメントの場合も食材と同じように、長期間ひとつのものだけを摂らずに、種類を替えていくのがポイントです。あるサプリメントの摂りはじめは調子がよかったのに、あまり変化がなくなってきたと感じるようになったら替えどきです。今まで摂っていたものとは別のサプリメントにスイッチしてみてください。


30〜40代の女性には、やっぱり「大豆イソフラボン」が重要!

國澤先生

女性ホルモンに似た働きをすると注目されているエクオール。更年期症状の緩和や肌の老化抑制など、さまざまな効果が期待されています。
大豆製品には大豆イソフラボンが含まれており、これが腸に届くと腸内細菌に代謝され、エクオールが産生されます。しかし、このエクオール産生にかかわる腸内細菌は、加齢とともに減少していくことがわかっています。減少を食い止めるためには、女性ホルモンのバランスが崩れる前、30〜40代のうちから毎日大豆製品を摂取する必要があります。


ただし、エクオールを産生できる腸内細菌を持っている方は日本人の約半数にとどまると言われています。この腸内細菌を保有していないと、大豆製品を食べてもエクオールをつくることができません(エクオールを産生する腸内細菌の有無は市販の検査キットで調べることができます)。その場合は、エクオールを配合したサプリメントで補うのがよいでしょう。


子育て世代必見!【子どもの腸活】で意識すべきこととは?

國澤先生

子どもは本来、大人よりも多くの種類の腸内細菌を持っています。しかし、子ども時代に偏った食生活が続くと、特定の腸内細菌ばかりが増え、多様性が失われて腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。そのため、さまざまな種類の食材を使い、食物繊維や発酵食品、そのほかの栄養素をバランスよく摂取することが大切です。
ただし、腸にいいからと嫌いなものを無理に食べさせる必要はありません。摂ってほしい栄養素が含まれているほかの食材を使ったり、組み合わせを工夫したりすることで、トータルでバランスが取れれば十分です。
意識したいのは特定の食材ばかりを摂る「ばっかり食べ」をやめること。それは大人も子どもも同じです。いろんな種類の食材を取り入れることで、腸内環境の多様性を保ち、健やかな体づくりを目指しましょう。


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写真協力/Shutterstock 取材・文/山本美和

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