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【大阪・関西万博レポ】遠隔操作でスイーツ作り!?栄養士ライターが衝撃を受けた大阪ヘルスケアパビリオンの「デモキッチン」

  • 2025.9.4

ロボットと人が協働する“ミライの調理”を体験

大阪ヘルスケアパビリオン1階「ミライの食と文化」内のイベント会場「デモキッチン」で開催された、ロボットと人の協働をテーマにした「ミライの調理」イベントの様子。
大阪ヘルスケアパビリオン1階「ミライの食と文化」内のイベント会場「デモキッチン」で開催された、ロボットと人の協働をテーマにした「ミライの調理」イベントの様子。

大阪・関西万博(以下、万博)の「大阪ヘルスケアパビリオン」1階にある誰でも予約不要で利用できるフード・物販エリア「ミライの食と文化」。その一画に、食に特化したイベントが連日開催されている「デモキッチン」があります。今回は「ロボットと人の協働」をテーマにした調理イベントを取材しました。

液体窒素で瞬間凍結!未来のジェラート作り

こちらが「デモキッチン」。会期終了まで連日のように何らかの食に関するイベントが開催され、当日参加OKのものも多いそうです。
こちらが「デモキッチン」。会期終了まで連日のように何らかの食に関するイベントが開催され、当日参加OKのものも多いそうです。

筆者が参加した「デモキッチン」のイベントは、8月末に開催された「ミライのジェラート作り&サイエンスショー」。遠隔操作によるロボットとパティシエが協働で作る“ミライのお菓子作り”の実演ショーです。イベントの注目ポイントは、-196℃の液体窒素による瞬間凍結の技術を応用した特別なジェラートを試食できること、キッチンにスタンバイするロボット(コック服とエプロン着用!)とパティシエが連携してジェラートを作ること、ロボットを遠隔地にいる辻調理師専門学校の学生がゲーム機を応用した特別な装置で遠隔操作することです

辻調理師専門学校の学生と先生が、ロボットの遠隔操作に協力。液体窒素が入った容器を持ったロボットのハンドがライブカメラ映像で大きく映し出されました。
辻調理師専門学校の学生と先生が、ロボットの遠隔操作に協力。液体窒素が入った容器を持ったロボットのハンドがライブカメラ映像で大きく映し出されました。

材料は、北海道産の牛乳、北海道産メロン果汁入りドリンク、本来は商品にならないタルト生地の端材、そして液体窒素です。遠隔操作によるロボットが材料を順番にミキサーのボウルに投入し、液体窒素を加えた瞬間、蒸気が立ち上りマジックショーさながらの雰囲気に。16名の参加者と取材陣から驚きの声が上がりました。

-196℃の液体窒素は危険も伴うため、ロボットが扱うことで安全に作業ができるメリットも。
-196℃の液体窒素は危険も伴うため、ロボットが扱うことで安全に作業ができるメリットも。

仕上げは女性パティシエと遠隔地の先生がジェラートの状態をチェック。液体窒素の追加投入を判断したり、盛り付けを行ったりするなど、ロボット×人の協働が分かりやすく実演されていました。

最後は完成したジェラートを参加者と取材陣が試食。驚くほど粒感がなめらかで、口溶けがよく、おいしい!

完成したジェラート。試食すると、優しい口溶け感、キメ細かすぎるなめらかにびっくり!食感のアクセントになっているタルト生地の端材はフードロス削減にもつながっています。
完成したジェラート。試食すると、優しい口溶け感、キメ細かすぎるなめらかにびっくり!食感のアクセントになっているタルト生地の端材はフードロス削減にもつながっています。

イベントを主催したエア・ウォーターのロボティクス自動化プロジェクトリーダー・仲橋孝博さんによれば、「液体窒素による瞬間冷凍だから実現できる食感」とのこと。

主催企業エア・ウォーターが描く“ミライの食”

イベントで液体窒素を使った瞬間冷凍のメリットなどが参加者へ分かりやすく解説されました。
イベントで液体窒素を使った瞬間冷凍のメリットなどが参加者へ分かりやすく解説されました。

今回のイベントを主催したエア・ウォーターは、産業ガス技術×冷凍技術による食品加工事業を手がける企業。万博会場のバックヤードにあるカーボンリサイクルファクトリー内の「地球の恵みステーション」では、万博会場で発生する二酸化炭素(CO2)を回収してドライアイスやメタンの原料にリサイクルする実証実験を行っているそう。

万博会場で発生するCO2を「地球の恵みステーション」でリサイクルしたドライスアイスは、ジェラートの冷却保存に活用。
万博会場で発生するCO2を「地球の恵みステーション」でリサイクルしたドライスアイスは、ジェラートの冷却保存に活用。

また、大阪ヘルスケアパビリオン内のリボーン体験では“ミライのLDK(リビング・ダイニング・キッチン)”をテーマにした展示、デモキッチン向かい側の店舗「AIR WATER NEO MIX STAND」で自動調理ロボットによる“ミライのミックスドリンク”も販売中です。

デモキッチン(右)の向かい側に、自動調理ロボットがドリンクを作る実証店舗(左)も。
デモキッチン(右)の向かい側に、自動調理ロボットがドリンクを作る実証店舗(左)も。

「AIR WATER NEO MIX STAND」では冷凍技術を生かした果汁たっぷりの冷凍キューブを原料に、2台の自動調理ロボットが人の手のように動き、ドリンクの充填からふたの取り付け、提供まで行っているとのこと。そのキッチンスペースへ特別に入らせてもらうと、ロボットにうっかり私が近づくとロボットが検知して安全のために作業を止め、低速で動くなどの配慮をしてくれることに驚かされました。

「調理から提供まではロボット、注文などのお客様とのコミュニケーションやフォローは人が行って温かいサービスを心がけています。そうそう、ロボットのメンテナンスは東京から遠隔操作で行っているんです。デモキッチンで体験していただいた“ミライの調理現場”のライブ感を店舗でも楽しんでいただけたらうれしいですね」(仲橋さん)

万博会場で“ミライの食”に触れてみよう

今回取材した「ミライのジェラート作り&サイエンスショー」は9月には開催されませんが、デモキッチンでは連日、未来の食と文化をテーマにしたさまざまな調理実演や体験型の食育イベントがめじろ押しとのこと。また、デモキッチンがある「ミライの食と文化」フロアには多彩なコンセプトで“ミライ”を飲食体験できる店舗が複数あります。誰でも予約なしで利用できる気軽さも魅力なので、のぞいてみてください。

(野村ゆき)

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