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20年前、衝撃の学園ドラマから世に広がった“張り詰めるけど解きほぐす”希望ソング 作品との対比が際立った“軽快な一曲”

  • 2025.10.13

「20年前、教室から聞こえてきた音楽を覚えてる?」

2005年の夏。街には携帯音楽プレーヤーを耳にする学生が増え、暑さの残る夜にはドラマの主題歌がテレビから繰り返し流れていた。そのひとつが、あの衝撃作『女王の教室』を彩った一曲だった。

EXILE『EXIT』(作詞:秋元康・作曲:原一博)――2005年8月24日発売

重苦しさの中に差し込んだ光

日本テレビ系ドラマ『女王の教室』といえば、天海祐希演じる“冷徹な教師”の姿が強烈な印象を残した作品だ。理不尽とも思える厳しさの裏に、教育の本質を問いかけるストーリーは、当時の社会に大きな話題を投げかけた。そんなヘビーな内容に対して、エンディングで流れた『EXIT』は真逆ともいえるほどポップで明るい楽曲だった。

ドラマの緊張感から一転、爽やかなメロディが流れた瞬間、多くの視聴者が心を解きほぐされた。 まるで暗いトンネルを抜けた先に広がる青空のように、そのコントラストは強烈で印象的だった。

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2003年、「キダム」東京追加公演 公開リハーサルに来場したEXILE (C)SANKEI

EXILEという存在感

2000年代前半のEXILEは、すでにダンス&ボーカルグループとして確固たる人気を築き上げていた。ATSUSHIとSHUNの2人のボーカルが織りなす歌声は力強さと透明感を兼ね備え、HIROを中心としたパフォーマー陣の存在感も大きかった。『EXIT』はそんな彼らの持ち味を凝縮したような作品で、軽快なリズムとポジティブな響きが全体を支配している。

秋元康による歌詞はシンプルながらも希望を抱かせる言葉が並び、作曲の原一博によるメロディはスピード感とキャッチーさを絶妙に両立させていた。その結果、ドラマとの対比が際立ち、楽曲単体としても耳に残る強さを持っていた

多くの世代に届いた音楽的な魅力

『EXIT』の最大の魅力は、聴く人を自然と前向きにさせる推進力にある。イントロから広がる軽快なリズム、伸びやかなボーカルライン、そしてサビで一気に解放されるような高揚感。EXILEのライブでも映える構成は、まさに“外に飛び出す=EXIT”というタイトルをそのまま体現していた。

当時の日本の音楽シーンには、R&Bやヒップホップの要素を取り入れたポップスが増え始めていた。『EXIT』もその流れの中にありつつ、あくまで聴きやすさと大衆性を前面に押し出している点で、多くの世代に届いたのだろう。

ドラマとの不思議な共鳴

エンディングで『EXIT』が流れると、それまで冷たく張り詰めていた空気がふっと和らぎ、視聴者は不思議な余韻に浸った。ヘビーなテーマとポップな音楽の組み合わせは、一見ミスマッチのようでいて、むしろ作品全体を“救う”役割を果たしていた。シビアな現実を描いたドラマに、音楽が最後の希望を添えた。

『女王の教室』は今なお語り継がれる名作ドラマだが、その記憶の片隅には必ず『EXIT』が流れている。作品と音楽が織りなした“緊張と解放のバランス”は、2000年代のテレビと音楽の黄金タッグのひとつだったと言える。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。