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20年前、ラップとボーカルが交差する“ポップなのに生々しい”恋愛ソング ふたりの会話で進む“リアルな名曲”

  • 2025.10.13

20年前、2005年の秋。昼夜の温度差が大きくなり、街にはジャケット姿の人々が増えていた頃。ふと耳に届くラジオや有線から、男女の声が交差するポップなメロディが流れてきたのを覚えているだろうか。まるで目の前で恋模様が展開していくような、生々しくも軽やかな歌。

SEAMO with BENNIE K『a love story』(作詞・作曲:Naoki Takada & BENNIE K)――2005年10月12日発売

それは、ソロとして走り出したSEAMOと、当時ガールズデュオとして人気を集めていたBENNIE Kのコラボレーションから生まれた、きらめくようなラブソングだった。

異色の組み合わせがもたらした化学反応

SEAMOは、名古屋を拠点に活動してきたラッパー。キャッチーで親しみやすいラップスタイルで注目を集めていた。一方のBENNIE Kは、YUKIとCICOによるユニットで、洋楽志向のサウンドと日本語詞を巧みに織り交ぜた作品で人気を確立していた。

そんな両者が共演した『a love story』は、意外性に満ちた化学反応を起こした。YUKIの伸びやかで透明感のあるボーカルと、CICOの力強いラップ、そしてSEAMOの飾らないリリックが、絶妙に噛み合っている。まるで映画のワンシーンをそのまま切り取ったかのように、楽曲全体が会話劇のように展開していく

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塾長ことSEAMO-2005年撮影 (C)SANKEI

リスナーの心をつかんだ理由

この曲の最大の魅力は、男女の視点が自然に交差する点にあった。ベタな恋愛表現ではなく、軽やかな掛け合いによってリアリティが増し、聴く側は“自分の物語”に重ねやすかった。

音の面でも、ポップでありながらヒップホップ的なグルーヴを感じさせるトラックに、BENNIE K特有の明るさが加わることで、秋の街並みにも夏の余韻を残すような爽やかさが漂った。「ちょっと背伸びした恋」を経験した誰もが共感できる雰囲気が、この曲には確かに宿っていた。

次への布石となった一曲

『a love story』はSEAMOにとって、翌年の大ヒット曲『マタアイマショウ』へとつながる重要なステップとなった。『マタアイマショウ』が切ない別れを描いた名曲として語り継がれる一方、この曲は“恋の高鳴り”とも言える瞬間を切り取った存在とも言える。

BENNIE Kにとっても、自身の作品とはひと味違うコラボレーションが新鮮な風となり、音楽性の幅を広げる一つのきっかけになった。2000年代半ば、J-POPシーンではコラボレーション曲が次々に生まれていたが、その中でもこの作品は特にポップでカジュアルな魅力を放っていた。

余韻として残る“青春の会話”

『a love story』の掛け合いを聴くと、当時の若者たちが文字では伝えきれない思いを音楽に託していた光景がよみがえる。

軽やかで等身大の恋のやりとり。それは誰にとっても心当たりのある時間の匂いだった。だからこそ、この曲は今なお思い出すと胸がくすぐったくなる“青春の証”として残っているのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。