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20年前、ランキング初登場1位を獲得した“やさしいのに芯がある”友達ソング 世界の巨匠と日本のトップグループが邂逅した“奇跡の一曲”

  • 2025.10.13

2005年の冬。冷たい風が街を吹き抜け、街頭ビジョンやラジオからは、どこか温もりを帯びたメロディが流れていた。人と人のつながりが少しずつ希薄になりつつあった時代に、その歌は静かに「友だち」という言葉の重みを思い出させてくれた。

SMAP『友だちへ〜Say What You Will〜』(作詞:エリック・クラプトン、作曲:エリック・クラプトン & サイモン・クライミー、日本語詞:竹内まりや)――2005年1月19日発売

前作『世界に一つだけの花』から長い期間をあけてのリリース。日本中が待ち望んだ新しいシングルは、国境を越えた音楽家たちの手で紡がれた、まさに奇跡の一曲だった。

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※Google Geminiにて作成(イメージ)

世界の巨匠と日本のトップグループの邂逅

この楽曲は、ギタリストでありシンガーソングライターのエリック・クラプトンが、愛・地球博のテーマソングとして書き下ろした『Say What You Will』をベースにしている。そこに日本語詞を乗せたのが、シンガーソングライター・竹内まりや。英語の原曲を、日本のリスナーに寄り添う言葉へと丁寧に置き換えた。

そして歌うのは、当時すでに国民的存在となっていたSMAP。クラプトンという世界的な音楽家と、日本の大衆文化を背負ったアイドルグループが交わることで、単なるカバーの域を超えた新しい作品が生まれた

温もりを帯びたサウンドと声

そして編曲を担当したのが、小林武史。アレンジは、クラプトンの原曲が持つ普遍性を崩さずに、SMAPの歌声が自然と溶け込む空間を作り上げた。余白を大切にした音像は、歌詞の「友だちへ」という呼びかけを、より親密に響かせている。

メンバーそれぞれの個性ある声が重なり、友情というテーマを音で体現しているのも印象的だ。華やかさだけでなく、“そばにいる安心感”を届ける声が、聴き手の心をやわらかく包んだ

待ち望まれた帰還と確かな実績

このシングルは、SMAPファンにとって待望のリリースだった。前作『世界に一つだけの花』が国民的ヒットとなっただけに、その次を飾る楽曲への期待は大きかった。

結果、『友だちへ〜Say What You Will〜』はランキング初登場1位を獲得。累計で30万枚を超えるセールスを記録し、SMAPが持つ求心力の大きさを改めて示すことになった。

時代を彩った「友情」の形

2000年代半ばは、インターネットが急速に普及し、コミュニケーションの形が変わり始めた時期だった。メールや掲示板、SNSといった新しい手段が広まる一方で、直接のつながりの希薄さを不安に思う人々も少なくなかった。

そんな中でこの曲は、「友だちへ」という呼びかけを通じて、シンプルながらも確かなメッセージを放った。クラプトンの普遍的なメロディと、竹内まりやが選んだ日本語の響きが、“時代を越えても変わらない心の結びつき”を優しく思い出させてくれたのだ

今もなお残る余韻

『友だちへ〜Say What You Will〜』は、単なるタイアップソングや企画的なコラボレーションではなく、「友情」というテーマを音楽として普遍化した一曲だった。

20年が過ぎた今でも、この曲を聴くと、懐かしい声や風景とともに、自分のまわりにいる大切な人の顔がふと浮かぶ。華やかさよりも温もりで届くメロディ。時代が変わっても、友情を信じる心がある限り、この曲は色褪せない


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。