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30年前、クォーターミリオン達成した“熱いけどシャープな”真夏ロック 多様化ロックの中で存在感を示した“エネルギーソング”

  • 2025.10.13

「30年前の夏、どんな音に体を揺らしていた?」

1995年。CDでヘッドホンをつけて新譜を試聴する姿が当たり前にあった時代。夜になればカラオケボックスの光がネオンと混ざり合い、仲間と熱唱する声が夜風に乗って聞こえてきた。そんな季節の真ん中に、心を突き上げるようなロックナンバーが鳴り響いた。

T-BOLAN『SHAKE IT』(作詞:森下桂人・作曲:森友嵐士)――1995年8月28日発売

真夏を駆け抜けたロックバンドの姿

『SHAKE IT』は、T-BOLANにとって13枚目のシングル。数々のヒット曲を生み出してきた彼らにとって、90年代半ばを彩る重要な一曲だった。ボーカル森友嵐士の魂のこもった歌声、そして熱を帯びたバンドサウンドが、まるで夏の夜の熱気そのもののように広がっていった。

この曲はクォーターミリオン(25万枚)を超えるセールスを記録し、リスナーの心に強烈な印象を刻んだ。これまでのT-BOLANのイメージとは異なったサウンドで、ファンの新しい記憶を更新した。

弾ける衝動のサウンド

『SHAKE IT』の最大の魅力は、そのリズムと勢いにある。ドラムのビートが突き抜け、ギターリフが鋭く切り込む。そして森友の声は熱を帯び、聴く者を立ち上がらせる衝動へと変えていった

1990年代半ば、日本のロックシーンは多様化の真っ只中にあった。ビーイング系のポップロックが街を席巻する一方で、バンドそれぞれが独自の個性を模索していた。そんな中で『SHAKE IT』は、ロックバンドとしてのエネルギーを再確認させる一曲になった。

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2016年、東京マラソン10回記念のランナー応援ソング発表会に登場したT-BOLANのボーカル・森友嵐士 (C)SANKEI

当時の空気と共鳴した熱量

1995年は、音楽番組がゴールデンタイムを飾り、ランキングの動きが翌日の話題になるほど世間の関心が高かった時代。シングルCDの売り上げがそのままバンドの存在感を示す指標となり、T-BOLANもまたその渦中にいた。

『SHAKE IT』が支持された背景には、バンドが放つエモーションと、世代が抱えていた「今を全力で駆け抜けたい」という共感があったのだろう。純粋に音楽そのものの力でリスナーを惹きつけた作品として記憶されている。

熱と余韻を残した一曲

『SHAKE IT』はシングルとしての存在感はもちろん、ファンに強烈な印象を残した。あれから30年。街の景色も、音楽の聴き方も大きく変わった。けれども、『SHAKE IT』が放つ熱量は今もなお色褪せない。真夏の夜にふと流れてくると、あの頃の汗と歓声の記憶が蘇り、思わず胸が高鳴る。

熱を抱きしめ、駆け抜けたあの時代の証。その輝きが刻まれたままの一曲こそ、『SHAKE IT』なのだ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。