1. トップ
  2. おでかけ
  3. 「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」がアーティゾン美術館で開催中

「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」がアーティゾン美術館で開催中

  • 2025.9.1

こんにちは。フリーキュレーターのSEIJIです。価値観や表現方法が多様化しているアートの世界を、ニュースや展覧会、作家や作品に注目したコラムにしてお届けする「今どきのアート」。近頃気になったのがこちら。

出典:シティリビングWeb

イワニ・スケース《えぐられた大地》2017年、ウランガラス(宙吹き)、石橋財団アーティゾン美術館

© Courtesy the Artist and THIS IS NO FANTASY

「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」がアーティゾン美術館で絶賛開催中!アボリジナル女性作家たちが彩る現代アートに触発されるひととき。

はじめに、皆さんは世界の六大陸をご存じですか? 北米大陸。南米大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、南極大陸、そしてオーストラリア大陸。

そう、オーストラリアは世界の六大陸のひとつなんです。その広大な大陸であるオーストラリアには、カンガルーやウォンバット、カモノハシ、コアラ、ワラビーなど独自の進化を遂げた動物たちが生息しています。コアラの好物である植物のユーカリも知られています。

そして、巨大な1枚岩として有名なエアーズロックは世界遺産であり、オーストラリアの先住民であるアボリジニの聖地。

アボリジナル女性たちがつくる独自の感性によって彩られたアート作品は、地域独自の文脈から生まれたアート作品の再考が進む近年の現代美術の世界的なうねりと呼応し、アボリジナル・アートとして改めて注目を集めているのです。

出典:シティリビングWeb

ジュリー・ゴフ《ダーク・バレー、ヴァン・ディーメンズ・ランド》2008年、フィンガル・バレー(タスマニア)産石炭、ナイロン、北ミッドランド(タスマニア)の落角、タスマニアン・オーク、ニューサウスウェールズ州立美術館 © Julie Gough Image © Art Gallery of New South Wales

複数のアボリジナル女性作家に焦点をあてた日本で初めての機会

アーティゾン美術館の前身であるブリヂストン美術館では2006年に「プリズム:オーストラリア現代美術展」を開催。以降、継続的にオーストラリア現代美術作品を収集しています。そして、開催中の展覧会は複数のアボリジナル女性作家に焦点をあてた日本で初めての機会となります。

出典:シティリビングWeb

マリィ・クラーク《ポッサムスキン・クローク》2020-21年、ポッサムの毛皮、ヴィクトリア州立美術館 © Maree Clarke

アボリジナル女性作家の多くは、今日のオーストラリアのアートシーンを牽引し、さらに国際的な現代美術の舞台でも存在感を強めています。

しかし現代アボリジナル・アートが興隆した1970年代から80年代は、女性は作家として認められず男性が制作の中心でした。どのようにして彼女たちはその立場を逆転し、後のアボリジナル・アートそしてオーストラリア現代美術の方向性を握るようになったのか。

アボリジナル女性作家にフォーカスすることで見えてくる、オーストラリア現代美術の現在地を、世代と地域を越えた7名と1組の作家から読み解いています。

出典:シティリビングWeb

ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ《タンギ(ロバ)》2021年、映像、ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ、NPY ウィメンズ・カウンシル

© Tjanpi Desert Weavers, NPY Women’s Council

彼女たちが創造するアボリジナル・アートの「いま」

現代アボリジナル・アートの特徴のひとつに、制作手法や作品のテーマ、そして用いられる素材の多様性が挙げられます。その豊かな表現力の拡がりに女性作家が大きく貢献しているのです。

例えば、バティック、ジュエリー、編み物、土地神話物語(ドリーミング)を含まない事象的な主題など、それまで芸術作品として受け容れられていなかった創作を、彼女たちは芸術表現に昇華させました。

そして、脱植民地化の言説が進むオーストラリアで、女性作家たちはアートを通して積極的にその実践を試みています。同展では彼女たちの多様な創作活動を丁寧に追い、アボリジナル・アートの「いま」に迫っています。

出典:シティリビングWeb

ジュディ・ワトソン《赤潮》1997年、顔料、パステル・カンヴァス、ニューサウスウェールズ州立美術館

© Judy Watson / Copyright Agency, Image © Art Gallery of New South Wales

オーストラリア各地で躍動する作家たちを一挙紹介

アボリジナル・アートの多様性は、オーストラリアの広い国土に由来しているそうです。

伝統文化が深く根付くコミュニティ出身作家から、エミリー・カーマ・イングワリィ、マーディディンキンガーティー・ジュワンダ・サリー・ガボリ、ノンギルンガ・マラウィリ、そしてコレクティヴとして活動するジャンピ・デザート・ウィーヴァーズを出品しています。

現在のアボリジナル人口の8割が都市部に住むオーストラリア社会において、都市部出身もしくは都市部を拠点に活動する作家も見逃せません。マリィ・クラーク、ジュリー・ゴフ、イワニ・スケース、ジュディ・ワトソンを出品しています。

出典:シティリビングWeb

マリィ・クラーク《私を見つけましたね:目に見えないものが見える時》(部分)2023年、顕微鏡写真・アセテート、作家蔵(ヴィヴィアン・アンダーソン・ギャラリー) Installation view of Between Waves, Australian Centre for Contemporary Art, Melbourne.

Photo; courtesy Andrew Curtis © Maree Clarke

アーティゾン美術館 広報からのひとこと

「民族の記憶や感情が、それぞれの作家のまなざしを通して、美しい作品に昇華されているのが魅力です。作品の背後にある歴史や、喜びや悲しみといった感情を読み解き、味わうことで、より展覧会を楽しんでいただけるのではないか、と思います。また、樹皮や布、革、ガラス、石炭といった多様な素材の使い方にも見どころです。」

出典:シティリビングWeb

ノンギルンガ・マラウィリ《バラジャラ》2018年、天然顔料、再利用されたプリンター用インク・樹皮、ケリー・ストークス・コレクション

© the artist ℅ Buku-Larrŋgay Mulka Centre

2025年9月21日(日)まで。展覧会の詳細は下記のURLからご確認ください。

アーティゾン美術館

https://www.artizon.museum/exhibition_sp/echoes_unveiled/

プロフィール/SEIJI(小太刀正史)

フリーキュレーター。MeDEL個人事務所主催。学芸員の目線から美術館の情報を発信する活動を始める。自身もオブジェ作家として活動歴あり。

OBJECT東京展入選 From A The art日本オブジェ部門佳作 日本文化デザイン会議

ETDA展参加など。

元記事で読む
の記事をもっとみる