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登山の安全対策のために、「登る前」にしておきたいこと 登山者にとってもメリットのある取り組みを体験

  • 2025.8.31

北海道生まれ北海道育ち。生粋の道産子であるHBCアナウンサー・堀内美里(ほりうち・みさと)が、趣味である「登山」と「山ごはん」を紹介する連載「堀内美里の言いたいことは山々ですが」。

以前の記事で、北海道警察の遭難防止活動の中で、「一日山岳救助隊長」をさせていただいた様子をご紹介しましたが、その際、道警が民間企業と連携して始めた、迅速な救助のための取り組みも取材しました。

※北海道の山に登るときは、クマについても知っておきましょう。「クマに出会ったら」「出会わないためには」の基本の知恵は、HBCのサイト「クマここ」で、専門家監修のもとまとめています。

毎年100人以上が遭難…7月、8月全体の3割

7月・8月の夏山シーズンは、遭難者の数も増えるので特に注意が必要です。

過去5年に北海道内で発生した山岳遭難者の数のうち、山菜採り遭難を除いた数は毎年100人以上。

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そのうち多いのが7月・8月で、全体の3割近くを占めています。

主な遭難の原因は「道迷い」が36%で最も多く、次いで「転倒」が20.1%、「悪天候」が11.4%となっています。

北海道警察と連携協定

7月、北海道警察は登山アプリ「YAMAP(ヤマップ)」の運営会社と協定を結びました。
このアプリは、スマートフォンのGPS機能と専用地図を使うことで、携帯の電波が届かない山の中でも、自分が今どこにいるのか現在位置を知ることができます。

山岳遭難が発生した場合は、この位置情報が警察や救助機関に提供され、迅速な救助活動につながります。

「YAMAP」は現在、30道府県以上の警察と連携していて、登山者にとっては、登山計画書の提出をアプリで完結できるメリットもあります。

さて、そもそも「登山計画書」ってご存知でしたか?

登山計画書ってなに?

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富良野岳登山口

登山計画書は、「遭難した!」「ケガをした!」などの緊急時に備えて自分の連絡先を警察に届け出るものです。
北海道の場合は、北海道警察のホームページから記入用紙をダウンロードして、メールや郵送をする必要がありました。
しかも登山の7日前までの提出が推奨されているのです。

また、それ以外の方法として登山口にあるポストで登山計画書を届け出ることもできます。
ポストには多くの場合記入用紙も置いているのでその場で記入して投函できますが…低山の場合はポストが備わっていないケースもあります。

ちなみにこの画像の入林届出箱は、国有林に入る場合に林野庁に提出する「入林届」を入れるもの。入山時刻や名前、緊急連絡先などを書くファイルが入っていますが、警察に提出する必要がある「登山計画書」とは別物です!注意!

国有林である山の登山では「登山計画書」と「入林届」の2つを提出する必要があります!

「入林届」は警察に情報が届くものではないため、遭難などのケースでは警察が林野庁に問い合わせて、ようやく登山者の情報が共有されるという手間になってしまっていました。

アプリで立てた登山計画が、公式書類として警察に提出できる!

今回、協定を結んだことで、YAMAPのアプリ上で登山計画を提出すると、北海道警察へも共有されるようになりました。

私たち登山者は、登山計画書を記入・郵送・投函したりするなどの手間が省けて利便性が上がり、緊急時の情報を警察に共有できる安心感もアップ。

そして、警察側も山岳遭難が発生した場合に、遭難者の位置情報が分かるシステムにアクセスすることができるようになったことで、迅速な救助活動につながります。

まさにウィンウィンの関係…。

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登山を楽しむには、まず安全が第一!登山計画書は「備え」のひとつになります

2025年8月現在、30道府県の警察が同様の協定を結んでいるということです。

私も作ってみました

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私が入力した画面(画像提供:YAMAP)

先日、黒岳に登る機会があったので早速私も登山計画書を作ってみました。
登る予定のルートを設定したり、持ち物をチェックしたり、緊急連絡先を入れたり…10分足らずで計画書を作成することができました!

緊急連絡先も、一度入力すれば次回からは自動で入力されるため、さらに時短!

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ルートもたくさん選べてそれぞれの所要時間を計算してくれます(画像提供:YAMAP)

設定した登山道から自動的に予想タイムを出してくれて、歩くスピードなども変えられることに感動しました。

今まで紙にかいて計算していたので、こんな便利な機能があるとは…。

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入力し忘れも防げるので安心です(画像提供:YAMAP ※地図の一部に書き込みをしています)

最後に「提出」をタップして完了!

もちろん、ケガや遭難はしないように気をつけることが第一。
そのために、服装や飲食物、雨具やクマ対策…などの自分でできる準備をすることが大前提です。

そして登山ルートや時間配分などの計画もその準備のひとつ。
簡単にできるうえに公的に提出できる「計画書」にもできるなら、安全と安心をまたひとつ増やすことができますね。

連載「堀内美里の言いたいことは山々ですが」

※北海道の山に登るときは、クマについても知っておきましょう。「クマに出会ったら」「出会わないためには」の基本の知恵は、HBCのサイト「クマここ」で、専門家監修のもとまとめています。

文:HBCアナウンサー・堀内美里(ほりうち・みさと)
北海道生まれ・北海道育ち。2021年入社。HBCテレビでは「グッチーな!」「ジンギス談」「吉田類 北海道ぶらり街めぐり」「大江裕の北海道湯るり旅」などを担当。登山歴4年。おいしくごはんを食べるために山に登っています。登山の魅力はインスタグラムでも発信中

編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は取材時(2025年8月)の情報に基づきます。

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