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管理栄養士「積極的に食べて」→『糖尿病予備軍』はまだ間に合う…なるべく“食べたい食材”とは

  • 2025.11.11
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

毎年の健康診断で、「糖尿病予備軍」と診断されると、とても不安な気持ちが湧いてくるものです。でも、慌てる必要はありません。食生活や生活習慣を少し工夫すれば、糖尿病の進行を抑えられる可能性があります。

今回は、糖尿病予備軍の方が取り入れたい食材を中心に、健康的な食事のポイントを管理栄養士の視点からわかりやすくご紹介します。普段のごはんを少し工夫するだけで、健康的な体づくりは十分に目指せます。気楽な気持ちで取り入れてみましょう。

糖尿病予備軍とは?味方になる食材とは

糖尿病予備軍とは、血液中の血糖値がやや高めで、まだ糖尿病と診断される手前の状態を指します。一般的には「境界型糖尿病」とも呼ばれていて、空腹時血糖値や糖負荷試験の結果から判別されます。具体的には、空腹時血糖値が100~125mg/dLの範囲であったり、75gのブドウ糖を飲む検査において、血糖値が2時間後に140~199mg/dLの範囲で該当します。

この段階だと、血糖を調節するインスリンの働きが弱まっていたり、インスリンの分泌量が十分でなかったりする可能性が。放っておくと糖尿病になるリスクが高まることが知られています。この、境界型糖尿病の状態から抜け出すためには、食事・運動・体重管理を無理なく続け、血糖値を安定させる生活習慣を身につけることが大切です。

では、食事の面ではどのようなことを意識すれば良いでしょうか?ポイントは血糖値を出来るだけ安定させることです。

具体的に食べたい食材&食事のアイデア

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

糖尿病予備軍の方が意識したいのは、「血糖値が急に上がりにくい食材」と「腹持ちがよく、食べすぎを防げる食べ方」です。難しいルールは不要で、日常に少し取り入れるだけでOKです。

まず、糖尿病予備軍に推奨される食材としては、次のようなものがあります。

  • 緑黄色野菜:ほうれん草、ブロッコリー、にんじんなどビタミンやミネラルが豊富で、食物繊維も多い
  • 海藻類:わかめ、昆布、ひじきなど、カリウムやマグネシウムを含み、糖の吸収を緩やかにするといわれる
  • 魚介類:青魚(サバ、イワシ、サンマ)は良質な脂質(DHA、EPA)を含む
  • 豆類:大豆製品(豆腐、納豆)は植物性タンパク質が豊富で満腹感も得やすい
  • きのこ類:低カロリーで食物繊維が豊富、血糖値の変動を抑える可能性がある

これらを上手に組み合わせて、たとえば「魚の塩焼きにほうれん草の和え物、きのこ入り味噌汁」といった和食のメニューは理想的です。白米を玄米や雑穀米入りのごはんに替えると、より血糖値の上がり方を抑えられる可能性があります。

血糖値を急上昇させる、糖質の多いお菓子や飲み物は控えるようにしましょう。間食には、少量のナッツや無糖ヨーグルトを取り入れるのがおすすめです。

食材選びだけでなく、糖尿病予備軍の食生活には継続できる工夫として、「腹持ちをよくして食べすぎを防ぐ」ことも大切です。食事の際にはまず、食物繊維とたんぱく質をしっかり摂ることがポイントです。サラダや味噌汁を先に食べると、満腹感が早く得られ、血糖値の急上昇も抑えられます。よく噛む、ゆっくり食べる、具だくさんスープを取り入れることで、腹持ちがよくなり、自然と食事量を調整しやすくなります。

さらに、適度な運動や十分な睡眠も血糖値の管理をサポートするとされ、総合的な生活習慣の見直しが望ましいとされています。体に負担がかからない範囲で、日々の中でできることから始めるのがおすすめです。

予備軍の段階で意識したい「食生活」

糖尿病予備軍と言われても悲観する必要はありません。食生活や生活習慣を見直すことで、糖尿病のリスクを遠ざけられる可能性もあります。

今回紹介した「血糖値が急に上がりにくい食材」と「腹持ちがよく、食べすぎを防げる食べ方」は、どれも特別なものではなく、日常に取り入れやすい工夫です。無理のない工夫を続けることで、体への負担を減らし、健康的な食習慣を身につけやすくなります。食べられないものを考えるのではなく、食べるものをどう工夫していくか考え、健康的な体づくりを目指しましょう。


監修者:工藤まりえ

大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。