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「差は1cm」引越し業者が語る、120kg超え冷蔵庫“3階階段搬入”の地獄。「あと数十センチ」で立ちはだかったのは?

  • 2025.10.28
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出典:photoAC(写真はイメージです)

こんにちは。引っ越し・家財の集配をしているしーやんです。

引っ越しや家財の集配業務の現場では、思わぬ事態に遭遇することがあります。

今回は、重さも緊張感も超ヘビー級だったエピソードをご紹介します。新しい家財をこれから購入しようとしている方は、ぜひ知っていただきたいです。

120kg超の巨体と格闘!階段搬出

その日、私たちは一戸建てのご家庭に大型冷蔵庫を配達しに行きました。

キッチンは3階。もともとあった冷蔵庫と入れ替えるため、まず古い冷蔵庫を1階まで運び出すところから作業が始まりました。

冷蔵庫は120kgを超え、階段の幅も決して広くありませんでした。

1人が冷蔵庫の上部を持ち、もう1人が下部を持って後ろ向きに降りる体勢。少しでもバランスを崩せば、家を傷つけるだけでなく、命にも関わる危険な状況に、神経は限界まで張り詰めていました。

ギリギリの幅を読みながら、息を合わせ、ようやく1階へ。床に冷蔵庫を置いた瞬間、全員がほっと息をつきました。

「通せるかな…?」寸法1cm差の冷や汗

次は新しい冷蔵庫の搬入です。梱包を解いて寸法を測った男性社員が、メジャーを片手に静かに言いました。

「通せるかな…?」

測ってみると、冷蔵庫の横幅と3階廊下の幅の差は、わずか1cm。

お客さんは「前の冷蔵庫も通ったから、今回も大丈夫ですよ」と、冷蔵庫が通ることを疑いませんでした。

しかし、私たちは簡単にうなずけません。冷蔵庫が通ることだけではなく、安全に、他の家財や家を傷つけないことも視野に入れて搬入しなければならないからです。

持って下りた時と同じく、1人が冷蔵庫の上部を持ち、もう1人が冷蔵庫の下部を持って、全身の筋肉で重さと高さのバランスを取りながら、なんとか3階まで持って上がることができました。

息は上がり、腕はプルプル。

3階で冷蔵庫をキルトマットに載せ、横幅が冷蔵庫とたった1cm差の廊下を慎重に滑らせながらキッチンまで前進しました。

最後の関門はまさかの「蝶番」

ようやく廊下を抜け、「あと数十センチで設置場所」というところでまさかの、ドアの蝶番(ちょうつがい)が冷蔵庫の進行を止めました。

メジャーで測ると、蝶番からドア枠までの幅と冷蔵庫の横幅はほぼ同じ。

ここで無理をすれば壁を傷つける恐れがありましたが、冷蔵庫を通すためには傷防止用のキルトカバーを外すしかありませんでした。

キルトマットに載せていた冷蔵庫を持ち上げ、冷蔵庫や家を傷つけないよう作業員全員で声をかけ、角度を微調整しながらドアを通過。

キッチンの冷蔵庫置き場に設置を完了した瞬間、全員の顔に安堵の笑みが広がりました。

たった“1cm”しかない怖さ

今回の現場で痛感したのは、「たった“1cm”しかない怖さ」です。

搬出入する物と搬出入経路の幅の差が1cmほどしかない場合、階段の角度、壁の出っ張り、ドアの金具などの「ちょっとしたもの」が搬出入を妨げる可能性があります。

『前に通ったから今回も大丈夫』と考えがちですが、実はそこに思わぬ落とし穴が潜んでいることがあります。

こうした少しの油断が、大切な家財や家を傷つける原因になったり、作業員の安全を脅かす事態につながる可能性もあるのです。

搬入経路が運命を分ける

冷蔵庫のような大型家電を購入するとき、多くの人は「置けるかどうか」だけを確認します。

しかし、実際に大切なのは「通せるかどうか」。

搬入経路を確認せずに購入してしまうと、最悪の場合、搬入できず、返品が必要になるケースもあります。

安全かつ確実に設置するためには、「搬入経路(階段・廊下・ドア幅)をメジャーで測る」、「購入前に下見サービスや搬入相談を利用する」ということが大切です。

作業員の安全、家の保護、そしてお客さんの満足のために「搬入経路の確認」を忘れないことが、最大のトラブル防止策と言えるでしょう。


ライター:しーやん

日本語教師をしながら、ライター業、引っ越し・家財の運搬業務をしております。現在は、鉄道、受付、テーマパークなど様々な業種で培った経験をもとに「正しい日本語で心に刺さる文章を」をモットーに執筆中。


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