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「まさか、信頼してたのに…」注文住宅で400万円の大赤字。工務店を“人柄で選んだ”40代男性の末路【一級建築士は見た】

  • 2025.10.31
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「まさか、申請を出していなかったなんて思いもしませんでした」

Tさん(40代・男性・夫婦+子ども2人)は、地元の工務店に注文住宅の建築を依頼しました。 担当者の人柄もよく、地域密着で信頼できそうな雰囲気に安心感を覚えたといいます。

「大手ハウスメーカーより価格も抑えられていたし、“工務店だから融通がきく”という言葉にも惹かれました。」

Tさんは、設計打ち合わせの段階で「長期優良住宅として申請してほしい」と希望を伝えていました。 営業担当も「もちろん対応できます」と答えたため、特に心配はしていなかったそうです。

しかし、引き渡し後、住宅ローン控除の手続きを進める中で衝撃の事実が判明しました。 「長期優良住宅の申請が出されていなかった」――工務店は申請自体をしていませんでした。

申請漏れの代償

Tさんは、国の補助金(100万円程度)を受け取れる前提で資金計画を立てていました。 年収のギリギリでローンを組んでいたため、将来の住宅ローン減税(約300万円分)も計画に入れていたといいます。

しかし、申請漏れにより補助金もローン減税も適用外となりました。

「工務店から“オプション費用を無料にして補助金分は補填します”と言われました。でも、住宅ローン減税は将来の年収によるものなので保証できないと。約300万円の損失は、うちにとっては本当に痛かったです。」

地元工務店とハウスメーカーの違い

地域密着型の工務店は、施主に寄り添い、柔軟な対応をしてくれるケースが多くあります。 しかし一方で、大手ハウスメーカーのような複数人によるダブルチェック体制や専門部署の確認プロセスがないことも少なくありません。

そのため、担当者一人の判断や見落としが、そのまま重大なミスにつながってしまうのです。

「担当者も悪気があったわけではありません。設計から申請、現場管理まで一人で抱えていたようで…。」

地元の工務店でも、しっかりと体制を整えている会社は多くあります。 しかし、大手ハウスメーカーに比べると組織的ではないため、施主自身が知識を持ち、任せきりにしない姿勢が求められます。

後悔しないための対策

長期優良住宅の認定を受けるためには、建築確認とは別に維持保zん計画書など、多数の書類を期限内に提出する必要があります。 特に小規模な工務店では、こうした事務作業を一人で兼任していることが多く、申請漏れのリスクが高くなります。

対策としては、

  • 契約前に「長期優良住宅の申請はいつ・誰が行うのか」を明確にしておく
  • 「認定通知書」や「申請済み書類」を自分の目で確認する
  • 工務店の規模に関わらず、見積書などの書類確認を怠らない

「専門的なことは分からない」と思う施主ほど、最初に“書面で確認”することが何よりの防止策になります。

“信頼”だけでは資産は守れない

Tさんの体験は、「信頼して任せた結果、制度上の確認を怠った」ことで生じた典型的なトラブルです。 長期優良住宅の認定を受けられるかどうかで、補助金・ローン減税・保険料・固定資産税の減免・資産価値が大きく変わります。

「今振り返ると、家そのものには満足しています。でも、申請を確認していなかったことが悔やまれます。“長期優良住宅ですか?”と一言聞いておけば防げたと思います。」

地元の工務店にも誠実で優れた会社は多くあります。 ただし、大手のように組織で守られていない分、施主側にも“確認する必要”があると思います。

信頼は大切ですが、“安心”は“確認”から生まれます。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者) 地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。