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「今じゃ地上波では無理」「かなり生々しい」“攻めた脚本”に騒然…「よく引き受けた」国民的アイドルの“体当たり演技”光る名ドラマ

  • 2025.11.1

常識や倫理観を揺さぶる「過激な描写」。物議を醸しながらも、その衝撃的な表現が視聴者を強く惹きつけ、深いテーマを突きつけるドラマがあります。地上波の限界を超え、実現できた大胆なシーン、目を背けたくなるような暴力、そして人間の闇をえぐり出す生々しい心理描写。本特集では、そのセンセーショナルな内容で放送・配信当時、「衝撃が走った」話題作を厳選今回は第2弾として、2003年に放送されたドラマ『Stand Up!!』(TBS系)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

Stand Up!!ってどんな話?あらすじを紹介

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二宮和也(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『Stand Up!!』(TBS系)
  • 放送期間:2003年7月4日〜9月12日
  • 出演者:二宮和也、山下智久、小栗旬、成宮寛貴、鈴木杏、釈由美子、的場浩司 ほか

あらすじ

舞台は東京郊外の住宅地。浅井正平(二宮和也)、岩崎健吾(山下智久)、江波功司(小栗旬)、宇田川隼人(成宮寛貴)の4人は、幼なじみの高校生。恋愛にも、人生にも、少し遅れを取った“童貞カルテット”の彼らは、周囲の変化に焦りと好奇心を募らせていました。そんなとき、かつての幼なじみ・大和田千絵(鈴木杏)が街に戻ってくる。彼女の存在が、彼らの世界を一変させます。友情、嫉妬、劣等感、そして初めて知る“好き”という気持ち。夏という季節に押し出されるように、彼らは自分たちの殻を破ろうともがいていきます。笑いながら、傷つきながら、それでも前を向く。彼らの青春は、誰の中にもある“あの頃の自分”を思い出させてくれます。

令和で地上波放送するのは難しい“過激描写”

ドラマ『Stand Up!!』の何がここまで印象に残るのか――それは、17歳の「生々しさ」を隠さなかったことにあります。性への興味、焦り、羨望、そして自意識の痛み。誰もが感じたことのある青春の一場面を、脚本の金子ありささんがユーモア人間味を交えて描き出しました。令和の今、このドラマのように“性”をテーマに据えた学園ドラマを地上波で放送することは難しいでしょう。

SNSでも「今じゃ地上波では無理」「かなり生々しい」という感想が上がるほどです。しかし、今作は決して下品でも過激でもなく、むしろまっすぐ。少年たちが“自分の居場所”を見つけようとする姿を、どこまでも誠実に描いています。笑いの裏側に漂う切なさ、勢いの中にある優しさ。そのバランスこそが、本作が今なお愛され続ける理由です。

国民的アイドル・二宮和也の体当たり演技

浅井正平を演じた二宮和也さんの演技は、まさに“青春の等身大”でした。正平は冴えないけれど心は真っ直ぐ。恋も友情も下手くそで、でも誰よりも人を思いやる。二宮さんは、その不器用さと繊細さを、絶妙なタイミングの表情と間で表現しました。仲間の前では強がり、好きな人の前では黙り込む。目を伏せる仕草、少しの沈黙――その一つひとつが、17歳のリアルを映し出していました。

あまりのリアリティに「よく引き受けた」という声も見られました。ラストに向かうほどに彼の演技は熱を帯び、視聴者は「二宮和也さんの青春」をそのまま見届けているような気持ちになります。華やかなアイドルとしてではなく、“少年の心を抱いた一人の俳優”としての存在感。『Stand Up!!』は、二宮さんの表現者としての才能を確立させた重要な作品です。

名女優・鈴木杏が魅せた“快演”

大和田千絵役を演じた鈴木杏さんは、4人の少年たちの人生を変える存在として、圧倒的な存在感を放ちました。明るく笑っているのに、どこか儚げ。彼女の中に漂う孤独が、男子たちの心を惹きつけて離しません。鈴木さんは、派手な演技ではなく“沈黙で語る”タイプの女優。彼女がふと遠くを見つめる視線の奥に、何を抱えているのか深読みしてしまうほどです。

特に、二宮さん演じる正平と千絵が並んで歩く夕暮れのシーン。何も言葉を交わさずとも、切なさと優しさが感じさせる映像は、青春の切なさを十二分に物語っています。鈴木杏さんの演技があったからこそ、『Stand Up!!』は単なる青春コメディではなく、“心の成長物語”として輝きを放っているのです。

『Stand Up!!』は、笑いの中に痛みがあり、恥ずかしさの中に勇気がある。そんな“青春の真実”を丁寧に描いた名作です。「平成の青春夏ドラマ」として語り継がれる理由は、単に豪華キャストだからではありません。そこに映っているのは、誰もが経験した“心の揺れ”であり、“一度きりの季節”の輝き。二宮和也さん、山下智久さん、小栗旬さん、成宮寛貴さんという4人が見せた初々しさと覚悟、そして鈴木杏さんの透明感。それらが交わることで、この作品は唯一無二の青春の記録になりました。令和の今こそ観てほしい――当時の空気を知る世代にも、これから青春を迎える世代にも響く、“あの夏”の物語です。


※記事は執筆時点の情報です。