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「荷物を受け取るだけ」“高額報酬”を受け取るも…若者「知らなかった」→弁護士「賠償額は億単位にのぼる」“闇バイト”の代償は?

  • 2025.9.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

SNSや掲示板で「高額報酬」「簡単に稼げる」とうたう“闇バイト”。しかし、その実態は特殊詐欺や強盗事件の実行役として若者を利用する犯罪です。
「ただ荷物を受け取るだけ」「指定の場所に行くだけ」と軽い気持ちで応募した結果、重大な犯罪に加担し逮捕・起訴されるケースが後を絶ちません。本人が「犯罪に関わるつもりはなかった」と弁解しても、責任を免れることはできるのでしょうか。弁護士に伺いました。

 “闇バイト”で犯罪に加担した場合、どのような罪に問われますか?

今回は、茨城県取手市 じょうばん法律事務所所属の鬼沢健士 弁護士にお話をお伺いしました。

内容によって罪の重さは変わります。例えば、家に押し入って金品を奪う場合は住居侵入罪強盗罪(致傷・致死があれば強盗致傷罪・強盗致死罪)に問われます。

預貯金の引き出し(いわゆる「出し子」)であれば、詐欺罪窃盗罪に問われる可能性があります。さらに、組織的に関与した場合には組織犯罪処罰法違反も適用されます。いずれも重罪です。

「犯罪だとは知らなかった」と主張すれば、刑事責任を免れますか?

免れません。犯罪の成立には「違法性の認識」までは必要とされていません。「知らなかった」という言い訳は通用せず、一般的にも「犯罪とわからないはずがない」と判断されます。

募集に「ホワイト案件」と書かれていて信じていたとしても、刑事責任を負うことになります

 実行役でなく“下見”や“受け子”でも同じ処罰を受けますか?

受け子や下見役であっても、犯罪を手助けしたことに変わりはなく、刑事罰を免れません。

従属的な役割でも処罰は重く、特に特殊詐欺事件に対しては厳しい判決が出る傾向にあります。

初犯でも実刑判決が下されることは珍しくありません。

刑事罰に加えて、被害者から損害賠償請求を受けることはありますか?

あります。盗んだ金品はもちろん、被害者に怪我をさせれば治療費や慰謝料、死亡させてしまえば賠償額は億単位にのぼることもあります。

「バイト」と名付けられていても、その法的責任は非常に重いのです。

インターネット上には違法・危険な募集が多く紛れています。まずは「簡単に高額報酬を得られる仕事は存在しない」という現実を理解することが大切です。
1日働いて得られる金額の相場を知り、「荷物を受け取るだけで数十万円」といった話を鵜呑みにしないこと。万が一巻き込まれそうになったときは、途中で断る勇気を持つことが必要です。警察も応募者やその家族を保護する仕組みを整えています。

まとめ

闇バイトに応募した結果、知らず知らずのうちに詐欺や強盗に加担してしまう若者が増えています。

しかし「知らなかった」では済まされず、実行役でなくても刑事罰や民事賠償責任を免れることはできません。
高額報酬をうたう「甘い誘い」は、人生を一変させるリスクをはらんでいます。危険を見抜き、安易に関わらないことが最も重要です。


監修者名:鬼沢健士 弁護士

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茨城県取手市でじょうばん法律事務所所属。
できる限り着手金無料で、労働問題(不当解雇、未払残業代等)や詐欺被害救済に積極的に取り組んでいる。