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「最悪の場合は逮捕も」飲食店への“口コミ投稿”→その後、届いた“損害賠償の請求”に「発信者の特定が可能」【法律のプロが解説】

  • 2025.9.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

グルメサイトやSNSにレビューを投稿するのは当たり前の時代。
しかし近年、「事実と異なる誹謗中傷」や「過度に悪質な書き込み」が問題となり、飲食店の評判を大きく損ない、経営に深刻な影響を与えるケースが報じられています。

「個人の感想だから自由に書いていい」と思いがちですが、行きすぎた投稿は名誉毀損や信用毀損に当たり、最悪の場合は逮捕や損害賠償に発展することもあります。今回は、飲食店レビューにおける法的リスクと線引きについて弁護士に伺いました。

飲食店に虚偽や悪意あるレビューを書いた場合、どんな罪に問われますか?

今回は、茨城県取手市 じょうばん法律事務所所属の鬼沢健士 弁護士にお話をお伺いしました。

虚偽や悪意ある投稿であれば、名誉毀損罪信用毀損罪が成立する可能性があります。

例えば「腐った食材を使っている」といった事実無根の記述は名誉毀損に当たりますし、商品の品質や営業に打撃を与える内容であれば信用毀損罪に当たります。

さらに、虚偽の口コミで店に大量の問い合わせを引き起こすなどすれば、偽計業務妨害罪に問われる可能性もあります。

「まずかった」「サービスが悪かった」といった主観的な感想でも責任を問われますか?

基本的に、正直な感想を述べることは口コミの本来の役割です。主観的な感想まで法的責任を問われると、表現の自由が侵害されかねません。

そのため、主観的な感想にとどまる内容であれば、法的責任を問われる可能性はほとんどありません。

口コミが原因で店の売上が落ちた場合、損害賠償を請求されることはありますか?

可能性はありますが、実際に認められるケースは稀です。

売上減少が口コミだけに起因することを証明するのは極めて難しく、どの程度の影響があったのかを立証するのも困難だからです。

したがって、経済的損害を理由に賠償が認められるケースは少ないといえます。

投稿が匿名だった場合でも、発信者を特定される可能性は?

匿名であっても、発信者を完全に隠し通すことはできません。

プロバイダーにはIPアドレスなどの記録が残っており、警察や裁判所を通じて情報を開示させれば特定が可能です。

ただし、飲食店が民事で開示請求を行う場合には裁判手続が必要で、店側に相応の負担がかかります。

表現の自由と違法な口コミ、その線引きはどこにあるのでしょうか?

一般的には、①公共の利害に関する内容で、②公益を目的とし、③真実であることが証明できれば、名誉毀損には当たりません。
ただし、消費者が口コミを書く際にこれを常に検討するのは難しいでしょう。

現実的には、

  • 意見や論評にとどめる
  • 推測や憶測を書かない
  • 相手を攻撃するような表現を避ける

これらを意識することで、違法な口コミになるリスクを減らすことができます。

まとめ

口コミは消費者にとって大切な情報源ですが、虚偽や悪意ある投稿は名誉毀損罪や信用毀損罪に当たり、刑事罰や損害賠償につながる恐れがあります。
一方で「まずかった」といった主観的な感想は表現の自由として認められる範囲です。
正当なレビューを書く際には、事実と意見を混同しないこと、安易な中傷を避けることが重要です。


監修者名:鬼沢健士 弁護士

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茨城県取手市でじょうばん法律事務所所属。
できる限り着手金無料で、労働問題(不当解雇、未払残業代等)や詐欺被害救済に積極的に取り組んでいる。