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飲食店での迷惑行為→SNS動画が大炎上 …弁護士「億単位の請求は困難」現実的にどこまで罰せられる?

  • 2025.9.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

飲食店での迷惑行為を撮影した動画がSNSに投稿され、炎上するケースが後を絶ちません。以前には「醤油さしを舐める動画」が拡散され、衛生面への不安から店舗の信用が大きく揺らぎました。

一見すると“悪ふざけ”のような行為でも、法的には刑事罰や損害賠償の対象となり得ます。特に「億単位の請求は可能なのか」という点は、多くの人が関心を寄せています。

今回は、茨城県取手市 じょうばん法律事務所所属の鬼沢健士 弁護士にお話をお伺いしました。

備品や調味料を舐める行為は、刑法上どんな罪に当たりますか?

器物損壊罪が成立すると考えられます。器物損壊は単に物を壊す行為だけでなく、心理的に使えなくする行為も含まれます。

第三者が舐めた醤油さしや調味料は「もう使いたくない」と判断されるため、器物損壊罪の対象となります。

店舗の信用が傷ついた場合、億単位の損害賠償は認められますか?

現実的にはほぼ認められません。炎上によって一時的に売上が落ちる可能性はありますが、店舗の信用そのものが永続的に失われるとまでは言い難いからです。

したがって「億単位の請求」が裁判で認められることは極めて困難といえます。

賠償の対象となる損害はどこまで認められますか?

売上減少や営業停止は、気象条件や競合状況など他の要因も影響するため、損害を動画だけに結びつけることは困難です。

備品の交換費用については、問題の店舗に限っては賠償が認められる可能性がありますが、チェーン全店舗分を請求するのは難しいでしょう。

動画を投稿した本人だけでなく、撮影者や拡散者も責任を問われますか?

はい。撮影者は迷惑行為に加担していると評価され、拡散者も法的責任を問われる可能性があります。

実際には「舐める行為」そのものよりも、動画が拡散され炎上することで店舗が被るダメージの方が大きいといえます。

飲食店側では、調味料や備品をあらかじめ設置せず、注文があってから提供する方法が考えられます。実際に導入する店舗も増えています。
利用者側では「備え付けの調味料を使わない」「割り箸を持参する」といった工夫は可能ですが、自由に外食を楽しみにくくなるという側面もあります。

まとめ

飲食店での迷惑行為は「悪ふざけ」で済まされず、器物損壊罪に当たる可能性があるほか、損害賠償請求の対象にもなり得ます
ただし「億単位」の請求が認められる現実性は低く、実際には備品交換などの範囲にとどまるでしょう。

それでも動画投稿や拡散が店に与える影響は大きく、利用者のモラルが強く問われています。


監修者名:鬼沢健士 弁護士

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茨城県取手市でじょうばん法律事務所所属。
できる限り着手金無料で、労働問題(不当解雇、未払残業代等)や詐欺被害救済に積極的に取り組んでいる。