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新幹線の『転売チケット』を購入→運休…払い戻しは受けられる? 高額転売に潜む“意外なリスク”とは【法律のプロが解説】

  • 2025.9.5

 

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

人気の新幹線やイベント列車のチケットが正規販売で入手できず、やむなく転売サイトで高額購入――そんな経験をしたことのある人もいるかもしれません。しかし、もし台風や地震などの自然災害で運休となった場合、そのチケット代は戻ってくるのでしょうか?

「正規ルートで買った人は払い戻しを受けられるはず。でも、転売で手に入れた自分は?」と不安に思う方も少なくないでしょう。実は、転売チケットの払い戻しには、購入方法によって大きな違いがあり、注意が必要です。

転売チケット購入者はJRから払い戻しを受けられる?

結論から言うと、転売チケットの購入者は、JRの公式な払い戻しや補償の対象外となるのが基本です。

まず、法律上の関係から見ると、新幹線のチケット契約は「JRと、JRから正規にチケットを購入した人」との間に成立します。

払い戻しはこの契約に基づいて行われるため、JRと直接の契約関係にない転売チケットの購入者は、法律上の権利として払い戻しを請求することはできません。

「現金購入のきっぷなら窓口で返金してもらえた」という話を聞くことがあるかもしれませんが、それはあくまで現場での実務的な運用に過ぎず、保証された権利ではありません。

一方で、クレジットカード決済やQRコードなどの電子チケットは購入者情報と紐付いているため、万が一返金処理がされても元の購入者(転売主)に対して行われます。転売購入者の手元にお金が戻ってくる可能性は、極めて低いのが実情です。

転売元の売主に返金を求められる?

原則として、転売主(転売ヤー)に返金を求めることも難しいです。

転売主の義務は「チケットを渡す」ことであり、その義務は果たされています。

列車の運休は転売主の責任ではないため、契約内容に「運休時は返金する」といった特約がない限り、法的に返金を請求することはできません。

転売チケットを買うときに気をつけることは?

このように、転売チケットは自然災害などで利用できなくなった場合、購入方法によっては返金が困難になります。

また、たとえ現金購入のきっぷで払い戻しを受けられたとしても、返ってくるのは正規料金のみであり、転売サイトで支払った高額な代金との差額は損失となります。

転売チケットに手を出す際は、こうした金銭的なリスクを十分に認識しておくことが重要です。

  • プラットフォームの利用規約を必ず確認する
  • 高額転売に手を出すリスクを認識しておく
  • 可能であれば「公式リセールサービス」を利用する

といった対策が重要です。公式リセールは主催者やサービス提供者が公認しているため、こうしたリスクを最小限に抑えられます。

まとめ

転売チケットが運休になった場合の払い戻しについては、以下の点を押さえておく必要があります。

  • クレジットカード決済や電子チケットの場合、転売購入者が直接払い戻しを受けるのは極めて困難。
  • 現金購入の紙のきっぷであれば、窓口で正規料金の払い戻しを受けられる可能性がある。
  • 払い戻しが可能な場合でも、転売サイトで支払った金額と正規料金との差額は戻ってこない。
  • 転売主やプラットフォームに返金を求めることも、原則として不可能。

転売チケットは、価格が高いだけでなく、「もしも」の際に大きな金銭的損失を被るリスクを抱えています。

安心して利用するためには、主催者が用意している「公式リセールサービス」などを活用し、必ず正規ルートで購入・利用することをおすすめします。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

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神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。