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「ただの犯罪者」勝手に庭木を切る“撮り鉄”…SNSで非難殺到「迷惑でしかない」「常軌を逸してる」→どんな罪に問われる?

  • 2025.9.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

鉄道の撮影に熱心な「撮り鉄」。その情熱はしばしば社会に驚きをもたらしますが、一部の行き過ぎた行為が大きな批判を集めています。先日報じられたのは、線路沿いの民家の庭木を勝手に切り取ったという事例でした。SNSでは「ただの犯罪者」「迷惑でしかない」「常軌を逸している」と非難の声が殺到。鉄道をきれいに撮りたいという思いがあったにせよ、他人の所有物を無断で損壊する行為は許されるのでしょうか。ここでは法律上のリスクについて整理します。

他人の庭木を勝手に切った場合、どんな罪に問われるのですか?

今回は、茨城県取手市 じょうばん法律事務所所属の鬼沢健士 弁護士にお話をお伺いしました。

他人の庭木を損壊した場合、刑法261条の器物損壊罪が成立する可能性があります。

法定刑は3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料です。

ただし、損壊といえるには「物を使えなくする」「使いにくくする」ことが必要とされます。そのため、枝を少し切った程度で庭木の役割が失われていなければ、器物損壊罪に当たらないケースもあり得ます。

庭木が線路際にあり、撮影目的で敷地に立ち入った場合は?

民家の敷地に無断で入った場合、住居侵入罪が成立する可能性があります。

塀や柵で囲まれている部分は、建物内部でなくても「住居の一部」とみなされます。

「少しだけ入った」という場合でも、侵入した事実があれば住居侵入罪は成立します。その程度は、起訴されるかどうかや量刑判断の中で考慮されるにすぎません。

損害賠償はどの程度認められるのですか?

民事上の責任として、無断伐採による損害賠償請求も可能です。切られた範囲が小さく枝が自然に生えてくる場合は、具体的な損害が軽微とされ、賠償額は少額にとどまるでしょう。

しかし、根本に近い部分から切って庭木の価値を失わせた場合には、その評価額や修復費用をもとに高額な賠償が認められることもあります。

「撮影目的だった」という動機は考慮されるのでしょうか?

「鉄道を美しく撮影したかった」という理由は、法的には何の正当化にもなりません。むしろ、自己の趣味を優先する身勝手な動機として、量刑を重くする方向に働く可能性さえあります。

現状では、こうした迷惑行為に対して大きな刑罰が科されにくい面もあります。ただし、撮り鉄のマナー違反が続けば、鉄道会社がイベントを中止したり、撮影の機会自体が失われる恐れもあります。
鉄道ファンにとって大切なのは、自らの文化を守ること。ファン同士でルールを守る意識を高め、自浄作用を働かせることが求められています。

まとめ

民家の庭木を勝手に切る行為は、器物損壊罪や住居侵入罪に当たる可能性が高く、損害賠償請求の対象にもなります。撮影目的という動機は言い訳にならず、むしろ不利に働くことすらあります。
「趣味だから許される」という考えは通用せず、他人の財産権を侵害する行為には法的リスクが伴うことを理解しておく必要があります。


監修者名:鬼沢健士 弁護士

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茨城県取手市でじょうばん法律事務所所属。
できる限り着手金無料で、労働問題(不当解雇、未払残業代等)や詐欺被害救済に積極的に取り組んでいる。