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「えっ代役だったの?」「全然気づかなかった…」降板トラブルを超えて誕生した“代役の神演技”「みんな絶対観て」称賛殺到の名映画

  • 2025.10.13

映画やドラマの中には、キャスティングの交代が思わぬ名演を生み出す作品があります。今回は、その中から「代役が快演で魅せた映画作品」を5つセレクトしました。本記事ではその第5弾として、映画『L-エル-』(東宝映像事業部)をご紹介します。愛と喪失を描いた幻想的な世界で、代役として挑んだ俳優の演技が新たな輝きを放った本作。その“製作の舞台裏”とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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映画の初日舞台挨拶に臨む広瀬アリス(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『L-エル-』(東宝映像事業部)
  • 公開日:2016年11月25日
  • 出演:広瀬アリス(エル 役)

物語の舞台は“色のない街”。そこで生まれた少女・エル(広瀬アリス)は、両親の深い愛情に包まれて育ちますが、突然の事故で二人を失い、孤独の中に突き落とされてしまいます。そんなエルを支えたのは、幼なじみで絵描きの少年・オヴェス(古川雄輝)でした。彼が描く絵は、エルにとって唯一の救いであり、心の拠り所でもありました。

やがて成長したエルは、ある決断をきっかけに故郷を離れ、都会へと旅立ちます。そこで出会う人々との関係は決して穏やかではなく、彼女が信じた愛は、いつも裏切りや喪失へと変わっていきます。キャバレーのダンサーとして華やかに踊る日々もあれば、劇団の青年(平岡祐太)やパン職人(成田凌)との出会いもありました。信じるたびに裏切られ、愛するたびに傷つけられながらも、エルは波乱に満ちた人生を懸命に生き続けます。

一方で、故郷に残ったオヴェスは、変わらぬ想いを胸に、遠く離れたエルを描き続けていました。年月を重ね、老いてなお彼女を思い続ける姿は、純粋な愛の象徴として描かれます。そして最後に、オヴェスが“色のない街”に起こす美しい奇跡が、この物語に深い感動の結末をもたらすのでした――。

Acid Black Cherryの名作が映画化──音楽が生んだ壮大な愛の物語

映画『L-エル-』は、ロックバンド・Janne Da Arcのボーカル、yasuさんによるソロプロジェクト「Acid Black Cherry」が2015年に発表した同名のコンセプトアルバムを原作とした作品です。アルバムでは、一人の女性・エルの壮絶な人生と「真実の愛」をテーマにした物語が音楽とともに描かれており、CDショップ大賞2016に入賞するなど高い評価を受けました。その物語性に惹かれた東宝のプロデューサーが映画化を提案し、監督の下山天さんがメガホンを取っています。

主演の広瀬アリスさんは、あどけない少女期から老年期までのエルを一人で演じ分け、愛を求め続けた女性の人生を全身で表現しました。共演には、幼なじみのオヴェスを演じる古川雄輝さんをはじめ、高橋メアリージュンさん、平岡祐太さん、前川泰之さん、成田凌さんなど、実力派キャストが顔をそろえています。

中でも広瀬さんの演技には、「可愛い」「ひたすら美しかった」といった称賛の声が多く寄せられました。エルを演じる彼女の姿に「惚れた」「ずっと見ていられる」「大好き」と心を奪われた人も多く、「演技が素晴らしい」「この映画を観てファンになった」という感想も次々と投稿されています。少女期から老年期までを見事に演じ分けたその演技は、多くの観客の心を魅了しました。

撮影は、膨大なマット画とオールセットによって行われ、VFXを駆使して幻想的な世界観が構築されています。中世から現代へと時代が移り変わる中で描かれる愛と喪失の物語は、まるで“観るロックアルバム”のような仕上がりです。音楽と映像が融合した本作は、これまでにない表現に挑んだ意欲作として、日本映画界に新たな扉を開いた作品となっています。

降板劇を乗り越えて──代役が魅せた“快演”

本作は、制作の過程で思いもよらぬ試練に直面しました。もともとパン職人の男性役には高畑裕太さんがキャスティングされていましたが、強姦致傷容疑で逮捕され(後に不起訴)、その影響で降板。撮影途中での降板という異例の事態に、制作陣は対応に追われながらも「必ず作品を完成させたい」という強い思いのもと、再撮影を決断します。

代役として抜擢されたのは、当時「MEN’S NON-NO」の専属モデルとして注目を集めていた成田凌さんでした。誠実でまっすぐなパン職人という役どころに、制作チームは「役のイメージにぴったり」と期待を寄せ、撮影は一部を撮り直して再開されました。

公開後には、「えっ代役だったの?」「全然気づかなかった…」「公開中止にならなくて本当によかった」「成田くんが代役で嬉しい」といった声がSNSに多く寄せられ、困難を乗り越えて完成に至った作品としても注目を集めました。

映画への感想はさまざまで、「楽曲が映画になるなんて驚いた」「素晴らしかった」「ストーリーに引き込まれた」「映画館で号泣した」といった称賛の声も多く寄せられました。「悩んでいる女性におすすめの映画」「多くの人に観てほしい「みんな絶対観て」といった意見もあり、本作が観る人の心に深い余韻を残したことが伝わってきます。

高畑裕太さんの降板という予期せぬ出来事を経て、代役として実直なパン職人を丁寧に演じきった成田凌さん。「美しかった」「細やかな所作が印象的だった」と評された彼の自然体の演技は多くの観客の心を掴み、“代役が快演で魅せた映画”として、今も語り継がれています。


※記事は執筆時点の情報です