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「もう白紙ってこと…?」映画化が“絶望視された”神アニメ…だけど「約20年の時を経て遂に」大ヒットを記録した珠玉の傑作

  • 2025.9.24

華やかな映画の世界には、スクリーンで輝く作品がある一方で、制作が発表されながらも私たちの目に触れることなく消えていった幻の企画が存在します。「もし完成していたらどんな傑作になっていたのだろう」と想像を巡らせることは、映画のロマンのひとつと言えるでしょう。今回は、そんな“映画化白紙が囁かれた作品”5選をセレクトしました。

本記事では第1弾として、アニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(バンダイナムコフィルムワークス、松竹)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“映画化白紙が囁かれた作品”『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』

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GoogleGeminiにて作成(イメージ) 
  • 作品名(配給):映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(バンダイナムコフィルムワークス、松竹)
  • 公開日:2024年1月26日

あらすじ

C.E.(コズミック・イラ)75年。世界では各地で独立運動が頻発し、コーディネイターの排斥を訴える組織「ブルーコスモス」による侵攻も続くなど、戦いはまだ終わりを迎えていませんでした

この事態を沈静化させるため、ラクス・クライン(田中理恵)を初代総裁とする世界平和監視機構「コンパス」が創設されます。かつての英雄であるキラ・ヤマト(保志総一朗)もその一員として、仲間たちと共に平和を求め、各地の戦闘へと介入していくことに。

そんななか、ユーラシア連邦から独立した新興国ファウンデーションから、「コンパス」に対してブルーコスモスの本拠地を叩くための合同作戦が提案されます。キラたちはこの要請を受け入れますが、それが新たな戦乱の幕開けとなることを、まだ誰も知りませんでした―。

映画化決定から公開まで約20年…映画化白紙とまで噂された理由とは

2002年のテレビ放送開始から絶大な人気を誇るアニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ。その完全新作として公開され、社会現象を巻き起こした映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』ですが、この物語が私たちの元に届くまでには、実に20年近い歳月にわたる壮絶なドラマがありました。実は、テレビシリーズ終了後から続編の構想はあったことが「文春オンライン」での福田己津央監督のインタビューで明かされています。

『SEED』が終わった1年後、2006~07年くらいにはプロットの第一稿は僕のところに来ていました出典:『《大ヒット『ガンダムSEED FREEDOM』》亡き妻が遺したプロットから物語を作り上げた福田監督が“痛感”したこと「両澤だったらどう書くかな、といつも考えながら」』文春オンライン(2024年2月26日配信)

では、なぜ物語はすぐに形にならなかったのか。そこには、脚本家の故・両澤千晶さんによるキャラクターへの深い愛情と、作家としての譲れない信念がありました。福田監督は、当時の両澤さんの様子を同インタビューで次のように語っています。

プロットが決まっていたとしても、そこまでキャラクターのテンションが自然に上がっていかなかったり、性格ができあがってこなければ描けないと両澤は言っていました。不自然なキャラクターは気持ちが悪い。それを彼女はすごく気にしていました出典:『《大ヒット『ガンダムSEED FREEDOM』》亡き妻が遺したプロットから物語を作り上げた福田監督が“痛感”したこと「両澤だったらどう書くかな、といつも考えながら」』文春オンライン(2024年2月26日配信)

両澤さんが納得のできるストーリーの制作に難航していたことや、体調不良などによって制作は延期を余儀なくされます。その後も完成までには至らず、時間ばかりが過ぎていくなか、2016年に両澤さんが死去。SNSでは両澤さんの死を悼む声と共に、「もう白紙ってこと…?」と映画化企画が完全に途絶えたかのように思うファンで溢れました。

映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の見どころ ※ネタバレあり

TVシリーズ『機動戦士ガンダムSEED』『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の続編として長年企画されながら、その後の続報がなく、一時は映画化が白紙になったとも思われていた映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。しかし、約20年の年月を経て、ついに2024に公開。興行収入は、ガンダムシリーズ劇場公開作品として歴代No.1となる50億円を突破する歴史的な大ヒットを記録しました。

待望の映画化に対し、SNSでは「約20年の時を経て遂に」「まさかの白紙になった映画化が戻って来た」といった大興奮のファンの声で溢れかえりました。実現は不可能とさえ思われた劇場版の公開は、リアルタイムで作品を追いかけていたファンにとってまさに“奇跡”ともいえる出来事でした。

そんな本作の見どころは、キラとラクスの愛の物語を主軸に、彼らが抱える苦悩や成長が深く掘り下げられている点です。また、アスラン・ザラやシン・アスカの目覚ましい活躍、新型モビルスーツによる圧巻の戦闘シーンも見逃せません。往年のファンにはたまらない演出も満載で、シリーズの集大成にふさわしい一作と言えるでしょう。

まだ映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、“20年の時を超えて描かれたガンダムSEEDシリーズの新たなる物語”をぜひご覧ください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です