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実力派俳優が大ブレイクを果たした“20年前の青春ドラマ” 主演作が重なる“今こそ”発揮されている演技力の真価

  • 2025.9.26
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妻夫木聡 (C)SANKEI

妻夫木聡の出演作が立て続けに公開されている。9月21日に放送された『ボクらの時代』の中で妻夫木が話していた“働きたいモード”が表れた結果と言えるだろう。

妻夫木は、主演を務める日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』が10月12日にスタート。さらに主演を務める映画『宝島』が9月19日より公開されており、現在出演中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』が9月26日に最終回を迎えるといった状況だ。

妻夫木聡は映画俳優として確固たるキャリアを築いてきた

妻夫木が俳優としてデビューしたのは1998年。27年に渡る俳優人生のなかで、大きな転機となったのは、2001年に初主演を務め、シンクロナイズドスイミングに挑戦する男子高校生役で大ブレイクした映画『ウォーターボーイズ』だった。2009年には『天地人』でNHK大河ドラマ初出演にして初主演。2010年の『悪人』、2015年の『黒衣の刺客』、2016年の『怒り』、2022年の『ある男』と、多岐に渡るキャリアと名だたる映画賞を受賞している。妻夫木とともに全国行脚を行った『宝島』監督の大友啓史は、『ボクらの時代』のなかで妻夫木の人気の分厚さについて話しており、それが黄色い歓声が飛ぶようなアイドル的人気ではなく「芝居を楽しみにしてる」映画俳優としての実績によるものであることを評価していた。

幅広い役柄と演技から、実力派として俳優仲間からも高く評価されている妻夫木。『あんぱん』で演じている八木信之介は厳格でいながら、慈愛に溢れた、時に色気も纏うキャラクターとして多くの視聴者に親しまれている。『あんぱん』と『宝島』の共通のテーマにあるのは戦争。言わば、重厚な役柄を任せられるキャリアに、今の妻夫木はいるということでもある。

ピュアな妻夫木聡を印象付けた『オレンジデイズ』

一方で、『ウォーターボーイズ』を筆頭にして、初期の妻夫木には青春作品の主人公というイメージが浸透していたのも事実。そのことを印象付けた一つが、2004年に放送された主演作『オレンジデイズ』だ。妻夫木が演じる主人公・結城櫂は、学生と社会人の間、つまりは大学生。そんな子供でいられる最後の年に櫂は柴咲コウ演じる萩尾沙絵と出会う。20年以上前のドラマということもあり、今観返すと現代の価値観とかけ離れた描写に驚く部分もあるのが正直なところだが、そこにあるのは真っ直ぐなラブストーリーと青春の煌めき。沙絵は聴覚障害を患っており、『オレンジデイズ』では手話を通じての、言葉を超えた心の繋がりが描かれている。

筆者が印象的なのは、第1話ラストの遊園地での雨上がりのキス。沙絵をようやく見つけた時の優しく温かな表情が、この『オレンジデイズ』の“始まり”を確固たるものとしているように思う。脚本を手がけたのは、『ロングバケーション』や『ビューティフルライフ』などで知られる北川悦吏子。妻夫木とは、2024年に放送されたテレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル『生きとし生けるもの』で20年ぶりにタッグを組んでおり、その記者会見で北川は「人の本質は変わらないと思っていますが、歳を重ねて彼のよさが浮き彫りになってきたなと。当時は“イケメン”ということに紛れてしまっていたのですが、ピュアで優しい感じがよりよく見えるようになったと思います」とコメントしていた。『オレンジデイズ』で共演していた永山瑛太は『宝島』にも出演しており、20年が経った今も『オレンジデイズ』での縁はどこかで繋がり続けている。

妻夫木は2020年に『オレンジデイズ』以来16年ぶりに『危険なビーナス』で日曜劇場の主演を務め、そして今年、再び『ザ・ロイヤルファミリー』で日曜劇場に帰って来ることとなる。キャスト、スタッフと錚々たる面々が揃い、Netflixでの世界配信も決定している『ザ・ロイヤルファミリー』で、妻夫木は俳優としてさらなる扉を開くだろう。


ライター:渡辺彰浩
1988年生まれ。福島県出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』展、『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。