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20年前、4度目の紅白出場を果たした“淡いのに力強い”震えるソング 友情映画に一筋の光を差した“心に灯る名曲”

  • 2025.10.13

「20年前の冬、あなたはどんな音楽を聴いていた?」

2005年の終わり。街にはクリスマスソングが流れ、年の瀬の慌ただしさと共に、どこか温かな空気が漂っていた。イルミネーションに照らされた商店街や駅前では、恋人同士や家族連れの笑顔があふれ、冷たい夜風すらも心地よく感じられる季節。そんな冬の光景の中で、静かに、けれど確かな輝きを放ったのがこの一曲だった。

aiko『スター』(作詞・作曲:AIKO)――2005年11月30日発売

映画『あらしのよるに』の主題歌としてリリースされた本作は、淡い光が心を包み込むような優しさと、前を向いて歩き出すための強さを併せ持つ作品だった。そして、この曲でaikoは第56回NHK紅白歌合戦に通算4度目の出場を果たし、シンガーとしての確かな存在感を改めて広く示した。

光をまとった歌声の力

『スター』の最大の魅力は、aikoの柔らかくも凛とした歌声が、聴く人それぞれの心に光を灯すように響くところにある。声量で押し切るのではなく、震える感情や温もりをそのまま届けることで、リスナーの胸の奥を静かに揺さぶっていく。

アレンジもまた、映画の余韻に寄り添うようにシンプルで透明感のある仕上がりだ。ピアノやストリングスが控えめに重なり、光が差し込むような音の広がりを演出する。そのバランス感覚が、歌声をより一層際立たせていた。

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aiko-2003年撮影 (C)SANKEI

映画とともに響いた願い

『スター』が彩った映画『あらしのよるに』は、オオカミとヤギという立場の異なる者同士が友情を育む物語だった。そのテーマに呼応するように、この楽曲には「願いを胸に刻んで進む」というメッセージが感じられる。

映画館で流れたとき、物語の余韻と共に、観客の心を温かく照らすもうひとつの光となったことは間違いない。物語の世界観を補完するのではなく、感情そのものをすくい取って昇華させる楽曲として、深い印象を残した。

キャリアを彩る節目の一曲

aikoにとって2005年は、シンガーソングライターとしての地位をより確かなものにしていく時期だった。『カブトムシ』『ボーイフレンド』といった恋愛ソングで広く知られる一方で、日常の機微や人生の景色をすくい取るような楽曲も多く生み出してきた。『スター』はそうした流れの延長線上にあり、“心に光を灯す歌”として彼女の表現の幅をさらに広げた一曲だった。

さらに、年末の紅白歌合戦という国民的舞台で披露されたことは、彼女の音楽が広い世代に届く契機となった。個人の恋や日常を歌うだけでなく、人々の人生にそっと寄り添う“普遍的な歌”としての姿を見せた瞬間だったといえる。

今も胸に残る輝き

『スター』は、暗闇の中でふと差し込む一筋の光のように、聴く人の心に静かに寄り添う存在だった。あの冬の街並みを思い出すとき、流れてくるのは華やかな音楽よりも、心の奥に灯をともすように響いた『スター』だろう。未来への願いを胸に刻む、その瞬間を包み込んでくれる歌だ。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。