アートコレクターのはじめて物語。広告代理店勤務・鎌田道世、白木聡

いい作品は必ず評価される。でもそれがいつかはわからない

30年以上にわたり作品収集を続け、ギャラリーやアーティストとともに時代を並走する白木聡さん、鎌田道世さん。2人で初めて購入したのは絵画作品だ。

「1993年に行った佐谷画廊の展覧会で、2代目の佐谷周吾さん（現・シュウゴアーツ）が手がける新世代の展覧会で興味を持ちました」と白木さん。「最初は現代アートって理解ができなかったのですが、だんだんと色、形、感情等、こう見ればいいのかなとわかってきて。この絵はリンゴと色の関係が気に入った」と鎌田さんは振り返る。

その後コレクションは膨れ上がり、数百点にも及ぶが、すべての作品購入は合議制で決めてきたという。2人で世界中のギャラリーやアートフェアに足繁く通い、その作品のどこがいいか、購入したいか等をよく話し合い、時には数年かけて結論を出す。

白木さんは言う、「いい作品は必ず評価される。でもそれがいつかはわからない。それが、アートの難しくて面白いところだと思います」。

小林正人の《写生》

こばやし・まさと／1957年生まれ。東京藝術大学美術学部油画専攻卒業。サンパウロ・ビエンナーレ（96年）日本代表。常に自由な絵画を求め様々な手法で制作。自伝シリーズ『この星の絵の具』（アートダイバー）がある。

profile

鎌田道世／白木 聡（広告代理店勤務）

かまた・みちよ、しらき・さとし／白木さん（右）が最初に購入したのは学生時代、田島征三の絵画。鎌田さん（左）は、辰野登恵子のドローイングを購入したのが始まり。