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「健康が気になるあなたに、オーガニック野菜をどうぞ」では全然ダメ…顧客にズバッと刺さる言い換え文例

  • 2025.8.9

自社商品の魅力を顧客にしっかりと伝えるにはどうすればよいか。みらいマーケティング本舗の堀野正樹さんは「商品の魅力を伝えるためには、『お客様が本当にほしいもの』を見つけることが大切だ。それを見つけるためには『なぜ?』を3回繰り返すとよい」という――。

※本稿は、堀野正樹『マーケティング偏差値を高めて売上アップにつなげる ひとりマーケターの教科書』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

「Iメッセージ」から「Youメッセージ」へ

商品メッセージが「自社目線」になっていませんか? 顧客が本当に知りたいのは「自分にどんなメリットがあるのか」に尽きます。この節では、顧客視点に立った効果的なメッセージのつくり方を具体例と共に解説します。

あなたの商品説明、「Youメッセージ」になっていますか?

商品メッセージを考える際、伝え方には大きく2種類あります。「Iメッセージ」と「Youメッセージ」です。この違いは、企業が何を優先して伝えているかによって分かれます。

なぜ、Youメッセージが重要なのか?

Youメッセージが重要な理由、それは顧客が商品やサービスを選ぶ際、自分の生活や仕事を改善する価値を感じるからです。Iメッセージでは「それが自分にとってどう役立つのか」が伝わらないため、購買意欲を刺激しにくくなります。

一方Youメッセージは、顧客の視点に立ち、「この商品を使うと自分にとってどんな未来が待っているのか」を具体的にイメージさせる効果があります。顧客が自分自身の課題解決や理想実現を強く想像できるほど、商品への関心が高まり、購買行動につながりやすくなります。

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はPRESIDENT Online内でご確認ください。

IメッセージとYouメッセージ
出所=『マーケティング偏差値を高めて売上アップにつなげる ひとりマーケターの教科書』
顧客の心を動かす商品メッセージ

「お客様が得られるうれしいこと」は何? お客様が本当に求めているのは、商品そのものではなく、「それを使った結果、自分にとってよいことが起きる未来」です。例えば、マーケティングの世界でよく使われるたとえに「ドリルを買いに来た人がほしいのはドリルではなく『穴』」というものがあります。これは、「道具」ではなく「その道具がもたらす便利さや成果」が購入の理由になるという意味です。

ユーザーの「ベネフィット」を伝えると刺さりやすくなる
出所=『マーケティング偏差値を高めて売上アップにつなげる ひとりマーケターの教科書』

お客様が得られるとうれしいことや具体的なメリットを、マーケティング用語では「ベネフィット」と呼びます。よくマーケティングの世界で言われる「ドリルを買いに来た人が本当にほしいのは穴」という例がわかりやすいですね。

● 特徴(Feature):製品のスペック(高耐久、最新技術など)
● ベネフィット(Benefit):使う人の生活がどう改善されるのか

つまり、「どんなよい未来が待っているか?」を伝えるのがベネフィットです。ベネフィットを見つけると、以下のような効果が期待できます。

● 成約率(CVR)が向上する
● 顧客のリピート率アップ
● 広告の配信効率がよくなる

「なぜ?」を3回繰り返す
ベネフィットを見つける方法

商品の魅力を伝えるためには、「お客様が本当にほしいもの」を見つけることが大切です。それを知るためには、ただ表面的な理由を聞いて終わるのではなく、「なぜ?」を3回繰り返して掘り下げる方法が効果的です。

これを意識するだけで、あなたのメッセージがグッと魅力的になります。

お客様に「ほしいもの」を聞いても、1回目で得られる答えは多くの場合、お客様が感じている表面的な理由です。でも、その理由の奥には、もっと深い感情や価値観があります。

「なぜ?」を3回繰り返すことで、お客様が本当に求めているものが見えてきます。

青いコンクリートの壁の背景にオレンジ色の疑問符
※写真はイメージです
感情を揺さぶるメッセージをつくる


ケーススタディ オーガニック野菜の場合

質問1:「なぜ、オーガニック野菜を選ぶのですか?」
答え : 「健康が気になるから」

質問2:「なぜ健康が気になるのですか?」
答え : 「子どもの成長をサポートしたいから」

質問3:「なぜ子どもの成長にこだわるのですか?」
答え:「親として、できる限りのことをしてあげたいから」

上記の例でわかったことは、お客様はただ「健康」な商品がほしいのではなく「自分の愛情を形にしたい」という強い思いがあるということです。

もし、1回目の答えの「健康が気になるから」だけで終わっていたら、以下のような平凡なメッセージになります。

「健康が気になるあなたに、オーガニック野菜をどうぞ」

でも、3回「なぜ?」を繰り返して深掘りすると、このようなお客様の心に響くメッセージがつくれます。

「かつて親が注いでくれた愛情と安心を、オーガニック野菜という形で、今度は子どもに届けてみませんか?」

小さな子どもを持つ親にとっては、ぐっと感情を揺さぶりますよね。

お客様が本当に求めているのは「商品のスペック」ではなく、その先のうれしい変化や具体的なメリット(ベネフィット)ということです。

3回「なぜ?」を繰り返すと、表面的な理由の奥にある本音や深い価値観を見つけられて、顧客の心を動かすメッセージをつくることができます。


自社商品で3回「なぜ?」を繰り返してみよう

1回目の「なぜ?」
その商品をお客様が選ぶ理由を考えます。
(商品の特徴や機能、メリットなど、即思いつきそうな内容)

2回目の「なぜ?」
1回目の答えがなぜお客様にとって重要なのかをさらに掘り下げます。
(お客様の生活や価値観にどんな影響を与えるか)

3回目の「なぜ?」
2回目の答えの背後にある、本当の感情や価値観を見つけます。
(商品を選ぶことで、どんな気持ちになりたいのか、どんな理想を叶えたいのか)

6W2Hで商品説明文を完成させる

ここまで「Youメッセージ」「3回のなぜ?」を使って商品の魅力を深掘りしてきました。最後に「6W2H」というフレームワークを使って情報を整理し、「誰に・何を・なぜ伝えるか」という商品説明を完成させましょう。「6W2H」を使えば、「誰に(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」といった顧客が知りたい基本情報を漏れなく整理し、読み手にとってわかりやすい商品説明をつくることができます。

6W2Hって何?

「6W2H」とは、次の8つの視点を使って商品を説明する方法です。これらを順番に考えていくことで、情報が漏れることなく、しっかり商品の魅力を伝えられる説明文がつくれます。

伝わりやすい商品説明のための6W2H
出所=『マーケティング偏差値を高めて売上アップにつなげる ひとりマーケターの教科書』
商品説明は3つのパターンを用意する

商品説明は、使う場面や目的に合わせて3つのパターンをつくると便利です。「丁寧に商品の魅力を伝えるロングバージョン」「端的に要点をまとめた簡易バージョン」「一瞬で価値を伝えるショートバージョン」の3つです。これらを用意することで、広告やLP、SNS投稿など、異なるチャネルや状況に適応できる柔軟性を持たせることができます。

堀野正樹『マーケティング偏差値を高めて売上アップにつなげる ひとりマーケターの教科書』(日本実業出版社)
堀野正樹『マーケティング偏差値を高めて売上アップにつなげる ひとりマーケターの教科書』(日本実業出版社)

ロングバージョン(400文字)
商品の魅力をじっくり掘り下げる詳しい説明文。
→サイトの商品ページやパンフレットに最適。
例)子育て・家事・仕事に追われる毎日も、ちょっとした工夫でぐっと快適に。富士山の天然水をいつでも届けてくれるウォーターサーバーが、あなたの暮らしをそっと支えます。朝一番のお茶やコーヒーづくり、子どものミルクやごはんづくりが、驚くほどラクになります。温水も冷水もワンタッチ。ペットボトルを買い置きする手間も、重たい水を運ぶ苦労もいりません。交換も2週間に1度だけだから、忙しいママに優しい設計です。毎日使う水だからこそ、富士山の澄んだ天然水で「おいしさ」と「安心」を選びませんか?

簡易バージョン(100文字)
要点をまとめた簡潔な説明文。
→広告やSNSの投稿で使いやすい。
例)忙しいママの毎日をラクにするウォーターサーバー。面倒な水の買い置き・持ち運びが不要で時短も節約も叶えます。コンパクト設計だからキッチン、リビングどこでも便利!

ショートバージョン(30文字)
一瞬で魅力を伝える短い説明文。
→バナー広告やキャッチコピーとして最適。
例)天然水サーバーで、忙しい朝に「ゆとり」をプラス!

どんな商品でも価値を伝えられる

どのような商品でも「6W2H」の視点で整理することで、誰が・どんな人のために・どんな価値を提供する商品なのかを明確に伝えられます。

ウォーターサーバーの場合
出所=『マーケティング偏差値を高めて売上アップにつなげる ひとりマーケターの教科書』
アパレル商品の場合
出所=『マーケティング偏差値を高めて売上アップにつなげる ひとりマーケターの教科書』
コスメ・スキンケアの場合
出所=『マーケティング偏差値を高めて売上アップにつなげる ひとりマーケターの教科書』
実践ミニワーク
6W2Hの使い方

自社商品について、6W2Hの視点で商品説明文を考えてください。

商品説明をロング・簡易・ショートの3タイプに書き分けると、SNS投稿からパンフレットまで使い回しやすくなります。ぜひ実践してみてください!

堀野 正樹(ほりの・まさき)
みらいマーケティング本舗代表取締役
マーケティングを武器に、商品の魅力を1000%引き出して売上につなげる専門家。株式会社みらいマーケティング本舗代表取締役。1974年生まれ。兵庫県出身。約20年にわたり「社内マーケター」として活躍し、たった4名のマーケティングチームで年商70億円に導いた実績を持つ。日経ビジネススクールでの講師や業界紙への寄稿のほか、FMラジオ番組「ほりのまさきのMARKETING LAB」のパーソナリティも務める。経営者と現場の橋渡しを重視し、少人数体制でも成果が出せるマーケティング支援に力を入れている。

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