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SNS広告「絶対に儲かる」→騙されて1000万円の被害…急増する“投資詐欺”→弁護士「唯一の突破口」お金を取り戻す方法とは

  • 2025.8.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「絶対に儲かる」「元本保証だから安心」――そんな甘い言葉に誘われ、SNSを通じた投資話に乗ってしまった結果、人生を揺るがすほどの被害を受ける人が後を絶ちません。

近年はマッチングアプリやSNSを入り口とするSNS型投資詐欺が急増しており、中には一度に数百万円から1,000万円以上を失う深刻な事例も報告されています。


では、こうした投資詐欺にはどのような典型的な手口があり、どんな「危険なサイン」に気づくべきなのでしょうか。万が一被害に遭った場合にできること、そしてどこまでお金を取り戻せる可能性があるのか、弁護士の見解をまとめました。

近年急増する、SNS型投資詐欺とは?

SNS型投資詐欺とは、SNSやマッチングアプリで知り合った人物と直接会うことなくやりとりを続け、恋愛感情や親近感を抱かせたうえで金銭をだまし取る手口です。

典型的なシナリオとしては、

  • 「結婚資金を貯めたい」
  • 「必ず儲かる投資がある」「元本保証で高利回り」
  • 「自分もこの方法で成功した」

といった言葉で勧誘し、最初は少額で利益を得させて信用させます。ところが次第に「もっと投資すれば大きく増える」と高額の出資を迫り、最終的に資金を持ち逃げするのです。

特に以下のような場合は、詐欺だと気付くべき危険信号です。

  • 「元本保証」「必ず儲かる」と強調する
  • 少額の利益を得た後に多額の出資を求めてくる
  • 金銭消費貸借契約書を交わして形式的に元本保証を装う
  • 金融庁に登録していない業者が勧誘している

いずれも違法行為であり、出資法1条に抵触する可能性が高いと弁護士は指摘します。

ここ数年は、出資法1条の脱法手段として、表向きは「元本保証」をうたわずに金銭消費貸借契約書を巻かせ、実質的に元本保証を装って投資を勧誘する手法が増えています。しかし、これは実質的に出資法1条違反行為にあたり、詐欺の危険性が非常に高いと考えるべきです。高配当や高利率をうたいながら、不特定多数に投資を呼びかけるものは、形式を変えても危険サインです。

さらに、日本で金融庁の登録を受けずに金融商品取引業や暗号資産交換業を行うことは金融商品取引法29条で禁止されています。登録事業者は金融庁の公式サイトで公開されているため、勧誘してきた投資先が「無登録業者」であれば、その時点で詐欺の可能性が極めて高いと判断すべきでしょう。

被害に遭ったと感じたら…まず何をすべき?

警察に被害届を出すことも大切ですが、詐欺罪の立証はハードルが高く、時間もかかります。そこで、まずは弁護士に相談し、効果的な対応をとることが有効です。

また、振り込んだ銀行口座については「振り込め詐欺救済法」に基づき凍結を申請できます。口座が凍結されれば相手は資金を動かせなくなり、場合によっては全額返金に応じることもあります。残高が残っていれば、被害者間で按分されて一部が返金される可能性もあります。

 SNSプラットフォームに無断使用された著名人 責任はある?

詐欺広告では、有名人の写真やコメントが無断使用されることも少なくありません。

しかし、これらのプラットフォームや著名人が詐欺行為に加担しているわけではなく、法的責任を問うことはできません。

あくまで不法行為(民法709条)を行ったのは詐欺グループであり、利用者は彼らに対して損害賠償請求を行うしかないのです。

SNS型投資詐欺にあった場合、保全すべき証拠とは?

お金を取り戻すためには、証拠の保全が極めて重要です。

  • 犯人とのやりとりのスクリーンショット
  • 送金記録や入金明細
  • 投資に関する説明資料や契約書類

これらを保存しておくことで、訴訟や返金交渉で有利に働く可能性があります。

お金を取り戻せる可能性はある?

事案や証拠の状況によりますが、弁護士によれば「相当数の事案で返金に成功したケースもある」とのことです。

もちろん全額の回収は容易ではありませんが、弁護士や警察に相談することが唯一の突破口となります。

注意すべきは「二次被害」です。「お金を取り戻せる」と称して近づいてくる業者や“自称専門家”には絶対に依頼せず、必ず弁護士など信頼できる専門家に相談することが必要です。その際には、弁護士がどのようなシナリオを描き、どんな具体的な方策を示せるのか確認してから依頼すると安心です。

まとめ

SNSを舞台にした投資詐欺は、被害額が数百万円から数千万円に及ぶことも珍しくありません。

  • 「元本保証」「必ず儲かる」といった勧誘は詐欺のサイン
  • 被害に気づいたらすぐに口座凍結や弁護士相談を
  • 証拠を保全し、経験豊富な専門家に依頼することが返金の可能性を高める
  • SNSや著名人に責任はなく、詐欺グループそのものを追及するしかない

「絶対儲かる」という言葉は、法律上も現実的にも存在しません。

甘い誘いに惑わされないことが、何よりも大切なお金と人生を守る最善の方法です。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

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神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。