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弁護士が警告「時効は3年です」→タイムカード後の“タダ働き”…泣き寝入りする前に知るべき“4つの勝ち筋”とは?

  • 2025.8.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「タイムカードさえ押せば、あとは自主的な勉強だ」――そんな理不尽な理論で、サービス残業が横行する職場はいまだに存在します。労働者の中には「勤怠の記録がなければ残業代は請求できない」と諦めてしまう人も少なくありません。

しかし実際には、タイムカードがなくても残業代を請求することは可能です。今回は、泣き寝入りしないためにどのような証拠を集めればよいのか、そして実際に請求する手順までを弁護士が解説します。

タイムカードがなくても残業代は請求できる

労働時間の管理は本来、会社の義務です。

したがって、会社が勤怠データを把握している場合、たとえ労働者本人が手元に記録を持っていなくても、法的には残業代の請求が可能です。

また、訴訟や労働審判の場では、裁判所が会社に対して勤怠記録の提出を命じることもあります。ただし、会社側が都合の悪い記録を破棄してしまうリスクも否定できません。そこで重要になるのが、労働者自身による証拠の確保です。

残業時間を証明する「有効な証拠」とは?

「客観的な記録がない」状況でも、残業時間を証明する方法はあります。

具体的にどんなものが使えるのか、その証拠力を見てみましょう。

① PCログイン記録・業務メール

会社のパソコンのログイン・ログオフ記録、メールの送受信履歴は、労働時間と直結するため極めて強力です。日時が明確に残るうえ、実際に業務を行っていたことを客観的に示せます。

② 手書きの日誌・メモ

手書きの業務日誌も有効です。ポイントは「具体的に」書くこと。単に「残業した」と書くよりも、「21時まで〇〇の資料を作成」など、実際に仕事をしていた内容を残すことで信用性が高まります。

③ 交通系ICカードの利用履歴

出退勤時の利用履歴も補助的な証拠になります。ただし「寄り道をしたのでは」と反論される可能性があるため、単独では弱い証拠ですが、他の記録と組み合わせれば強力になります。

④ LINEやSNSのメッセージ

「今から帰る」「会社を出た」といったメッセージも証拠として活用できます。毎日の積み重ねが退勤時間の裏付けとなります。

こうした証拠を複数組み合わせることが最も効果的です。

証拠を集めるときの注意点は?

在職中に証拠を集める際には「会社に気づかれないか」という不安もあるでしょう。

弁護士によれば、スマホで画面を撮影して残す方法が現実的です。職場によってはスマホ持ち込み禁止のケースもありますが、どうしても必要なら工夫して記録を残しておくべきです。

また、勤怠データをUSBにコピーすることについても、「残業代請求のため」という正当な目的であれば法的に問題になることは少ないと考えられます。むしろ証拠がなければ請求は難しくなるため、勇気を持って確保しておくことが大切です。

残業代請求の「時効」は3年

残業代の請求には時効があります。現在は3年分まで遡って請求可能です。つまり、証拠さえあれば過去3年分の未払い残業代をまとめて請求できるのです。

ただし、請求には計算や準備に時間がかかるため、弁護士は「余裕を持って行動すべき」と警告します。将来的には時効が5年に延びる見込みもありますが、現時点では3年が限界です。

実際の請求手順と弁護士費用

残業代を請求する流れは以下のようになります。

  1. 内容証明郵便の送付
    まずは会社に対して正式に請求を伝えます。これにより時効の進行を止める効果もあります。
  2. 労働審判
    話し合いで解決しない場合、裁判所を通じた労働審判でスピーディーに判断を仰ぎます。
  3. 訴訟
    それでも決着しない場合には裁判で徹底的に争います。

弁護士に依頼した場合の費用は事務所によって異なりますが、一般的には着手金や成功報酬がかかります。近年は「着手金なし・成功報酬制」を掲げる事務所もあり、費用負担を軽減できるケースもあります。

まとめ

「タイムカードがないから請求できない」と思い込み、泣き寝入りしてしまう必要はありません。

  • PCログやメール、日誌、ICカード履歴なども立派な証拠になる
  • 証拠は複数組み合わせることで強力になる
  • 残業代は過去3年分まで請求できる
  • 内容証明 → 労働審判 → 訴訟と段階的に請求可能

サービス残業を「当たり前」とする文化は、もはや通用しません。しっかり証拠を集めて、正当な賃金を取り戻すことが、泣き寝入りしないための第一歩です。


監修者名:鬼沢健士 弁護士

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茨城県取手市でじょうばん法律事務所所属。
できる限り着手金無料で、労働問題(不当解雇、未払残業代等)や詐欺被害救済に積極的に取り組んでいる。