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弁護士「取り締まりが難しい」→SAで相次ぐ“迷惑駐車”…なぜ違反にならない?法律の『落とし穴』とは【法律のプロが解説】

  • 2025.8.31
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)で、長時間にわたって駐車スペースを占拠したり、大型車スペースに普通車を停めたりする「迷惑駐車」が問題視されています。利用者の中には「なぜ警察が取り締まらないの?」と疑問を抱く人も多いはず。

実際のところ、SA/PAは道路交通法の適用対象ですが、一般道と同じようには取り締まれない事情があります。今回は、SA/PAでの迷惑駐車と警察の対応について、弁護士の解説をもとに整理しました。

警察がSAで駐車違反を取り締まれない理由は?

道路交通法では、駐車禁止・停車禁止場所に停めていた場合に「駐車違反」として取り締まることができます。

ところがSA/PAは、そもそも駐停車が許容されているエリアであり、駐車そのものは違反になりません

長時間の駐車については「車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)11条」があり、12時間以上、夜間は8時間以上の放置が禁止されています。しかし警察が一台一台の駐車時間を計測するのは現実的ではなく、防犯カメラで監視しても台数が膨大すぎるため、実際には取り締まりが難しいのです。

一方で、大型車スペースに普通車を停める行為は、道路標識で駐車が許可されていない場所への駐車となるため、駐停車違反として警察の取り締まり対象となります。

SA/PAは道路交通法の適用外なの?

SA/PAは高速道路の一部であり、道路交通法の適用対象です。

つまり「公道と法的位置づけが異なる」ということはありません。

駐車トラブルで警察は関与できない?

駐車そのものの取り締まりが難しいだけで、トラブルに警察が関与できないわけではありません

たとえば、駐車をめぐって口論や暴行事件に発展した場合は、通常通り警察が捜査します。

また、路肩や合流地点など、道路交通法で禁止されている場所に駐停車していた場合には、警察による取り締まりの対象となります。

長時間駐車をしたら損害賠償される?

管理権を侵害されたとして損害賠償請求を考えることは可能ですが、実際に金銭的な損害を算定するのは難しく、現実には請求は困難です。

法的リスクがあるとすれば、車庫法違反や、SA/PAの利用規約に基づく罰則程度でしょう。

 駐車マナーを守らないと違反になることも?

普通車スペースに駐めたつもりでも、はみ出していれば駐停車違反に問われる可能性があります。

利用者は道路標識に従い、可能であればNEXCOが公開しているSA/PAの注意事項を確認し、正しく利用することが求められます。

まとめ

SA/PAは道路交通法の適用対象だが、駐停車自体は許容されているため「駐車違反」での取り締まりは難しいのです。

しかし、大型車スペースへの普通車駐車や、禁止場所での駐停車は警察が取り締まり可能です。

  • 駐車をめぐるトラブルや暴行事件には、通常通り警察が関与する
  • 長時間駐車には車庫法の規制や利用規約上の罰則はあるが、現実的に損害賠償は困難
  • 利用者は標識やNEXCOの注意事項を確認し、マナーを守ることが大切

迷惑駐車は法的なリスクだけでなく、他の利用者の迷惑や安全性の低下にもつながります。高速道路を快適に利用するためにも、ルールとマナーを守った駐車を心がけたいところです。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

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神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。