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「サインしたからもう無理…」宅配便が“壊れて”届いたら?→ 弁護士「すぐにこの行動を取って」「交渉を大きく左右する」

  • 2025.8.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

楽しみにしていた通販の商品。ワクワクしながら段ボールを開けてみたら、中身が破損していた――。そんなショックな経験をしたことはありませんか?

「玄関先でサインして受け取ってしまったから、もう諦めるしかない」と考えてしまう人も多いですが、実はサイン後でも運送会社や販売元に賠償請求できる可能性があります

本記事では、破損が見つかったときの初動対応や、運送会社・販売元の責任範囲、賠償額の上限、交渉がこじれたときの法的手段まで、弁護士の解説をもとに整理しました。

責任を負うのは「運送会社」?「販売元」?

荷物が破損していた場合、受取人(購入者)が直接契約を結んでいるのは販売元(荷送人)です。そのため、法的責任を問う相手はまず販売元というのが基本です。

ただし例外として、契約関係がなくても運送会社に不法行為責任を追及できるケースがあります。つまり、販売元と運送会社の双方に責任追及が可能ですが、現実的にはまず運送会社に連絡するのが一般的な動き方といえるでしょう。

受け取りサインの本当の意味

配達員から求められるサインや押印には「法的効力がある」と誤解されがちです。

しかし、サインは単に「荷物を確かに受け取りました」という記録にすぎません。

つまり、サインしてしまった後でも賠償請求は可能です。「もうサインしたから無理」と思い込む必要は全くありません。

破損を見つけたら最優先すべき「証拠保全」

破損に気づいたら、すぐに次の行動を取りましょう。

  1. 写真撮影:できる限り開封直後の状態で撮影。箱や梱包材も含め、複数の角度から記録しておく。撮影日時が分かるようにしておくとさらに有効。
  2. 配達状況の確認:運送会社のウェブサイトで配達日時を裏付け。
  3. 冷静な連絡:伝票番号を添えて、運送会社に速やかに破損状況を伝える。

この初動が、その後の賠償交渉を大きく左右します。

高額品は要注意! 賠償額の上限がある

運送会社の約款には、多くの場合「1個あたり30万円まで」といった損害賠償の上限が定められています。

つまり、仮に数十万円や数百万円の商品が破損した場合でも、原則として上限額までしか補償されません

ただし、追加オプションで保険を付ける方法や、高額品に対応した配送方法を選べる場合があります。高価な商品を購入する際は、購入前に発送方法や補償条件を確認しておくことが安心につながります。

「責任はない」と突っぱねられたら? 法的手段も視野に

運送会社や販売元が「当社の責任ではない」と主張し、交渉がまとまらないこともあります。

その場合に検討できるのが法的手段です。

  • 少額訴訟:60万円以下の金銭請求に利用可能。原則1回の審理で結論が出るため、迅速に解決できる。
  • 通常訴訟:争点が複雑な場合は通常訴訟で徹底的に争う。

法的手段に進む際には、破損状況や原因を立証する必要があります。その意味でも、最初の証拠保全が極めて重要になります。

まとめ

宅配便の破損は、受け取りサイン後でも請求可能です。

  • 責任追及の相手は販売元が基本だが、運送会社に対しても請求できる場合がある
  • 初動対応では写真などの「証拠保全」がカギ
  • 損害賠償には上限があるため、高額品は補償条件の確認が必須
  • 交渉が不調なら少額訴訟や通常訴訟といった法的手段も選択肢に

泣き寝入りせず、冷静に証拠を集め、然るべき手段をとることが、正当な権利を守る第一歩です。


監修者名:鬼沢健士 弁護士

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茨城県取手市でじょうばん法律事務所所属。
できる限り着手金無料で、労働問題(不当解雇、未払残業代等)や詐欺被害救済に積極的に取り組んでいる。