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“あなたもそう思うよね?”、ママ友からの同調圧力にゾッとした|やさしくできない日

  • 2025.7.22

園の行事が中止になった夏、あるママさんから「公園で花火をしないか」と声がかかります。久々の外遊びに心が弾む一方で、藤井さんからのLINEには“あなたもそう思うでしょ?”という無言の圧がありました。参加後、起こった出来事に、なぜか責めるような藤井さんの視線。そして夜、藤井さんの長文メッセージに柚月は凍りつきます。

2児の母である柚月はある日、同じクラスのママ・藤井さんと仲良くなる。内向的で気の合う存在だったが、次第に距離の近さに違和感を覚えるように──。その“違和感”が、夏のある出来事で確信に変わる。

“あなたもそう思うでしょ?”という無言の同調圧

ママリ

夏休み、幼稚園のおたよりに「夕涼み会中止」の案内が載っていた。今年の夏も、猛暑と感染症の影響で行事はことごとく中止になり、子どもたちも家にこもりがちだった。そんな折、クラスのあるママさんから「近所の公園で、夕方に花火しませんか?」とLINEが届いた。

「久しぶりに、外で遊ばせたいな」夫もその日は帰りが遅い予定だったし、私は参加を決めた。参加希望のメッセージを入力していると、タイミングを謀ったように藤井さんからLINEが届く。

「柚月さん。公園での花火、誘われた?」

胸がざわつく。以前、休園したときに自宅に来られてから、私は藤井さんに対してより強く違和感を抱くようになっていた。

「誘われましたよ。少人数だけなら参加しようと思ってます」

可もなく不可もない、淡々としたメッセージを送るも、すぐにつく既読に心が落ち着かない。

「そうなんだ。ただ、そうは言っても不安じゃない?感染症は移っても、移しても大変だし。なるべく参加したくないんだよね。」

藤井さんのメッセージに「あなたもそう思うでしょ?」という、無言の同調圧力を感じる。

「それに花火の準備とか後始末も大変そうじゃない?誰かのお宅でする訳でもないし」

“参加はしたくないけど、ひとりで不参加にはなりたくない”あるいは“参加しないことを柚月さんの口から他のママさんに伝えて”という意図が透けて見えた。どちらも私にとっては不本意だけど、正面から断ることもできず、私はやんわりと往なすようにこう返信した。

「そうですね。いろいろ大変そうですけど、子どもたちもこもりがちだったので、気分転換にいいかな〜って」

すると、既読がついてから少し間があってから返信が来た。

「そうね。柚月さん家が参加するなら、うちも参加しようかな」

以前藤井さんに感じた“気が合うママ友”という感覚が今、重荷となり始めていることに薄々気づきつつ、私は良心の呵責から目を背けた。

楽しい花火が一転、“私、何かした?”

ママリ

当日、公園にはすでに数組の親子が集まっていて、子どもたちは走り回っていた。日が落ちていく空の下でも見える、子どもたちの弾けるような笑顔。そして、聞こえる黄色い声に「参加してよかった」と心が温かくなった。子どもたちを見つつ、私は火をつけた線香花火を眺め、久しぶりに穏やかな気持ちに浸っていた。

「悠真ッ!」

突然の叫び声。振り返ると、藤井さんの息子の悠真くんが転んでいた。膝を擦りむき、泣きじゃくっていて、藤井さんが抱きかかえてあやしていた。すぐにみんなが心配して駆け寄り、ママさんたちが消毒や絆創膏を差し出し、子どもたちは励ましの声をかけていた。

次第に悠馬くんも泣き止み、花火を再開しようと二人を囲んでいた輪が解かれた一瞬、私は藤井さんからの鋭い視線を感じた。その視線には、どこか責めるような色があった。「私、何かした?」そんな疑問を抱いたまま、藤井さんから何を言われるでもなく、ママさんたちとの花火を終えた。

“あなたもわかるでしょ?”ゾッとする理不尽LINE

ママリ

夜、悶々としたまま子どもたちを寝かしつけたあと、スマホを見た。すると、ロック画面には藤井さんからのメッセージを告げるバッチ通知が重なっていた。

「あれだけ心配してたのに、悠馬ケガしちゃった。こんななら行かなきゃよかった」
「あなたが行くって言うから、仕方なかったけど安心できそうで行ったのに……。結局、悠馬には辛い体験させちゃったじゃない!」

謂れのない批判が自分勝手に投げつけられていた。今回の花火、参加はそもそも任意だったし、悠馬くんのケガだって、予見できるものじゃないのに。

理不尽を感じつつ、まだ続く幼稚園でのママ友関係や子どもたちが頭をよぎる。拗れることを恐れて、私は謝罪の言葉をひたすら送るしかなかった。そして、ひとしきりの批判をぶつけ、謝罪の言葉にも満足したのか、藤井さんからメッセージが送られてきた。

「やっぱり私、ああいうの無理だったんだよね。あなたもわかるでしょ? 似てるし」

自分の型に無理やり当てこむように、蔑みさえ感じる文面。息の詰まるような、恐ろしいほどの“同一視”を感じてゾッとした。

あとがき:断れない優しさが、自分を追い込むとき

ママ友との関係には、言葉にしづらい“空気の圧”が潜んでいることがあります。今回描かれたのは、「ただの誘い」にも「断りづらさ」や「責任の押し付け」が絡み、次第に関係がねじれていく過程でした。相手の意図を察して動こうとする優しさは、ときに自分を追い詰めてしまうもの。子どもを想う親同士だからこそ、境界線を保つことの難しさが浮かび上がる回となりました。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

著者:tenkyu_writing

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