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「無理がある」「ありえない」“違和感だらけの描写”に疑問の声も…だけど「誰が何と言おうと100点」社会現象化した神アニメ映画

  • 2025.9.3

ドラマや映画の中には、ときに観る人の心だけでなく社会全体に強い衝撃を与えるものがあります。今回は、そんな“社会に大きなインパクトを与えた作品”を5本セレクトしました。本記事ではその第1弾として、映画『天気の子』(東宝)をご紹介します。東京が水没するという大胆なラストに、「矛盾だらけ」と戸惑う声と「最高の結末」と絶賛する声が交錯した本作。その結末に込められた想いとは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(配給):映画『天気の子』(東宝)
  • 公開日:2019年7月19日
  • 声の出演:醍醐虎汰朗(森嶋帆高 役)

高校1年の森嶋帆高(声:醍醐虎汰朗)は、離島から家を飛び出し、ひとり東京にやって来ます。
しかしすぐにお金も尽き、途方に暮れていましたが、偶然知り合った須賀(声:小栗旬)の紹介で、オカルト雑誌のライターとして住み込みの仕事を始めます。

そんな帆高が連日の長雨のなかで出会ったのが、弟・凪(声:吉柳咲良)と二人で暮らす少女・天野陽菜(声:森七菜)。

彼女には祈るだけで空を晴れにできる、不思議な力がありました。 帆高と陽菜、そして弟の凪は、その力を生かして「晴れ女ビジネス」を始めます。結婚式や祭りなどの依頼で空を晴らし、人々に喜ばれる三人でしたが、陽菜の体は次第に透け、消えかけていきます。

彼女は「天気の巫女」として人柱となり、天候を安定させる代わりに自らの命を差し出す存在だったのです――。

青春アニメ映画の枠を超えて「世界に届けられたメッセージ」

『天気の子』は、『君の名は。』から3年ぶりに新海誠監督が世に送り出した長編アニメーションです。

テーマは「天候の調和が狂っていく時代に、若者がどのような生きかたを選択するのか――」。美しい映像美と重ね合わせて、時代性を鮮明に映し出した作品として注目を浴びました。

主人公・帆高の声には、2000人を超えるオーディションを勝ち抜いた醍醐虎汰朗さんを起用。ヒロイン陽菜役には、映画やドラマで人気の森七菜さんが抜擢されました。さらに本田翼さん、倍賞千恵子さん、梶裕貴さん、神木隆之介さん、上白石萌音さん、成田凌さんといった豪華キャストも出演しています。

音楽は前作に続いてRADWIMPSが担当し、『愛にできることはまだあるかい』や『グランドエスケープ』などが物語を盛り上げました。加えて三浦透子さんをボーカルに迎えたことで、映像と楽曲がより深く絡み合い、観客に余韻を残す仕上がりとなりました。

制作陣も豪華で、キャラクターデザインは田中将賀さん、美術監督は滝口比呂志さん、プロデューサーは川村元気さんと、実力派が顔を揃えました。

雨や雲の描写は従来以上に緻密で、雨粒が弾ける瞬間や水たまりに映る光、雲間から差し込むわずかな陽射しまで丁寧に描き出されています。

それらは単なる背景にとどまらず、物語の大切な要素――。とりわけ空に浮かぶ魚や鯨のような幻想的な存在は、陽菜の力や「天気の巫女」としての宿命を暗示し、映像に神秘的な深みを加えました。

公開後は国内外で大きな話題を呼び、青春映画の枠を超えて「世界に向けたメッセージ」として受け止められたことも、この作品の大きな特徴です。

監督があえて選んだ“賛否を呼ぶ結末”

本作のラストについては、「雨だけで海面は上がらないはず。なのに橋まで沈むのはおかしい」という指摘や、「田端駅は水没してるのに、それより標高が低い浜松町駅が沈んでないのはなぜ?」という疑問がSNSで投げかけられました。

実際、この東京水没シーンには科学的に矛盾があります。局地的に雨がどれほど長期間降り続いたとしても海面は上昇せず、高地やレインボーブリッジが沈むことはありません。作中のような状況が現実に起こるには、南極の氷が大規模に溶け出すといった地球規模の異変が前提となります。

本作の結末の受け止め方も一様ではありませんでした。「何で東京を沈める必要があったの?」と、物語の結末そのものに疑問を投げかける意見や一方で、「最初は矛盾に思えたけど、運命と選択を描いた作品だと気づいたらよくできてる」と見直す声や、「ラストにやられて一発で新海誠ファンになった」と心を奪われた人もいました。

さらに、「あのラストが本当に好きで全てが刺さった」「この映画のラストを超える作品にはもう出会えない「とんでもなく感動した」「誰が何と言おうと100点」と絶賛する声もあり、賛否の振れ幅の大きさが際立ちました。

そこには、単なる災害描写を超えて「社会よりも愛を選ぶ」というメッセージが込められていたともいわれます。世界や大多数よりも、目の前の大切な人を守る選択を肯定した結末は、社会に従うことを“正しい”とする大人の価値観に対する挑発にもみえます。

監督自身が日本経済新聞のインタビューで以下のように語っているように、観客にあえてラストの意味と解釈をゆだねたのではないでしょうか?

多くの人々の価値観が対立するような映画を作りたい。見てくれた誰かと誰かの価値観と価値観がぶつかるような映画でなければいけない、とも考えました。
出典:『天気の子』新海誠監督 賛否が分かれるものを作った』 日本経済新聞 2019年7月4日配信

これほどまでに議論を呼んだのは、映像美やストーリーだけでなく、観客一人ひとりに「未来の選択と責任」を突きつける強いメッセージがあったからでしょう。『天気の子』はまさに、社会に大きなインパクトを与えた名作アニメです。


※記事は執筆時点の情報です



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